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食べ塾番外編:万が一の時に特に役立つ禁断の「閉店の極意」をお届けします!

  人間の一生と同じように飲食店も誕生があり、やがていつかはお店を閉じる時が必ず来ます。
でも多くの場合は、家主さんの契約書の通りに閉店処理をしています。
そこに何十万円、何百万円というお金を閉店の為に無駄に費やしています。

それに気づいていただくためにこの投稿をあえてします。

知人友人の方が閉店されるときに、ここがお役に立つと思う点がありましたら、プリントするなり、note投稿をご紹介するなりしていただければ、
投稿する甲斐があると思います。

■廃業要因の主なタイプ<参考>

1,赤字経営の長期化で疲弊の末に閉店
  よくあるのは開業以来長期にわたって「黒字化できる仕組み」が全く
できていないまま、借金も含めて資金をつぎ込んで経営してきて、
資金の枯渇がお店の終わりになったという例です。

2,経営者の高齢化や病気・店舗の老朽化が同時期になって閉店を決めた
  ほとんどは70代になるまで頑張られた経営者の方が、子供がいても
敢えて飲食店を継ぐには、店舗のリニューアル、お店の仕組みの変更、
店の経営や調理技術の取得など山積みの難題を抱えてしまうことをやめ、
閉店を決意するケースが多いことです。

3,店舗をリニューアルしても借入金の返済めどが立たない
  20年~30年と長期にわたり飲食店を経営して店舗が老朽化した
場合、新規に建て替えしたり、内装のリニューアルを行った倍には、
年商高に関係なく「何百万円」「何千万円」という投資が必要になり、
予測できる年商と返済額の重さをはかりにかけて断念するケースも
あります。

4,後継者の不在
  実子がいるいないではなく、自分が経営してきた「商売」を、
給与も確定で待遇もそこそこのサラリーマンを辞めて、365日が
勤務の経営者道にシフト替えできるのでしょうか?
実子がある方でも2~3人に1人と思いますし、全員拒否というケース
もあると聞いています。

5,売上の激減で赤字転落、借入金の増大で閉店を決意

①近隣に強力なライバル店・複合施設ができた
②長期に店の味を守ってきた料理長が引退して2番手が受け継いだが
 店の味と違う料理に作り変えてしまった。
③ずさんな管理で食中毒の発生をしてしまった。
④動画サイトにスタッフの悪ふざけがアップされ批判を受けた。
⑤店舗の外観・店内が古びてみすぼらしくなった。(10年以上経過)
⑥昔ながらの飲食店経営感覚であり、お客様のリピートがなくなった。


■経営危機・いずれ閉店が出てくるお店の兆候とは?<参考>

経営者の頭の中に「絶対覚えておくべき数値」がインプットされていない

  たまに打ち合わせの時に、先月の売上はいくらでしたか?食材原価率は?などの問いかけをします。
もともと水商売と言われる「飲食業」は、数少ない自店の持っている数値が、
今後の方向を決める、やるべきことを決める「大切な目安」になります。

波のまにまに漂う浮き輪のようにどこに行くかわからない経営をしないために、自店の持つ良い数値・悪い数値の把握が絶対必要です。

これがインプットされていない場合は、経営の適切な判断ができません。


②売上目標がない経営をしている

  年間・月間に支払うべき経費のリストはあっても、それを支払っても
利益の出る売上目標がないと収支バランスが成立しません。

たとえ一流企業でなく飲食店であっても、人件費計画経費計画(全体)
*返済金や消費税も含む、売上計画利益計画の4つの数値計画は、
強い経営体制を作るためには必要なことです。

税理士さんと短期経営計画・長期経営計画を作成することが、経営強化に
つながり、日本政策金融公庫や一般銀行の融資も出やすくなる方法と
考えます。

③食材原価率を5年以上計算したことがない
  
  メニューの売価は、周辺のお店の売価と見比べて「売れる価格」に
設定しているだけで、
しっかりとした食材の原価計算に基づいた売価になっていないお店が
現実にあります。
日々営業をしていても、いくらの売上でいくらの粗利益があるか?
誰も知らないお店があるということになります。(*まさに恐怖の館!)

④メニュー変更を3年間以上行っていない

  消費税率もほぼ5年おきに変更されています。
一方で、小麦粉やサラダ油、砂糖、塩などの基本食材は年間何回も値上げを
通告してきます。
これを吸収したうえで、適正に必要な利益を確保するためには、

「食材原価の計算→仮売価の設定→食材原価率仮設定→原価率と売価の調整
 →原価率の決定・売価の決定」

の順で行います。

この大切なチェックと設定作業をしていないお店は、月々・年々粗利益率の
減少で、本格的な赤字体質に陥るリスクを抱えることになります。


⑤コストコントロールが長期にわたり野放し状態

  従業員任せ100%にすると、経営責任も、売上責任も、管理責任も
負う人がいなくなりますので、
経営者は10%でも、関わることで1を知り10を知ることができます。

ランニングコストは、食べ残しのラーメンのようなもので、
ぶよぶよになるまで、時間とともに「膨らみます!」

店舗コストは→膨らむのは簡単、縮めるのは大変! 
なのです。
(*定期的に3か月おきくらいでチェックすることが大切です)


ここからが廃業の極意の説明です!
極意1:「スケルトン」(原状回復する)を避けて
     居抜きで売れるようにがんばる!

  あなたは賃借契約書にある退去時の項目に「原状回復」という
文字の意味をご存じでしょうか?最初借りたときの状態にすべて
「戻す」ということであり、内装の撤去、厨房設備の撤去、空調設備や
トイレなどの撤去を意味します。
普通200万円~300万円、大型店で1,000万円クラスの撤去費用が
かかることになります。

(*店舗の内装や設備をそのまま残す場合は「現況渡し=居抜き」
なります)

<最初>
テナント物件はスケルトンという何もない空間をベースに賃借契約します。もともとはコンクリートの躯体と、コンクリート壁(orブロック壁)で
仕切られた四角のテナント用の空間をさします。

<内装工事を加えて店になる>
何百万円、何千万円という資金を投入してお店が出来上がります。
●店舗取得費用  ・・・敷金4か月分~12か月分、前家賃1か月分以上
                         (*工事期間等)
●工事費用    ・・・内装工事、厨房設備工事、空調換気工事、
 給排水工事、照明工事、家具工事、クロス工事、外構工事、看板工事等。


◎契約書の中に「文書にて6か月前に通知とか3か月前までに通知」とか
 退去の通知を何か月前までに行わなければならないか?
 明記されています。

◎これと自店にとって都合の良い退去時期を重ね合わせて、「撤退月」を
 決めることになります。

◎撤退月のコツ
 1,居抜き転売先が決まっている時
   
双方が合意の期日まで営業して店舗と機材を早めに引き継ぐ。
   1か月以上次の開業がない場合は機器類の不調が出る場合が
   あります。主に店内の湿気による劣化が原因です。

 2,スケルトンで返却する時
   
めったに行わないケースですので、わかっている人は少ない
   のですが、
   「引き渡しの10日~半月前までに閉店して期日内に撤去を完了する」
   ことが重要です。

   看板を撤去していない、ごみ設備やガス設備を撤去していないなど
   引き渡し期日を過ぎた日数はすべて日割り家賃を請求されます。

 居抜きで次の入居者が決まれば3つの得が生まれる!

●撤去費用が0円になる
●敷金が全額返ってくる
●内装費用の一部や中古評価の機器類がお金になる



極意2:居抜きがだめなら、「肩代わり」の
    経営者を見つけて1円で店舗を渡す!

  最悪の場合で内装費用や厨房機器・空調機器・レジなどが金銭に
ならない場合でも、撤去費用が500万円、1000万円とかかる場合は、
「1円売却」「1万円売却」などいろいろありますが、
店舗の持ち主から、

撤去にかかる費用+敷金全額の合計額 を返してもらえることになります。

        <肩代わりの経営者の方のメリット>

1,最小限度の開業資金で店舗が手に入る
 
  とりあえずは、即営業できるお店を「敷金」の納入やリース機器の
引継ぎなどをして賃貸借契約書を作成すれば、営業が可能です。
(*ただし、引継ぎ後の機器の不良・補修は現経営者負担です)

同業種の場合、同様な店舗構造が都合が良い場合は、
内装費が最小限度(壁・照明)で済み、リスクのある投資は
必要ありません。


2,引継ぎ期間を最短または0にすれば、売上と顧客を引き継げます
 
  赤字で撤退した場合でも、月商の100万円なり200万円なりの
売上高は「ベース売上高」として引き継げます。
同時に顧客も閉店期間が「45日未満」でしたら取り込みは可能です。

3,個人店ならば、店名の使用が認められやすい

  ブランド力のあるチェーン店の倍は新規に加入でしょうけど、個人店
もしくは、ローカルのチェーン店でしたら、店名を「引き継ぐことも可能な
場合が多いと思います。(*メリットのある場合)

4,閉店先が完全廃業なら、調理の研修(有料)やノウハウの移譲も可能と
  思います

5,熟練スタッフの雇用の引継ぎができて募集する必要がない


極意3:自店の従業員・知人・友人に店舗を譲渡する

   雇用スタッフだけで店舗運営するばあよりも、
オーナーが入って少数の社員とPA(パート・アルバイト)の方と経営するほうが、利益が出やすいのです。

完全に分離してもよいですし、場合によっては共同経営的にして雇われ経営者として経営させても良いかと思います。


お店を閉店することも、大きな資金と労力を要します

経営的にも
貴重なノウハウの一つと言えます!

万が一の時のノウハウとして覚えておいてください


(了)

 

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