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食べ塾96:古民家飲食店はこう作るべき~始まった新規開業が加速しています!

  昨日自宅から2時間半かけて雨の降る中をサザンの歌を聞きながら、
”築後100年の古民家を丸ごと使った飲食店の開業に向けてのお手伝いをしてきました。その中で助言したことなど、参考になればと思い大好きなnoteに投稿させていただきます。

■古民家再生は「手を加えずに活かしきる」こと
 が極意です!

 私が生まれた実家ももう築後150年以上たっていると思います。言ってみれば、私も古民家育ちと言っていいかと思います。

 数か月先には飲食店に変るその建物も、私の実家と同じように天井に大きな梁が何本もある大きな二階家の建物でした。
きれいに整地された土の駐車場の周りは、屋敷内の木々が何本も植えられていて、道路に沿ったフェンス脇の1画では、奥さんが好む農薬不使用の野菜が栽培されていました。

民家の玄関を入ると、古風でくすんだ絵の襖(ふすま)とガラス戸でぐるりと囲んだ通しの2間が客席になる場所でした。
建物の改装等についてこんな意見を伝えました。

駐車場は「飲食店らしくすると失敗する」
  土の駐車場でざっと10台くらいは駐車できる広さがあり、高さ3、4m位の様々な樹木が植えられていました。古民家ですから、街中に住む人から見ると「まさに癒しの異空間」です。

店主の方:「駐車場を舗装して線引きして飲食店らしくします」 
オードリー:「それやったら古民家が吹き飛んでタダの飲食店になります」

ます古民家営業は、
外観、樹木、日差し、風、雨、土の香りも店舗要素になります
雑草さえも無料の演出と言えます

何も足さない何も引かない あるがままに活かす

これが最初の極意です。

「古い襖は張り替えようと思います」は逆のやり方です
  古民家の再生飲食店を作る場合は、いかに最初の持ち味や風情をとことん活かしきるかに尽きます。
わざわざお金をかけて、そのままの方が成功しやすいのに、失敗方向へ
お金を使いたがるのかを、店主の方に説明しました。

室内に関しては、今ある建具をそのまま使う。障子や襖を子供さんが破ったら、「折り紙を切り抜いてカラフルに張ってください」と伝えました。
ちょっぴり変な顔をしていましたが、ややすすけて古い感じの古民家の襖の紙の上にピンクのモミジの葉が張られてもいいじゃないのと思いました。

畳はじかに座るので、新しく張り替える方が清潔ですね。
その上に、座卓でなく、洋式のイステーブルを置くように勧めました。
ランチに来られて2~3時間滞留されることを考えれば、座卓は向きません。お子様が来られれば、子供用のイスも必要です。
重量が部分的にかかるので、床の仕様や畳の仕様に工夫が必要です。

通常の昼営業では、エアコンの空調工事、場合のより換気工事が必要と思います。夜間営業をする場合は、各テーブルに適切な照度を保つ照明工事は欠かせません。

古民家の客室は基本的に増改築しないでそのまま生かす
飲食店としての不便さも古民家の味です

お金をかけるのは、最低限度の機器の工事と、調度品、食器などとともに
厨房の設備工事です。
ここは、どうしても食品の保存・調理・冷凍ストックなどが機能的にスピーディーに行うために開業時に一定レベルに仕上げておくべきと思います。
開業後に改装する場合は、休業して行うことになり売上ロスになります。

極力開業時にお金を使わない活かし方で
運転資金を1年分持つ方が成功しやすい!


■焦らずゆっくり着実に進める考えでゆく

  ほぼ99%の人が、
👉開業すればすぐに儲かるようになる
👉日銭が入るから運転資金はいらない
というプロなら絶対に思わないことを、素人の方は簡単に思い込みます

こう思った開業経営者で成功した人は99%いません。

このお店が売りたい料理は、餃子と辛麺と中華の惣菜です。

●第一段階:難易度の低い段階から実行する

 このお店の成長を3段階に分けてご提案しました。
一段階目➡テイクアウト&デリバリー業態
二段階目➡飲食店昼営業(1組客中心、少人数客対象)
三段階目➡飲食店昼夜営業(1組客、多人数客対象)

間違いなく失敗しないところから着手することがプロの視点です。
(*リンゴの皮むきをイメージしてください)

●第二段階:売れる商品を見つけ出す

 テイクアウト&デリバリー販売で月商50万円を売るための商品を餃子と
中華総菜にしました。餃子だけではSNSで拡散しても商品構成がシンプル過ぎるし、季節感のある打ち出しもできません。

売れる商品を見つけ出す➡販売データの集計でお客様が答えをくれます

問題は、どんな商品が売れるかわからないので、

最初は多くの商品をデビューさせて、
  ➡オーダー数の多い商品を複数選び出す
  ➡選び出した複数の商品をブラッシュアップする
  ➡人気1位の商品~人気3位の商品をそれぞれ軸にして、派生商品を
   それぞれ2種類以上試作販売してみる

これを3か月間~6か月間必要に応じて繰り返すことで、自店の看板商品が
台頭してきます。
選択する楽しさから言うと、日本人の感覚は奇数ですから3,5,7で、
次は切りよく10で良いと思います。
自店のリーフレットに載せる餃子の味のバリエーションは、当初は5種類
くらいあれば十分と思います。

●第三段階:儲かる仕組みを商品に内蔵させる

  売れる商品の仕組みを最初から備える商品開発をする。
 ①商品売価➡昔は売りたい商品の原価を調べてそれに利益を加えました。
  今は全く逆の手順で、
市場で売れる商品価格を決める~商品の原価率を決める~使える食材の予算が決まる~予算額に収まるように食材の調整をする~試作を繰り返す~完成

 ②商品名➡商品の購買層を特定する。多くの人に売る必要はありません。
日本国中の絶対食べてみたいと思う人が興味を持つネーミング、商品の良さも伝わるネーミングがとても重要だと思います。
商品が決まる前に「商品名」を決める方が良いと思います。
売りだしのタイミングでチラシやSNSや商品の包材が間に合うようにしたいですね。

 ③商品の形状・ボリューム➡売価が決まれば、「隠れお得感」をどこに持たせるかですね。テイクアウトでもデリバリーでも、通販でも食べた人に満足感がなければ、リピートもクチコミもありません。1個個数が多いとか、たれがサービスでついているとか、ポイント付与で次の購入は少し安くなるとか、お店ごとの工夫が、売上アップ要因になります。

 ④パッケージ(包装)➡商品販売対象者の年齢や性別での好みの色、商品の火入れ手段(揚げる・蒸す・煮る)をイメージする色などを使ったカラーリングが必要と思います。また、SNSで画像をアップした時におしゃれ感も必要になります。

 ⑤販売手段➡このお店は、テイクアウトとデリバリーを最低期間3か月間~6か月間行うことで、仕込み作業・調理作業に慣れる、販売に慣れる、店舗運営に慣れる、お金の収支に慣れることを目的にしました。

 ⑥販促手段➡地元に対する販促は、自家製ちらしのポスティングとテイクアウトとデリバリーによる販促を行い、通販客においては、SNSの発信が苦手なために、ハローワークでインフルエンサーのバイトを6か月契約で10名雇用することを進めました。1人月額数千円ですが、販売商品が無料で食べられる試食体験会を定期的に行うことでメリットがあります。
アップした内容はすべてスマホで確認できます。

■第四段階:試作を繰り返す中で答えが見つかる

  ここで失敗しないようにしたいことがあります。
それは、中高齢者の権限者による決定でなく承認で会ってほしいということです。売れる商品は、その販売対象の客層にある人たちがGOOD!と
言わなければ話になりません。

試作をこれでもかというくらいに続けることは非常に大切です。
また、この商品開発には行政からの補助金対策もいろいろあると思います。

■第五段階:自分の生み出した商品に惚れ込む

  どんな商品でも作り手が、本気で真顔で伝えることは、「本物」として相手に伝わり連鎖します。仮に嘘をついて伝えると、次に会ったときに
言い訳をするので、すぐわかります。

寝ても覚めてもこの商品は素晴らしいと生んだ人が言わなかったら
本当に、誰も言ってくれません

言ってみれば我が子と同じかもしれませんね。

何か一つでも参考になれば幸いです。

お金を使うことより、知恵を使いお金は使わない
お金を使う時は、人の倍使うと効果があると思います

(*商売においてです)

(了)


 


飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします