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クライミングシューズは痛みを我慢して履くもの!は都市伝説なのか?

痛いクライミイングシューズ

いきなり結論になってしまいますが、私は痛みを我慢しなければ履けないクライミングシューズは使いません。

ある程度の圧迫感は必要ですが、痛いほど強く圧迫するようなものは履きません。特に小指側が強く圧迫されるものは自分の足に合っていないことが多いので、そういったタイプのクライミングシューズは選ばないようにしています。

私は日本人特有の幅広の足なので、見た感じが細い作りのクライミングシューズはフィットしません。

講習会などで、新しいクライミングシューズを履いている受講生の方からよく聞くのは「痛くて履ていられない」「お店の人に痛いぐらいがちょうどいいと言われた」「痛くても我慢して履くもの」といった内容です。

確かに、長い間クライミングシューズは「痛みを我慢して履くもの」というセオリーがありました。なんとなく、大雑把に一部でセリフだけが引き継がれてしまっているような気もします。

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ひと昔前

ひと昔前は、痛くないクライミングシューズを履くと、使っているうちに全体が伸びてしまい「ブカブカになってしまって使いにくい」というようなことがありました。その対策として、最初は痛いのを我慢して履いて、クライミングシューズが足の形に馴染んできたときがぴったりのサイズになるようにしていたのです。

これはクライミングシューズの素材によるものだと思います。天然の皮は伸びることによってその人の足に次第にフィットしていきます。野球のグローブが、最初はゴワゴワしていたのが使っていくに従ってしなやかになり、だんだん手に馴染んでいくような感覚に近いです。


現在は

現在はクライミングシューズ自体も進化していますし、メーカーも増えました。業界にも多様性が出てきたので、ひと昔前のように、我慢して履くという機会は少なくなっても良いように感じます。

日本人に多いとされる、幅広、甲高タイプの足に合ったものや、柔らかいタイプなど、最近は日本のメーカーも出てきていますので、アジア人に合ったクライミングシューズもたくさんあります。

昔は今に比べソールも硬く、厚めのものが多かったので、おろしたてのクライミングシューズで細かいスタンスに乗っても、スタンスの細かな感覚があまり足に伝わってこないので、よくわかりませんでした。

登っているうちにソールが徐々に削れていって、革が伸びて、クライミングシューズが足の形に馴染んで来たときが、最高のパフォーマンスを発揮できる時です。

私はスポルティバがあまり足に合わないのですが、選択肢が他に無いので当時は我慢して履いていました。革が伸びて、ソールが薄くなってきた頃、とても使えるクライミングシューズになるのを知っていたからです。

ですが最近は、そもそもクライミングシューズ自体が柔らかく出来ていてソールもとても柔らかいものがあります。

天然の革を使っているものは野球のグローブのように「伸ばしてなじませて使う」イメージですが、合成皮革はほとんど伸びないので、最初から自分の足に合ったものを選ぶことが出来ます。またソールが柔らかいものを選ぶとさらに足になじみやすいのでおすすめです。

ただし柔らかいクライミングシューズは、天然の革で作られたものに比べて長持ちはしませんので、それをふまえて使ってください。

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痛いクライミングシューズも必要

「では現代は痛さを我慢して履かないのか?」と言われると、そんな事もなく、とても難しいクライミングをする場合にはそういったクライミングシューズが必要になります。

合成皮革はほとんど伸びないのですが、多少は伸びます。その多少の伸びさえもクライミングに影響してしまうような難しいクライミングには、やはり我慢して履くタイプが適しているといえます。

つまり、アルパインクライミングだったりマルチピッチクライミングで、5、10を中心に登る方や、フリークライミングでも人工壁やゲレンデで簡単なクライミングを楽しみたい方は、そこまでシビアな条件をクライミングシューズに求める必要がありません。

クライミングのソールはとても高い摩擦を発生させるゴムです。クライミングシューズを履いているだけで、スニーカーなどで登るよりはるかに登りやすいので、最初は、自分のクライミングスタイルにあった履きやすいクライミングシューズを履くのが1番良いと思います。

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