見出し画像

整理回収機構と三宮一貫楼⑯

木曜は仕事(三宮一貫楼)ネタ

↑からのつづきです。

平成17年、阪神淡路大震災から10年目のこの年は、明けてからすべてのことが怒涛のように慌ただしくスタートしました。

・1月10日過ぎからJR三ノ宮駅前店の工事の着工。

・同じく1月10日過ぎに整理回収機構(以下RCC)大阪支店への呼び出し。

・昨年にRCCから再建計画書作成のために紹介された監査法人アタックスビジネスコンサルティングの担当者からのヒアリング。

今回はRCC大阪支店での内容を中心にお送りいたします。

この時の応対者は神戸支店で顔を合わせた巨漢担当者の大山氏に加えて、大阪支店長、北田氏も交渉の席に着きました。

大山氏とはまったく正反対のやさ男的キャラの北田氏。

纏う空気は大山氏と同様、非常に友好的なものを感じます。

ここまで金融関係の話し合いであまりいい思いをしたことがなかったため、お二方の醸し出す友好的な空気に触れ、債務免除というにわかには信じがたい事態が現実的なものになって来たんだと、熱いものが胸に来る若き私でありました。

友好的ながらも最初に一番厳しいお話をしておきましょうとの前置きがあり、その内容が仰るとおりなかなか厳しいものでした。

役員と私の一族が会社に貸している個人貸付1億7000万円。(私ですら600万円ありました)

まず、これは全額免除でないとお話しにならないという旨が通達されました。

それで債務免除の話が進むのであれば、われわれとしては喜んでそうさせてもらうと即答しました。
※実際はここにいる役員だけでなく親戚にも借りていたので、そこの交渉がまた難しかったのですが、このストーリーでは割愛。

この宣言が債務免除への道に立つパスポートとなり、まずは最初のハードルを越えた感じです。

北田氏の説明は続きます。

「この(再建)計画に関しては15年かけることに経済合理性はありません。RCCとしてはもっと早く完了させるつもりであり、思い切った免除も考えています。」

と優しく力強い言葉をかけてくれます。

しかし、このわれわれとって温かい言葉が持つ意味は、他ではまったく別の意味で捉えられるということを、もう少し先で知るようになります。

最後に免除後の残債に関しては民間の金融機関に肩代わりをしてもらい、そこからは普通の銀行取引になる旨も通達。

RCC卒業までのロードマップ全容が知らしめられた瞬間でした。

個人貸付免除という厳しい話はありつつも説明全般において友好ムードでしたが、一つだけ真剣に釘をさされた事項がありました。

それはJR三ノ宮駅への出店をRCCに知らせることなく行ったことでした。

あくまでも返済額を猶予したり、減額するのは債権を回収するための最善策として取り入れている訳であり、営業支援の名目では決してないとのことです。

実際に当時の財務状況の三宮一貫楼に貸付ける金融機関はなく、出店費用を自費で賄わなければなりません。

それを捻出するために辰己氏との付き合いで覚えた返済減額の方策を用いて、出店資金をなんとか捻出してました。

でもそれを当時のRCCに正直に申し出ていたら出店の話は立ち消えていたことは明白です。

ここもギリギリのラインをなんとかすり抜けている三宮一貫楼でした。

まだまだハラハラする展開は続きます。

ながらくお付き合いいただきました「整理回収機構と三宮一貫楼」タイトルは次回より一新してお送りします。

またよろしくお願いします。

(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?