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タイ一人旅小話 #5 怠惰なタイ人たち

もうちょっとさぁ、頑張ろうよぉ

大谷翔平

MVP受賞発表の動画で、大谷翔平が愛犬デコピンと戯れている時に放った言葉である(実際の動画はこちら→MLBJapan)。
しかしまあ、大谷翔平の言う“もうちょっと”はなんだか“もうちょっと”では無い気がして少し怖い。

タイ旅行は、この「もうちょっとさぁ、頑張ろうよぉ」の連続であった。というのも、タイの店員はとにかくやる気がない。店頭であぐらをかきながらご飯を食べるのは当たり前だし、机に突っ伏して寝ている人も何度か見た。もはや羨ましい。我々日本人もこれくらい適当に接客する姿勢を見習うべきでは無いだろうか。
そして、そんなやる気のなさについて特に印象的だったのはモンキーショーでのことだ。

チェンマイ観光の際、チャーターしたタクシーの運転手にオススメされてメーリムモンキースクールという場所に訪れた。ちょっと大きい家の庭くらいしかない園内には何匹かの猿がいて、餌をあげたりモンキーショーを見たり出来る。なんとこの日の客は私1人。平日とは言っても客が少なすぎるし、園内はお世辞にも綺麗とは言えず、正直この時点で私はかなりガッカリしていた。

とりあえずスタッフの案内に従い、モンキーショーの客席に座ると、音楽が鳴り出しモンキーショーが始まった。スタッフがアナウンスを始めると、猿使いと猿、猿芸の補助スタッフが登場する。客が少なすぎて、スタッフ3人と猿1匹と客1人という超VIP待遇だ。

肝心のモンキーショーは「もうちょっとさぁ、頑張ろうよぉ」の連続であった。
まずアナウンサーは基本的にやる気がないのか、斜めかつ足を組んで椅子に座っている。さらに、途中でなんか滑舌悪くなった?と思って見てみると、猿の餌用に置いてあったみかんを貪り食いながらアナウンスをしていたのだ。いや、夢の国くらい元気良いアナウンスを求めていた訳ではないが、さすがにそんなやる気ないことある?と思い笑ってしまった。
猿使いも盛り上げようという意思はあまりないのかずっとテンションが低かったし、補助スタッフはボールを猿に渡す際にはめちゃくちゃ蹴って渡していた。
 猿も猿でたまにやる気がない。基本的には素晴らしい芸を見せてくれたのだが、3m位の距離からバスケットボールをゴールに入れるという芸だけはとにかく下手くそなのである。結局何度もやり直し、成功率は10回中1、2回であった。
そんなこいつらは全員チップおねだりタイムだけはかなり積極的になる。仕方ないのでちょっとだけあげた。まぁ芸自体は意外と良かったし。

そんなツッコミどころ満載のモンキーショーだったが、なんだかんだ結構見応えもあり、終わってみればとても楽しかった。なにより、あのやる気のなさは日本では見られない新鮮さがあり逆に面白かった。という訳で、結果的にはタイ思い出ランキング上位にランクインしている。

いいじゃないか、ご飯を食べながら仕事をしたって、パフォーマンスに失敗して何回もやり直したって。
私もそれくらいゆるゆるで生きていきたい。人生、「もうちょっとさぁ、頑張ろうよぉ」くらい適当な方が面白みがあってちょうど良いのかもしれないな。

おさるのsamくん
この後一緒に写真撮ったり握手したりした



続く。


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