一時帰国:北上計画(その2)
一時帰国して、実家に戻ったところ、予想外に元夫と娘も実家の東北までやってきたので、もう少しだけ北上して、北海道の私の友人に会いに行くことにした。
友人の娘さんと娘は同じぐらいの年齢で、直接は(恥ずかしいのか)話さないが、お互い友達になりたいらしいので、もう一度会わせてやりたいと思ったのも、この微妙な3人(元夫との旅行)での北海道行きを決めた理由の一つだ。
青森から北海道は近いようで意外と遠い。
価格と時間のバランスを考慮すると、飛行機が一番ちょうどよく、幸い、ANAで一人1万5千円のチケットが見つかった。3人だと片道で4万5千円だ。
誰が何を払うか決めていなかったし、過去の経験上、自分で全員分を支払うのはちょっと迷ったが、とりあえずチケットは抑えたいし、娘が友達(と、呼んでいいのか、笑)と会う時間を作るためのお金だ。ここでお金出さなかったらいつ出すのか?
と、たかが、4万5千円で清水の舞台から飛び降りる気持ちになりながら、チケットを購入。
ホテルは元夫のbooking.comのアカウントで行きたかったドーミーインを予約してもらった。日本にいるなら、できるだけ大浴場付きのホテルがいい。
次に困ったのは、「どこに行くか?」だった。
私は、「娘と友人の娘さんを会わせる事」「(私が)友人と会う事」しか、頭になかったので、友人に「どこ行きたい?そっちの希望に付き合うよ!」と言われて、はた、と戸惑った。
自分一人なら、朝市にいって海鮮を食べたり、免許も整ったし、レンタカーを借りてドライブもいいな、と思っていたが、この二人(元夫と娘)が一緒だと、それは多分楽しめない。
娘に聞いても、いつもの通り「シラナイ」「分かんない」しか返ってこない。
新千歳空港は、Royce'の工場やドラえもんスカイパークがあって、娘も楽しめると思ったので、とりあえずリストに追加したが、問題はその先で、全然アイデアが出てこない。
そこで、ガイドブックを1冊購入して、娘に手渡した。
娘は日本語があまり得意ではないので、「写真見て気になるところをいくつか教えてね」と言って選ばせた。せっかくなので、娘の希望をききたい。
色々迷った結果、娘は小樽と富良野・美瑛の写真を選んだ。
行先を迷いながら考える娘を見てて思ったのは、娘はそもそも「自分の希望を伝える」状態にいないのではないか、という事だった。だから、「自分の希望は何か?」を考える立場にあまりない。常に元夫が「これが正しい道なんだ。これ以外はありえない」と伝えている様な気がするのだ。
だから、小さい事でも「自分の欲しいものは何か?」を考える練習をして欲しいな、と思う。
友人からは「天気が悪いかもしれないから、雨の日用のプランもお願いね」と言われていた。「この2か所でどう?」と聞くと、「う~ん、富良野とかうちから2時間だからなあ、でも、夫くんに聞いてみる!」との事であったので、返事を待つことにした。友人は最初から夫くんに運転手役を任せるつもりであったらしい笑。
すぐに返事が返ってきて、「夫君がいいよ!だって!天気良かったら、富良野、美瑛で、雨が降ったら小樽ね!」と、あっさり決まった。
持つべきものは友である。
およその予定は決まったので、夫の食事事情も連携しておく。なぜなら友人からは「何か食べたいものある?アレルギーは?」と聞かれたし、一日中一緒にいるなら、絶対に一度は食事するからだ。
元夫が病気のため、ほとんど外食できないことを話すと、医療関係の仕事をしている友人は事もなげに「うちも和食派だし、北海道だし、ご飯と焼き魚だったら平気だよ。」と言ってくれた。
ただ、「(天気よければ)富良野だからなあ。お肉系のお店が多いかも。」と心配していた。
ついでに、友人も私と同じ様に、娘達を会わせるのがメインの目的なので、「旦那さん、お留守番でもいいよ?笑」と言っていたが、それは聞かなくてもダメだと分かる。
昔、同僚の結婚式で私だけ招待された事があったが、ものすごい不満を言われた。結婚式は文化の違いもあるので我慢してもらったのだが、元夫は「家族が一緒じゃない」のをすごく嫌がる。
まあ、みんなで気を使いながら、旅行するしかないか。。。一日だけの事だしな。とあきらめる。
準備の最後は、数日中にアメリカ大使館から送付されてくる、娘のパスポートの手配、だった。
娘は今年の9月からアメリカの学校に行くことが決まっている。そのためのビザの手続きをしているので、パスポートはアメリカ大使館にあった。ビザの発行次第、家に郵送されて来るのだが、そのステータスはメールで随時更新される。
ちょうど準備が整った金曜日に、「パスポートが発送されました。」と連絡があった。
パスポートはメール便で送られて来るので、宅急便とは違い、再発送のためには電話しなければならない。
旦那からは、「この番号に電話して(おまえが何とかしろ)」と矢のような催促が来ていたが、郵便局の電話番号は夜中は通じないことが多い。(メッセージが来ていたのは夜中だった)
海外で暮らしてみて、日本に暮らす外国人がいかに大変な状況にあるか理解できたつもりではあったが、元夫からのこのテの連絡はやっぱりうんざりしてしまうのだった。
出発の朝、9時過ぎに電話してみた。
すると、「受け取られなければ、不在届けを残して、配達員が持って帰りますので、再配達を依頼してください。」とのことだった。
それであれば、話は早い。
確認ができたので、それを連絡し、北海道へ出発するべく、元夫と娘が泊まっているホテルへ向かった。(出発する当日になって、パスポート発送の連絡が来ていた。)
到着すると、何やらバタバタしている。
聞くと、元夫は、「もうパスポートが発送されたらしい。前回(元夫のパスポート)もドアノブにかけて行ったから、電話しなきゃ。」と言う。
郵便受けもあるのになんでドアノブにそんな大事なものをかけて置いていくのか、
そもそもそんな大事なものをメール便で送る、アメリカ大使館もどうなのか、
別に元夫も一人で東京に戻ってくれてもいいのだが、
と、どれもしょうもないな、と考えていた。
幸いにも、最近は郵便局は英語でも受付できる番号があるらしく、電話するとすぐに配達員に連絡してくれた。念を入れて、同じ建物に住んでいる大家さんに、もし、郵便物がドアノブにかかっていたら回収してくれるようにお願いし、北海道行きの準備は整った。
よし、北に向けて出発だ!
サポートいただけた場合は、「子供が売られない世界をつくる」を掲げてインドでも活動をしている、かものはしプロジェクトに寄付します。