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【読んだ本】時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。

2022年に読んだ本で、とても共感できて勉強にもなった一冊について書きたいと思います。

「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」
著:和田靜香
取材協力:小川淳也

フリーランスのライターの和田靜香さんが、衆議院議員の小川淳也さん(立憲民主党所属)と面談を重ねて書いた本です。和田さんが実際に切実に困っていることを、国会議員の小川さんにぶつけて対話を進めていきます。

私は熱心に政治や時事ニュースを追えているわけではないので、通常なら政治家のインタビュー本なんて敷居が高いです。でも和田さんは政治記者やジャーナリストではなく、私のような不勉強な人にも身近に考えられる問いを投げかけます。初回の対話では「自分が何が分からないのかも、どこから考えたらいいのかも、まったく分からないんです」と言ったくらいですから。小川さんは和田さんにわかりやすい言葉で説明してくれますし、全体的に親しみやすい語り口で書かれているので読みやすいです。

和田さんが沢山の本を読み、一生懸命勉強する姿に感銘を受けます。わからないことや引っかかることのひとつひとつに向き合い、取り組んでいます。和田さんほどでなくても、私も政治や社会の仕組みについて少しずつでも関心を持ってみよう、という気持ちになりました。

一番心に残ったのは、和田さん自身が「この10年ほど、とことん困っている」という、住宅問題について。和田さんは「中高年、単身、フリーランス、お金ありません」のために、部屋探しに何度も苦労しているとのこと。近年の日本は、世帯構成が変化しソロ世帯が増えており、また単身世帯の月収に占める住居費の割合が(昔に比べて)かなり高くなっているそうです。この現状も踏まえて、和田さんはベーシックサービスとして住宅扶助に取り組んでほしいと訴えています。

私自身も少し前までひとり暮らしだったので、高い家賃の割に満足できる住まいで暮らせないことへ不満がありました。何より単身女性では高齢になるにつれ、賃貸を新たに借りることが厳しくなるのではないか、という不安がつきまとっていました。住宅問題は人ごとではなく、身に迫るものがあります。私は現時点では一緒に暮らす家族がおり、ひとまず安心して暮らせているけれど、この先の未来に何が起こるかわかりません。それに姪や甥の将来も考えると、居住保障の政策が実現すれば、人々の将来への不安を確実に減らせると思います。

また、「働く人の年齢差別の撤廃」(欧米では法律で禁止されているとのこと)についての議論は、多くの人に関係が深い話題だと思います。少し前まで転職活動をしていた私にも特に関心がある問題なので、読みごたえがありました。

和田さんが投げかける等身大の問題意識の中に、共感できる困りごとを何かしら見つけられるのではないかと思います。今の社会でここが変わってほしい、新しくこんな制度があったらいいな、と自分のこととして考えるきっかけになる本だと思います。

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