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#66 OliviaとGregory

Oliviaからの手紙を書いた次の日の夜
暗くなり始めた頃に
窓ガラスをつつくコツコツコツッという音がした。

Oliviaの手紙を持ってきたフクロウが
狩りやひと時の休息から戻ってきたのだった。


私は窓を開けて
フクロウが窓の桟に留まれるようにして
昨夜書いたOliviaへの返事の手紙を手に取った。

「あ、ちょっと待って。」

Oliviaに言われたように
何日で到着するか分かるよう、
くるくると巻いた便箋の外側に
その日の日付を書き
紐でフクロウの脚に括り付けた。

「えーと…
Oliviaのところへ戻ってね。よろしく。」


フクロウは言葉がわかるかのように
優しくホーっと言って
一直線に飛び立っていった。


次の日、予定通り
あちらの世界へ行くことにした。

いつものようにあの不思議な鍵を持って。

写真 2020-04-15 16 01 57

Oliviaのカフェに入ると
振り返ったOliviaが満面の笑みで迎えてくれた。

「わ~!来てくれたのね!!
元気してた?手紙届いた?寂しかったわ!
ず~っと待ってたの!!」

そのあまりの興奮ぶりに
お店にいた4組のお客全員が私達を見ていた。


「Olivia、手紙、受け取ったよ。
昨日の夜、返事をフクロウに持たせたんだけど
ちゃんとわかってくれてるのかな…」

「えぇ、大丈夫。
ちゃんと訓練されてるフクロウたちだもの。
どんな言葉もわかるわ。」

Oliviaは自分のエプロンを外しながら
父のGregory(グレゴリー)に近付いて行った。

「パパ、M.ちゃんが来たから少し出ていいー?
ちょっとM.ちゃんを案内するだけだから。」

「うーん。
でもママに外出禁止って言われてるだろ?」

「ちょっと案内するだけよ?
M.ちゃん、せっかく来てくれたんだもの。
ほら、今お客さんもそんなに多くないし。」

「わかった。
そしたら、1時間以内に帰ってきなさい。
街は出ちゃだめだぞ。」

「パパありがとう!!」


Oliviaは特別にっこりとした笑顔をGregoryに向け
ほらね、という顔をして私の方へ戻ってきた。

「出かけて良いって。
ちょっと持って行くものがあるから待ってて。」

そう言ってキッチンの方に入っていった。
私は端のカウンター席に腰かけた。

Oliviaは冷蔵庫から何かを取り出し
飾りつけをしていた。



Gregoryは繊細な模様のティーカップを拭きながら
私の方へ向いた。

「M.ちゃん、ごめんね。
きっとOliviaが外出たいっていうのに
付き合わされてるんだろう?」

「いえいえ。
私もOliviaが案内してくれると嬉しいし
もっともっと色んなもの見たいですし。」

「そっか。ありがとね。
でも、君も一緒に危険な目に遭って
外出禁止になったんだったよね。
1時間以内には戻ってくれるかい?
あんまり甘やかすとOliviaのためにならないから。」

少し気まずい気持ちになったが
私も本来ならもっと叱られるべきだった。

Oliviaがどこに何しに行くつもりか
知らなかったが
その約束だけは破りたくないと思った。

「もちろんです。
1時間以内に戻るようにします。」

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キッチンを覗くとOliviaは
飾り付けたカップケーキのようなものを
箱に入れて、ラッピングしていた。

それが終わると、自身の部屋に行って
カバンを持ってお洒落をして降りて来た。

「パパ、行ってくるね!
すぐ戻るから。」

GregoryはチラリとOliviaを見て
少し呆れた顔をしていた。

「街を出るんじゃないぞ。」


Oliviaは、はーい、と適当な返事をして
私と店をあとにした。



これがOliviaとGregoryの関係性を
実感した時のおはなし。
続きはまた次回に。


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