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整理回収機構と三宮一貫楼①

月曜は仕事(三宮一貫楼)ネタ

今回より新シリーズ
ここも少し長くなりそう。。。

↑からのつづきです。

1999年8月に破綻したメインバンクのなみはや銀行。(平成11年8月)
ノストラダムスの大予言は外れましたが、局地的に三宮一貫楼の周りだけ災厄が来ているような世紀末の夏でした。

われわれの債権が整理回収機構(以下RCC)に引き取られることが決まったのはその約1年後。

その間も役員報酬の大幅カット、不採算店の閉店、積極的な人員整理など、ありとあらゆる手段を用いながら、なんとか生き残っている三宮一貫楼でした。

個人的には想起するのも憚られるようなハードワークの日々。

日々溜まる鬱憤に先代夫婦との確執など、私史上ストレスマックスな日常を送っておりました。

そしてXデーはやって来ます。

2001年の2月のある日、ついにRCCの担当者と名乗る人物から当社に連絡が入り、2月某日にRCC神戸支店(現在閉店)に役員全員(先代、母、兄2人)プラス私の計5人で来るようにとの出頭要請が。

私がその電話の対応をしたですが、身が縮む思いというのはこういうことなんだと実感したのを覚えています。

かくしてRCCからの呼び出しの当日。

指定されたRCC神戸支店は三宮の一等地に構える、ガラス張りのスタイリッシュなオフィスビルの中にありました。

その外観にすでに圧倒される三宮一貫楼一行。

エントランスの無機質な空気に否が応でも緊張が高まります。

エレベーターに乗り、RCC神戸支店のあるフロアへ向かう無言の時間はまさに処刑台への階段を一段一段登っているような心境でありました。

指定のフロアでエレベーターの扉が開き、少々歩いて向かった先に【整理回収機構  神戸支店】のプレートを認めて、社長である先代が入口のノブを引きますが、ロックがされていて開きません。

『ガチャガチャガチャッ』

この音に何もかもがスムーズに行かない未来を暗示しているようで無性に不安になりました。

オフィスの入り口扉も全面ガラスで、覗くと中に受付らしい人物が見えます。

その人物が指さしジェスチャーで示したあたりにインターホンがあり、そちらでの通話でアポイントの旨を伝えると、ロックが開錠された音が聞こえてノブが回り、ようやく中に入ることができました。

受付の方から案内された応接室に家族5人でいそいそと入りますと、壁面から天井まで真っ白で通ってきた通路より更に無機質な空間にでっかいテーブル。

そこに並べられた黒い椅子が組織の重厚感を示しているようでした。

受付の方が一言。

「しばらくおかけになってお待ちください」

担当を待っている間、誰も口を開きません。

雰囲気に呑まれて開けませんが正しい表現ですね。

そのうち先代がわれわれに目配せで、天井に2台設置している防犯カメラの存在を知らせます。

「何なん?犯罪者扱いかいな?(涙)」

どこまで威圧したら気が済むんだと軽い怒りまで湧いてきます。

これから私たちの運命はどうなるのか??

本当に不安でした。

そんなことを考えている刹那、

『ガチャッ!』

数分前、ドアを開けるのに手間取っていたわれわれをあざ笑うかのような切れのよいドアを開ける音とともに3人の男性が颯爽と姿を現したのでした。

(つづく)

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