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泳ぐ夜

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

恋を続けていく終わりはあるのでしょうか?この恋の状況を考えると、いつも私は小川洋子さんの「バックストローク」という小説を思い出します。

最初は優秀に泳ぎ続けていたのに、ある日どこかがおかしくなる。おかしくなるのを治そうと色々するのだけど、どうにもなくなって、周辺の方々が疲れ果ててしますのです。

私は今この恋の荒波を、順調に泳いでいるように見えるのに、実は悲しみを忘却してしまうほど壊れていて、他の人に話せばみんな心配してくれるのに、飄々とこの生活をやめる気がないのです。

バックストロークでは、最後おかしくなった場所が取れてしまいます。そこだけ最初からなかったかのように、ゆっくりと本人から切り離されています。でも本人は気にしないまま物語は終わります。

私の恋心もいつか私から離れて、いなくなってしまうのかもしれません。でも残った私はそれに気づかないまま、いつもと同じ指で次の約束を打つのです。

恋はきっと泳ぐものだと思っています。溺れるのも、完泳するのも、揺蕩うのも自分次第です。そして壊れて、何かをなくすのも長く泳いでいるからなのです。

それをふっとベッドで思い出します。バックストロークに恋の話は出てきません。それでもこれは私には恋の戒めの為の物語です。泳ぎきれなければ、壊れていくのです。それに気づかないまま私は今日も泳ぐのです。泳ぎ疲れる事を忘れたのかもしれません。疲れたと気づけたなら、きっとぐっすり眠れたでしょうに…おやすみなさい。

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