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地方出身学生ばかり集まるサークル/自分のピザを食べよう

学部の頃の後輩と普段行かない街で飲んだ。平日の遅い時間に知らない街を歩いていると不思議な気分になる。もう少し早い時間に来たら、明け方から昼にかけて降った雪が残っていたようだ。話の途中、筆者と彼が所属していた学内ミニコミ誌団体(ここでは仮に団体 K と呼ぼう)は、なぜあれほど地方出身者が多かったのかという話題になった。

帰宅してから数えてみたら自分の学年 ± 2 学年で東京+首都圏三県(神奈川、千葉、埼玉)出身者は約 34 人中少なくとも 14 人で、40 %程度。母数にあまり自信がないが、誤差はせいぜい ± 5 人だと思うので、ぶれるとしても 35 - 50 % 程度に収まるだろう。つまり、60 %近くは地方出身者なのだ。

比較対象として理工キャンパスで所属していた別団体(団体 R とする)で同様の数字を求めてみる。いま同期 LINE を見て数えてみたら 34 人中、東京+首都圏三県出身者は少なくとも 27 人で 80 %近い。地方出身者はわずか 20 %程度だ。やはり明らかに違う。

気になって早稲田大学全学部の出身高校所在地の割合を調べてみたら、2018年発表のデータによると総合格者数ベースで東京+三県出身者が 73 %を占めるらしい。

団体 R の数字のほうが学生の実際の出身地の分布に近く、団体 K の地方出身学生の多さはやや異常だと言えるのではないだろうか。

なお、簡単のため以下を仮定している。

・出身地=出身高校所在地
・高校所在地の割合がキャンパスごとの比較で一定
・同じく合格者数と入学者数の比較でも一定
・同じく2012 年(筆者の入学年)前後と 2018 年当時の比較でも一定

ではなぜそこまでミニコミ誌団体 K に地方出身学生が多いのか。テレビの一般向け教養番組と違って、疑問文一つへの答えで理解できるほど単純ではないと思うが、考察してみると面白そうだ。

首都圏近郊と地方出身学生に大きな違いがあり、それが多少なりともこの結果に影響を与えているとすれば何だろう。

一つには、漠然とした「大学生活への期待感」のようなものではないかと思う。首都圏近郊出身者と比べて、地方出身者は大学生活の実態に関する情報量に格差があり、その多くは想像で補われていることが多い。また、実家を離れて一人暮らしをするという大きな環境の変化も新生活への期待感を煽る手助けをしているだろう。つまり、地方出身学生のほうが大学生活に過度な期待を持つことが多いのではないか。とすれば、期待と現実のギャップを感じる学生が多いのは地方出身学生のほうだろう。

どこまで本気だったのかわからないが、団体内には「大学生活への期待と現実にギャップがあった人」が多数派というような空気があった気がするのもこの考えを支えている。更に言えば、外部向けには「健全な大学生活からあぶれた社会不適合学生の吹き溜まり」というようなイメージを発信していた気もする。もちろん実際はまったくそんなことないのだが(我々のような団体のビラなんて信用していい内容は連絡先くらいだ)、Twitter では自虐的なほうがお気に入り登録が稼げたりするようなものだと思う。それも意図してニッチ層を狙ったり、イメージ戦略で人数を増やそうとしているわけでもなかった。学生の行動は純粋なのか何も考えていないのか区別できないときがある。眠いので、より詳細な内容はまた後日考察してみようと思う。ちなみに自分が入った理由は単純で、その団体が構内でゲリラ的に開く出店が左翼活動みたいで楽しそうだったから。

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瀧本哲史「武器としての交渉思考」を読み終わった。巻末にジム・ロジャーズの "Do your homework" という言葉が紹介されていた。各々目の前の課題に取り組むべし。いい言葉だ。少しニュアンスは異なるが、むかしむかし他人のことを気にせず自分のことに取り組もうという意味で "Eat your pizza" というインチキな慣用表現を考えたときのことを思い出した。ピザを食べるとき他人のことに構う人はそういないだろう。他人のことを気にせずに自分に与えられた課題に取り組むことは重要だと思う。内容について書くと、特に印象的なのは交渉の現場で見られる非合理的な行動の 6 パターンだった。詳細は読書記録に書きたいが、この分類を作る著者の慧眼よ。本当に急逝が惜しまれる。直接話を聞いてみたい人には、躊躇わずに直接アポを取って会いに行かないと。

日付を跨いで今日は後輩の修論発表会だ。とは言っても何の心配もなく、強いて挙げるなら自分が寝坊しないことかどうかを不安に感じている。

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