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気をつけろ!難聴は突然やってくるぞ!

ある日曜の夜のことでした。ダメとは分かっているけれど、どうしても湯船に浸ると眠気がやってきてウトウト。そんな日が何日か続いていて、その日もやっぱり入浴中に寝落ちしてしまい、ハッと目が覚めた瞬間に違和感。……あれ、耳に水が入ったかな?

いそいそと風呂場を出て、トントンと飛んでみたり、綿棒を耳に突っ込んでみたりするけれど、耳が詰まった感覚はなくならず。寝たら何とかなるかも、とその日は早めに布団に入ることにしました。

しかし、次の日の朝になっても耳詰まりは良くならなかったので、念のため出社前に耳鼻科に行くことにしました。

まずは先生が耳の中を目視。だけど、水は入っておらず、見た目には何も異常はなし。ということで、次は聴力検査を受けてみる。ヘッドホンをつけて音が鳴ったらボタンを押す、例の検査。それから、片方だけ耳の後ろから音が出る(骨から音が伝わるとか言ってたような気がする)変わった形のヘッドホンに付け替えられ、また同じようにボタンをポチポチ。それが終わりしばらく待っていると、また先生のところへ案内された。

「これ、分かります? 低い音があんまり聞こえてないんですよ」

検査結果を見せられてもあまりピンと来ず、へえ、と気の抜けた返事をする私。

「薬飲んだらそんなに長引かない病気だけど、目眩があるならメニエール病の初期症状かもしれませんね」

メニエール病。その病名を聞いた途端、私は事の重大さに気付きました。そういえば、先週目眩がひどい日があったけど、花粉症で鼻が詰まった上にマスクをしていたせいで軽い酸欠になったんだとばかり思ってた。もしかしたらあれも前兆だったのかもしれない。でも。なんで。

「薬が美味しくないんですよねえ」
「あー、母がメニエール病になったことあるので知ってます」
「あれでもだいぶマシになったんですよ。昔は出しても飲めないだろうってくらい不味かったので」
「そうなんですか……」

先生と会話しながらも「なんで?」が頭の中でぐるぐる。「とりあえず十日後以降にまた検査しに来てください」と言われて待合室に戻ると、看護師さんから資料が手渡される。

『急性低音障害型感音難聴』

そう私は診断されたらしい。ただの耳詰まりじゃなかった。資料を読んで、それからインターネットでも調べてみて、目眩が伴えばメニエール病の可能性が高いけれど、多くの場合は完全治癒して再発もせず、早ければ数日で改善すると知り、少し安心。その日は目眩もなかったので、午後からは会社に出社しました。

だけど、その日も、また次の日も、会社で仕事をしているとだんだん目眩や頭痛がひどくなり、ほとんど仕事にならず。帰りのバスでも酔ってしまってスマホを触る気すら起きない。結局、私は一週間以上「在宅勤務」という名の自宅待機となってしまいました。

先述の『メニエール病』と『急性低音障害型感音難聴』について簡単に説明しますと、どちらも内耳にある「内リンパ」にリンパ液が溜まる「内リンパ水腫」により神経障害が出ることで起こる病気です。『急性低音障害型感音難聴』は聴力に関係する「蝸牛」という器官が障害されることにより、低い音が聞き取りづらくなった状態です。それに加えて平衡感覚を司る「三半規管」にも影響が出て目眩などの症状が慢性的に続くと『メニエール病』となるのです。「なぜ内リンパにリンパ液が溜まるのか」という原因は詳しく判明していないらしいのですが、ストレスや睡眠不足が発症のきっかけになることが多いと言われています。

私が『メニエール病』と聞いて「なんで?」と思ったのは、過度のストレスや睡眠不足が原因らしいということを、母を通じて知っていたからでした。よっぽど過労じゃないとメニエール病にはならない、というのが今までのイメージ。つまり、私には絶対にありえない病気だと思い込んでいたのです。そして、『急性低音障害型感音難聴』は「ストレス難聴」とも呼ばれているという記事も見かけて、ますます「絶対にありえないじゃん!」と思いました。

絶対にありえない、なんて言い切れないじゃないかと思われるかもしれないけれど、普段の私はこんな感じなのです。

・社会人になって約8年間、ほぼ毎日定時退勤。猛烈に残業した記憶は2、3回くらいしかない。
・月に1、2回は必ず有休を取得。
・体感6割のチカラで仕事している。
・完全週休2日。
・コロナ禍現在、週3日は午後だけ出社(午前中は在宅扱い)。週1在宅勤務、週1フル出社。
・午後だけ出社の日は朝ドラのオープニングで起きる。
・多趣味なので休日は全力で好きなことを楽しむ。
・趣味のために生きているので、仕事は「お金が必要だから仕方なくしている」という感覚。

多分、これを読んだほとんどの人は「なんだこの体たらくな生活は」と思われるでしょう。自分でもそう思っています。「過労」の真逆ですよ。そんな私がストレス難聴?ありえないでしょ。

ストレスになっていることとして思い当たるとすれば、自業自得でしかないことばかりで自己嫌悪でしかないけれど、とりあえずリストアップしておきます。

・写真家になるための自己投資にプラスしてお金がかかる趣味が多いので常に金欠。ずっとお金の心配をしている。
・お金がなくて本業だけでは生活が苦しいので、早く写真家として収益を上げたいけれど、どうしたらいいか悩むし不安もあるし焦りもある。
・とはいえ、趣味にかけるお金は減らせない。
・仕事中に暇な時間ができてもそれ以上どうしようもない。その時間がもったいない。
・GW前から唯一の同期が産休に入るので周りの人が異動するなど環境の変化に不安がある。
・直属の上司とのコミュニケーション不足が常態化している。
・とにかく自室が片付かない。

要するに「お金がない」んですよ。それがストレスなんですよ。自業自得です。でも、削るとしたら趣味にかかるお金しかなくて、それもまたストレスになるし、でもお金が足りなくなるってことは身の丈に合ってないって証拠で、それでも好きなことは譲れない。ずっとこの繰り返し。これじゃ解決できません。じゃあ、どうにか収入を増やすしかない。でも、どうやって収入を増やすのか。自己投資した分、写真で結果が出たらいいけれど、今の状態じゃ見通しは立たない。うん、やっぱりすぐには解決できないな。

っていう日々の積み重ねがいつの間にか心身を蝕んでいたんでしょうね。そして、ついにキャパオーバーになってしまって身体が悲鳴を上げてしまったわけです。

で、仕事もできないし、耳の調子も悪いから音楽も聴けないし、画面を見たら酔うのでスマホもパソコンも触れない。何もかも制限されてますますストレスになりそう、と思いながらも回復するために私ができることはこれだけでした。

薬飲んで、寝ろ。(by オーガマン)(オーガマンを知らない人は各自ググってください)

これに限る。もう他にできることはない。んだけど、これがまた大変なんですよ。『急性低音障害型感音難聴』や『メニエール病』、またはそれに類する病気に罹った人はおそらく高確率で処方されるであろう薬があるんですが、この世のものとは思えないくらいクソマズいゼリーなんですよ。思わず口が悪くなるほどマズい。なんというか、まずビジュアルがカブトムシのエサみたいなゼリーなんですよ。で、マズい。これを毎食後食べなきゃいけないわけです。食べるというか、飲み物で無理やり飲み込むって感じです。もう一瞬たりとも舌の上に置きたくないくらいマズい。私はそもそも錠剤を飲み込むことすら苦手なので、ゼリー状のものを飲み込むのはさらに一苦労。薬を飲むだけでこんなに苦しい思いをするとは思わなかった。

とはいえ、薬を飲んで寝るしかないので、とりあえずそれを実行するしかない毎日。そして、今日、ようやく最初の検査から十日が経ったので、もう一度耳鼻科を受診してきました。

その結果、症状は改善しているという診断だったので、薬を飲んで寝るだけの生活を卒業することができました。よく耐えた、私。

とはいえ、久しぶりに外出したらやっぱり頭痛がしたけど、これは生理痛なのか判断しかねる。PMS(月経前症候群)っぽいところもあるので、先週の症状もどこまでが難聴でどこまでがPMSなのか分からん。みたいな感じの状態です。

長々と書きましたが、私が一番伝えたいのは「自分は大丈夫だと思っている人ほど油断せずに、栄養のある食事を摂って、程良く運動して、しっかり睡眠を取って、健やかな生活を心がけてほしい」ということです。こんな私だって難聴になったんだもの。私以上にがんばっている人の方が多いはずだから、本当に皆さん気を付けてほしいです。

心身を酷使しても本当にロクなことはないですよ。ちょっとでも「最近疲れてるかも」とか「季節の変わり目って体調崩しがちなんだよね」とか思っている人は、いつも以上に自分のことを大切にしてください。

最悪の場合、絶望するほどマズいゼリーを食べることになりますよ!

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