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#毎週ショートショートnote 「違法の健康」

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『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!9/11 【毎週ショートショートnote】|たらはかに(田原にか) @tarahakani #note 

違法の健康


目を開けたら、手錠。
え?何これ。なんか、そういう…アレ的な?うわ、知らなかった。俺…そういう…なんかヤベェヤツみたいな…
「起きたな?おはよう、爽やかな朝。」
「爽やかな…?」
手錠、以外は明るくて眩しい世界。東からは目が潰れるほど明るい光。
それよりこの手錠は…。
「やっと捕まえた。刑法8万1256番により…」
「ん?」
どうやら、何かに違反したらしい…。目を地面に落とすと見慣れない植物。目の前の…見慣れない生命体…どうやら、コイツは地球のモノじゃない。それに、ここも地球じゃないんだろう。太陽が近すぎる。
「地球脱出。コレは、君が健康すぎるために地球を追い出された。寿命が長い。刑罰デス。だけどね?」
いきなり、空に向かって指を刺す。
「地球、散りました。君の他に、ここに地球の生き物いませんけど。サプリメントもプロテインもないので。ふふ。頑張ってください。」
こんな夢みたいなことあるか。
あってたまるか。

「脳波、どうです?」
「いやあ、幸せな…不幸せな…どっちつかずな意識ですね。」
「精神だけを残して生きる。成功か?」
「どうでしょう。夢を見ている感覚にありそうだ。」
「これからどこへ行くんでしょうか。我々は。」
「誰かの記憶で再生される。しかし、それは過去の姿でしかない。そうだろ?」
「殺されても死なないのは意識。意識さえ健康であれば。」
「体は違法に殺されても辞さない」
「幸せか?」
「…あるいは、しかし。」
「意識の渋滞か。…缶詰にして捨てちまえ。」
「不要ならば、ね。」

どこへ行く?俺の意識。缶に詰められていく、無数の意識。
手錠は管に変わり、その先に見えたのは液体の袋。

「あ、…れ?」
白い部屋に、見覚えのある医療器具。
「起きたな。おはよう、爽やかな朝。」

また、死ねなかった。
「自殺、常習犯だね。もうやめなさい。」
「…もうすぐだったのに。」
「…言ってろ。何度だって取り戻してやる。」
点滴と繋がった腕。

また目を閉じた。
目を開ける頃は、また日常だ。
気が狂いそうなほどカラダは健康だ。精神は死んでいるのに、違法なほどに精神安定剤を飲み続けているカラダは健康そのものだ。

#カセットBOYさんの写真お借りしました感謝

#違法な健康

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