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2021名古屋大学入試問題二次試験 化学 第1問解答解説

大学入試 名古屋大学二次試験 化学の解答解説です。第一問は,圧力,浸透圧,凝固点降下など稀薄溶液の複合問題でした。それでは見ていきましょう。


問題はこちら


解説

2021名古屋大_001_001


(1) 文字式

一見複雑な実験器具だが,右側の水銀柱は圧力計のようなものと考えていい。とはいえ,圧力などの分野が苦手な人は先に第2問以降にいってもいいのかも。
(ア)はサービス。高さの変化半分に気を付けて。
(イ)は「釣り合っている」ということから浸透膜の両側というイメージで解こう。
(ウ)は,「内容積の変化」をキーにして,ボイルで解こう。Vの単位がmLになっているところには注意して。
(エ)は,大気圧と水銀柱の比較ということから,比に持って行けばOK


(2) 浸透圧

文字式の(イ)を使っていこう。ただ,先に有効数字2桁で問題を進めていくと,一桁多く計算してPbが1.04×10⁵になる。これを利用していくと,

Π=4.1×10³ くらいになってしまう。

もう少し桁多めで計算していくと,図のようにPb=1.041666…×10⁵で,この場合

Π=4.3×10³ くらいになる。 どちらがいいのか…

Pb-P₀で(10⁵を一回横に置いて考えますが)1.0416..-1=0.0416...が出てくると,有効数字が5桁から3桁になる…というか,そもそも問題が有効数字3桁で与えられているのでPbが1.04を採用してもいいのではないか。予備校や問題集などではこの解き方になっている場合も多いです。

ただ,個人的には,おそらく問題制作側は計算機で準備しているでしょうし,引き算後に少数点以下がかなり吹っ飛んでしまう場合は誤差が大きくなるということは予想できるので,あえて桁多めに残しておいて計算をするほうがいいのではないかと思います。

hは,Pb-P₀を利用します。結局比でいいわけですが,上の小数点の問題が引っ掛かってきます。(私は図のやり方(桁多め)でやります。


(3) ファントホッフ

計算できてきていれば,あとはぶっこむだけです。体積がLである点には気をつけましょう。こちらは,(2)の数値がどっちであっても同じくらいの値になるみたい。


(4) 凝固点降下

実質,別な,簡単な問題です。大問の中にこういうのが紛れ込んでいることはあるので,優先的にやってもいいし,しっかりつぶしていこう。

質量モル濃度も計算しやすいうえに,答えは選択になっています。電離後何倍の物質量になるかというのをうまくとらえて早めに済ませたい問題です。


所感

比較的取り組みやすい問題ですが,文章量も結構多いのでしっかり読み込む練習も必要です。U字管自体は頻出なので,液柱の圧力と合わせて確実に処理できるようにしておきましょう。