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#31 鉱石商のPierre(ピエール)

またあちらの世界へ戻った。

Oliviaのカフェのある広場へ向かいながら
季節はさほど変わっていないと感じ
時間のスピードが4倍だとは思えなかった。


Oliviaのカフェに着いたが
Oliviaの姿は見当たらない。

カウンター内にいたOliviaの父親に
聞いてみた。

「こんにちは。Oliviaってすぐ帰ってきます?」

「やぁ、君か。Oliviaは今、
Eveのところに行っているよ。
でも、そのあと鉱石店に寄るはずだから
そこで待ってた方が会えるかも。」

「ホント!?
ちょうど鉱石店には行きたいって
思ってたので、良かったです!
そういえば、今日って何年の何月何日ですか?

Oliviaの父親は少し驚いたような顔をした。

「はは。君は別の世界から来ただけでなく
タイムスリップでもしてきたみたいなことを
聞くんだね!
今日は…えっと。あ、ほら、ここ」

といって、近くにあった新聞の
日付のところを指でトントンッと指差した。


確かに、と私も笑いながら、
日付を確認した。

その日付は、私が来た日と同じ。
つまり、自分の世界にいる間の時間は
ズレていない
ということだった。

私がココにいる間だけズレているようだった。
それはそれで少し混乱するが。


ありがとう、またあとで来ます!と言って、
私は鉱石店へ向かった。


今回は道に迷わず
鉱石店に辿り着き、深呼吸をして扉を開けた。

初めて来た日は、
この扉をくぐった時に
自分の世界に戻ってしまったからだ。


今回はちゃんと鉱石店の店内へ入れた。

あちこちのショーケースやテーブルが
キラキラしていたが
ゴツゴツとした岩や石も多かった。


その様子に圧倒されていると
恰幅の良い中年男性が遠くから
声をかけてきた。

「こんにちは、お嬢さん。
あまりお見掛けしないお顔…
ここは初めてですかな?」

「はい、初めて来ました。」

「それはそれは、ありがとうございます!
やはり初めてお越しで。
綺麗なお嬢さんのお顔は忘れません。
わたくし、この鉱石商をしております
Pierre(ピエール)です。どうぞよろしく。」

Pierreはにっこりと笑っていた。

綺麗な身なりのPierreは
饒舌で商売上手だと感じる話し方で
身に着けているものも
どれも高級そうでいかにも金持ち。

ただ、いやらしい感じはなく
親しげで大らかな印象だ。

「今日は何かお目当てのものでも?」

「いえ、前から気になっていたもので。
鉱石ってなんだか綺麗で好きだし。」

「どれも美しいでしょう?
実はつい最近、新しい宝石が
入荷したばかりなんですよ!
もしお時間あれば、見ていきませんか。」

「是非、見てみたいです!」


私はどうぞこちらに…
と案内されたショーケースの添えられた
豪華な椅子に座った。



これがPierre(ピエール)に出会った時のおはなし。
続きはまた次回に。


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