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大人が平気でもこどもは違うこともあるよね。

先日お仕事の一環で海外からの帰国子女の男の子の入学の面談をした。滞在していた国でコロナウィルスの蔓延により学校が閉校してしまい再会の目処が立たないため、日本へ一端帰国してくることにしたそうだ。

今同じ理由で日本中のインターナショナルスクールを始め、学校関係は帰国生の受け入れに忙しいらしい。基本はコロナが落ち着いたら滞在先へ戻るつもりだから、その間英語を忘れないようにインターナショナルスクールへ。反対にこの機会に日本語強化!で公立校に行く帰国生のこども達がたくさんいる。

今回私が面談したお子さんも、状況が落ち着いたら滞在先へ戻る予定のご家族。色々なやりとりをお母様として、いざ本人と面談となったときにまさかの来校拒否。日を改めて結局Zoomでの面談となったけれど、こちらも本人はほぼ画面に映らず。なんとか返事だけはして貰おうと交渉をして、やっと簡単なやりとりをしてくれるようになるまでに30分かけた。

少し私に慣れて貰ったところで幾つか質問をしてみた。教科では何が好きか?普段は友達とどんなことをして遊んでいたのか?とか。お母さんに促されながらも鬱陶しそうに一言ずつ返してくる。途中でスポーツが好きだと言うことが分かり、少しだけ明るい声が聞けた。

その後色々と本人とやりとりを続けるも、出てくる言葉は「嫌だ」「分からない」「関係ない」「学校には行かない」という否定的な言葉ばかり。その中でも「嫌だ」という言葉を多用することが気にかかったので、「何が嫌なのか教えてほしい」と聞いてみた。

本人は沈黙。なので、「ゆっくり考えてみて。」と声かけをして、その間にお母さんとお話をする。帰国してから性格が真反対になってしまったと凄く心配をされていた。滞在先にいた時は明るく、すぐにお友達を作って毎日楽しく過ごしていたのに、今は常に何か不安を訴えたり、鬱陶しそうだったり、お母さんもあの手この手で対話を試みたりしているそうだが正直、お手上げということだった。でも今の学校へ行っていない状況は良くないので、少しでも興味のありそうな学校へということで選ばれたそうだ。

そんなお母さんのお話を聞いていたら、ついに足下に隠れていた彼が動き出したので改めて声をかけてみた。「もしもう一度学校へ行くなら、前の学校がいい?」

「うん。」そこで今日初めて彼の肯定の言葉を聞いた。これが彼の本音で不安な事。

この数ヶ月何人もの帰国生の面談をしてきたけれど、みんなコロナで急に学校へ行けなくなり、満足にお別れも言えていないのに急に日本へ来て別の学校へ行くっていうことに不安を抱えている子は多かった。

みんな頭では何故今まで行っていた学校へ行けないのか、お友達に会えないのかはキチンと分かっているんだけど、感情が付いていかない。大多数の子は一歩入ってみると新しい環境に慣れて気持ちに折り合いを付けることも出来るようだけど、そういう風に出来ない子もやっぱりいる。

その上彼は今回の日本への帰国の前に、本当なら日本ではなくて以前に滞在したことのある別の国に出国して今の滞在先に帰る予定だったのが、コロナのせいで急に日本へ長期帰国となった経緯ある。

「短期間でめまぐるしく環境が変わりすぎた為に心がついていっていないのかもしれない。」

と、なるとまずは心の回復が最優先するべきじゃないかと私は思うのだけど、今回の私の役目はあくまでも入学用の面談なので時間をかけて彼との対話を続ける事は出来ない。ただ一つ彼に伝えた事は、

「前の学校へ帰る事を目的にしてもいいからその為に、とりあえずどこでもいいから学校へ行ってみるのをお母さんとお父さんと考えてみてほしい。その結果この学校を選んでくれたら嬉しいな。」と言うことだけ。

さすがに小学生の間にどの学校にも行ってない場合、以前の学校へ帰っても同じ学年へ入学できる保証がないし、入学自体受け入れられない可能性がある。

心配するお母さんを横目に、本人は寝そべりながら「学校行かない。関係ないし。」の一言だけつぶやいてフェードアウト。お母さんも肩をすくめて終了。

さて、どうなることやら。

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