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いちばんいけないのはおなかがすいていることと、独りでいることだから

年末の特番で大好きだったドラマが再放送されていて嬉しくなったので、わたしのお気に入りのシーンの話を少ししよう。

ドラマ「アンナチュラル

石原さとみ演じる美澄ミコト率いる、UDIラボの個性豊かなメンバーが、毎回直面する様々な不自然死(アン・ナチュラル・デス)をリズミカルに解き明かしていく法医学ミステリーだ。

舞台は最終話。

数話を通して物語をかき乱していた全ての連続殺人の黒幕が明らかになり、怒り、絶望、悔しさ、悲しさ、やるせなさ。そんな感情でいっぱいなはずの主人公のミコトが、誰もいないロッカールームで天丼をもくもくと食べている。

一口ずつ口に運び、淡々と食べていくそのラストシーンがとても印象的で、わたしは自然と湧き出てきた涙をこらえることができず、ぼろぼろとこぼしながらその画面をじっと噛み締めていた。

どんなに悲しいことがあっても、
どんなに生きることに絶望しても、
生きている限り食べていかなければいかない。

食事をすること、それはつまり
命を紡いでいくことなのだ。

なんだかそう教えてくれているみたいで、胸の奥がぎゅうっと苦しくなった。

死をテーマにしていたこのドラマにおいて、食事のシーンなんて取り立てて映す必要はなかった。なのにこのドラマは毎回、大事な話をするときや、大切な人と話すときに食事のシーンを挟んでくる。その度につくづく、明日も生きていくためには食べていかないといけないんだよなぁ、当たり前のことなんだけど、食事って人間が暮らしていく上で大切な行為なんだよ。そう訴えかけているようだった。

(ドラマ自体も1話完結型でテンポ良く進んでいくのでとてもおすすめです。普段ドラマあまり見ないわたしでも毎週待ち遠しかったので、ぜひ機会があれば見てください。)


わたしの一番好きな映画。
サマーウォーズ」の栄おばあちゃんも劇中でこう言っている。

いちばんいけないのはおなかがすいていることと、独りでいることだから
家族同士で手を離さぬように、人生に負けないように、もし、辛い時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんな揃って、ご飯を食べること

このことばが本当に好きで、わたしが料理を自分を表現するツールとして選択したときに、力強く背中を押してくれたことばたちだ。


食べ物に敬意を払い、食べてくれる人のことを思って、丁寧に料理を作ること。
何も持ってない、何者でもないわたしでも、料理が作れることは、人に誇れる、唯一の得意なことです。

わたしは、わたしが大切にしたい人たちに何か嬉しいことがあったとき、悲しい気持ちを抱えているとき、歩き疲れて少し立ち止まってみたくなったとき。
どんなときでも温かくて美味しいごはんで、そっと心に寄り添ってあげたい。
そこにきっと言葉はいらない。

料理を始めた時、信念として心に決めたこと。

去年の暮れから田舎暮らしシェアハウスで暮らすようになって、大切な人たちと食卓を囲むようになった最近は、特に強く思うようになった。
料理はわたしにとって、感謝と敬意、そして愛を伝える最大のツールです。


最近はシェアハウスの仲間たちと、きちんと朝ご飯を食べるようになった。
最後のひと口のお味噌汁を胃の中に流し込んだあと、

「今日も朝が迎えられたなぁ。」

と、しみじみと噛み締めながら少しの間、ゆっくり朝の空気を楽しむ時間がとても好きで、

あぁ。わたし生きているなぁって、感じます。


食べることは生きること。

みんなに伝えたいわたしの大切な価値観、
まずは身も持って、丁寧に体感していこう。

昨日から用事でシェアハウスを空けているんだけど、すでにホームシックで帰りたくなってしまった。笑

すっかり実家のような、家族のような、あたたかい場所になりつつある。少しずつ、家族と思える大切な仲間が増えたらいいなぁ。

そんな家族のような仲間たちと食卓を囲む日常が、わたしにとっては、なによりも幸福で、かけがえのない時間なのである。

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