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伊川津貝塚 有髯土偶 46:シン・ドングリ

愛知県岩倉市北島町の岩倉市自然生態園内の西側には南北に連なるとんぼ池があって、その池の西岸を辿っていました。

愛知県岩倉市北島町 岩倉市自然生態園
岩倉市北島町 岩倉市自然生態園(岩倉市自然生態園 案内板)

とんぼ池は橋や池がボトルネックになった部分で4ヶ所に分かれていますが、その北から2番目の部分と最北の部分の間にあるボトルネックの北側でアメリカザリガニと遭遇した。

絵地図内(A) 愛知県岩倉市北島町 岩倉市自然生態園 とんぼ池 アメリカザリガニ 

アメリカザリガニは人の動きに敏感で、すぐに物陰に隠れようとするので、撮影が難しい。

そのすぐ北側では水中からトノサマガエルが頭だけ出していた。

絵地図内(B) 岩倉市北島町 岩倉市自然生態園 とんぼ池 トノサマガエル 

アメリカザリガニとトノサマガエルは直前の記事で紹介したヌマガエルにとっては捕食者に当たるからなのか、この部分ではヌマガエルをまったく見かけない。

このボトルネックを抜けると、最後のとんぼ池の広がりがある。

絵地図内(C) 北島町 岩倉市自然生態園 とんぼ池

この部分のとんぼ池がもっとも広い部分なのだが、水面をキショウブ(?)と思われる植物が密集しており、水面を占めていた。

絵地図内(D) 北島町 岩倉市自然生態園 とんぼ池 

この部分がとんぼ池の中でももっとも美しい部分で、西岸沿いは水深が深いのか、カエルやザリガニなどの生物は見えなくなった。

この部分の西岸の樹木にはネームプレートが付けられていたので、樹種が解った。

絵地図内(E) 北島町 岩倉市自然生態園 コナラ

コナラは落葉広葉樹の高木。
果期は10〜11月で長さ15〜20mmの楕円形のドングリを落とす樹木だ。
落葉樹なのに葉は枯れても春に新葉が展開するまで落ちないで残るのが、コナラと推測できる特徴かもしれない。
コナラはブナ科だが、ブナの実(ドングリ)はタンパク質や脂肪分が多く、とても栄養価が高い食物で、熊が好んで食べることをnoterるるさんに教えていただいた。

奥宮に登ったり、林道に入るのが好きな私には冬眠しない熊の出現や出没が過去最多となった熊の出没範囲の拡大は大問題。
noteの記事内容に大きな影響が出る。
国民の命より自分たちの利権を優先させる政権が熊問題に対応するのはかなり先になりそうだ。
ブナの実の豊作年は4年に1回だそうで、次は来年のようです。
「コナラ」とは「小さいナラ」の意で、単に「ナラ」とも呼ばれる。
樹木のナラの語源は不明とされている。
ちなみに「奈良」と関係があるのか調べてみたところ、奈良市の北側には平らでなだらかな南向きの斜面を持つ平城山(ならやま)が広がっており、「奈良」は「なら=平ら」が語源とされているようだ。

とんぼ池の北端部を北岸から撮影したのが下記写真。

絵地図内(F) 北島町 岩倉市自然生態園 とんぼ池

この自然生態園に、とんぼ池があるということは、この池にはヤゴがいる時期とトンボが産卵にやってくる時期があるのだろうが、ここにやってきた8月上旬ではすでに羽化して成虫になり、飛び去ってしまっており、産卵は9〜11月なので、ちょうど池にトンボがいない時にやって来たことになる。
令和5年度の『岩倉市自然生態園 生きもの生息調査報告書』P26(岩倉市/岩倉ナチュラリストクラブ)によれば、平成12年から令和5年に至る24年間で欠かさず岩倉市自然生態園で毎年観察されたトンボは以下の6種類となっている。

・アオモンイトトンボ
・アジアイトトンボ
・ギンヤンマ
・シオカラトンボ
・コシアキトンボ
・ウスバキトンボ

『岩倉市自然生態園 生きもの生息調査報告書』P26

とんぼ池に流れ込んでいる水路の出口脇にクヌギ。

絵地図内(G) 北島町 岩倉市自然生態園 クヌギ

クヌギもブナ科でドングリを落とす樹木であり、やはり落葉高木。
広義では上記のコナラほかのブナ科の果実も「ドングリ」と呼ばれるが、狭義ではクヌギの果実こそが本物(真)の「ドングリ」だ。
カブトムシが集まることで知られ、シイタケ栽培の原木にも使用されてきた樹木だ。
邪󠄂馬臺國(一般には邪馬台国)と対立した倭人の国、狗奴国(クヌコク)の名称を知った時に「クヌギ=狗奴木」説を考えたが、そうした説は無く、Wikipediaには以下の3ワードからの転嫁説が紹介されている。

・国木(くにき)
・食之木(くのき)
・栗似木(くりにき)

Wikipedia

クヌギの古名「つるばみ(橡)」は『万葉集』にも使用例があるが、「つるばみ(色)」という色名で文学作品の中で目にすることがある。
つるばみ(色)は橡のドングリや樹皮を使用して染めた一般に黒っぽい灰色と認識されているが、これは鉄を媒染に使用した場合の色で、素染めだと亜麻色に近い色になり、灰汁を使うと、黄系の色になり「黄橡(キツルバミ)」と呼ばれるという。

クヌギから水路を東に遡ると、上記絵地図では2つの橋が描かれているが、現在は橋はどちらも消失しており、(H)の橋には橋の基礎らしき石が跳び石となって残っているのみだった。

絵地図内(H) 北島町 岩倉市自然生態園 水路 橋跡

上記橋跡を渡ると、ここにもコナラがあったが、樹皮の色も様相も個体差が大きいようで、さっきのコナラとは大きく異なっていた。

絵地図内(I) 北島町 岩倉市自然生態園 コナラ

ここの水路の元は岩倉市自然生態園の外側の東に向いていた。

上記橋跡に戻り、下流側を撮影したのが下記写真。

絵地図内(J) 北島町 岩倉市自然生態園 水路

水路幅は50cmほどで、水深は浅く、水底は白くて細かな砂で覆われていた。
この水路部分では生物の姿は見られなかった。
絵地図にはとんぼ池の東岸に「草屋根昆虫館」が表示されているが、草が深くて入って行くことができなかった。

(この項終り)

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『岩倉市自然生態園 生きもの生息調査報告書』P18によれば、岩倉市自然生態園に存在するブナ科の樹木は上記に紹介したコナラとクヌギのほかにシラカシ、スダジイ、ツブラジイがあるそうです。

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