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台本を書くための練習法とは

 こんにちは。さわなです。
 前回記事は「台本の書き方がわからない」質問を受けて、(私流)書き方についてレクチャーしました。今回もその派生で台本を書く練習法について模索していきます。

・ ・ ・

台本の練習法とは?

▶︎何事も練習しないと上達しない
 スポーツも絵も練習しないと上達しない。それと同じように台本・小説も書かないと上手くならない。

▶︎とにかく書くこと。読むこと。
 書けば書くほど上手くなるはずだ。どうやったら読み手に伝わるか自分で頭を使いながら書くことで文章の組み立て方であったり、文章表現を鍛えることができる。
 書くための材料となる言葉に強くなるために文章を読むことも大事。(参考記事:「たくさんの言葉を知って文字に強くなろう!」

▶︎どうやって練習すれば良い?
 ただ闇雲に書けばよいものでもない。きっと効率が良い、身になる練習法があるはずだ。話は変わるが、絵画や武道の練習法からヒントを得たいと思う。

【絵画の練習法】模写・習作から得た練習法のヒント

▶︎絵画には模写・習作という練習法(作品、練習台)がある
 模写:他社の作品をそっくりに写しとること
 習作:練習として描かれた絵、練習台の絵

模写はトレースを連想し、「悪いこと?」と思われる方もいるかもしれないが、絵画の練習法としては一般的。練習として個人の範囲で扱う分には問題ない。もちろん模写を発表するのはよろしくない。

 模写は手本の絵を真似することで、絵の構図やタッチ、色彩など手本の技術を学び取るのが目的だ。そっくりな作品を作ることが目的ではない。自分の学びにならないとまったく模写の意味がない。

 模写・習作についてはこんなエピソードがある。
 私が小学生の時、絵を描くのが上手なクラスメイトがいた。自由帳には当時はやっていた漫画のイラストがいっぱい。どこかでみたことがあるイラストがあり、それは漫画の表紙をそっくりそのまま真似して描いたものだったそう。これが模写だ。
 彼女は本物を真似して描くうちに、手本なしでもラストが描けるようになった。オリジナルイラストの前のページには、髪や瞳、手ポーズなどを部分的に描いたイラストがあった。これが習作だ。

 いきなりプロのような絵が描ける人はいなくて、目指す絵の真似から始まっている。

【武道の修行】守破離から得た練習法のヒント

▶︎武道の修行には守破離という考え方がある
 :師の動作を完全に真似して基本形を守る
 破:師以外の動きも参考にし、違ったものを少し取り入れることで型を破る
 :自分のオリジナリティを加え、師から離れる

 武道は基本や型が非常に大事。師を真似することで基本を学ぶ。そこから他者を研究し、自分の考えを取り入れ個の技を確立する。守破離の過程は師事した弟子が自分の流派を作るようなものだ。

 料理人だった私の祖父の話だ。師匠の技を見て盗んだそう。
 弟子になったばかりの頃は包丁を握らせてもらえなかったので、ひたすら師匠の動きを見て覚えた。包丁を持てるようになってからは見て盗んだ動きを実践し料理の腕を上げていった。

 スポーツだってなんだって、最初はみんな素人。こちらも絵画の模写同様、師匠の真似から始まる。スポーツや技術系分野だと「師の技は盗め!」という考え方がある。

 芸術分野に置き換えると、技術を盗む=作品の盗むこと(盗作)ではない。技術を盗むとは目指したい手本とするべき作品の良いところを学び取ることだと思う。具体的な方法について模索していこう。

台本の練習法の提案

▶︎本質を掴んでこその“真似”
 最初は師とする先人の真似事から始まる。真似をすること基本やマインドを学ぶのだ。ただ真似をするだけでは意味がなくて、自分の技術に昇華することが真似の極意だと思う。
 つまり、真似とは本質を掴む練習なのではなかろうか。
 どうやって絵を描くのか? 絵で何を表現するのか? 武道のこの動きにはどんな意味があるのか?
 本質が掴めれば、応用できるし、自分で自分を育てていける。

▶︎台本・文章作品練習過程の“真似”とは?
 それでは、具体的に台本の練習法について考えていこう。まずは先人の真似をする…と言いたいところが、文章作品の真似=書写?

▶︎真似=書写では意味がない
 文字を書き写すだけではまったく意味がない。絵画の模写と同じように技術を体感しないと意味がない。文字を右から左に書き写すだけでは頭を使っていない。自分の頭を使わないと身になる練習にならない。

▶︎具体的な台本の練習法について4つ提案する
 頭を使いかつ先人の技術を学べるような台本練習法を提案する
 ①台本の要素分解
 ②既存作品の中間を想像して書く
 ③既存設定を利用した続編やサイドストーリーの創作
 ④自分の好きなイメージを文字で具現化する

【台本の練習①】台本の要素分解

 「台本をどうやって書き始めたらいいのかわからない」方は既存作品を見て分析することをお勧めする。(書き方がわかる方は②へ)
 何が、どうやって書かれているのか台本の骨子を掴んでいこう。

▶︎台本の要素分解とは?
 ・あらすじ(構成)
 ・人物像
 ・自分が気に入ったところ
などなど

▶︎台本の要点を抑える
 このように台本の骨格を簡潔に読み取る。要約した文章として書き出すと良いだろう。
 可能であればあらすじは「ヤマ場とオチ」「起承転結」「序破急」などの構成に当てはめてみると勉強になる。
 特に大事だと思うのが自分が気に入ったところの分析。自分の心に刺さったところは何か。これは作者が読者に伝えたいこと(大事な点)に等しいように思う。

 ▶︎骨格から細かい文章を見てみよう
 分解ができたら、骨格を元に細かい文章を見ていく。
 「この台詞を契機に話が急展開している」など構成と台詞の関連を分析したり、「この性格のキャラがこんな台詞を言ったら刺さる」「この台詞が好き!」「この展開がいい!」など自分の感性に響いたポイントを探っていく。
 文章や言葉として見るのではなく、「自分がどう感じたか」視点で台詞を見る。
 次に、この感覚を自分の言葉でどう表現するか考えてみよう。気に入った場面でもいいし、気に入ったセリフでもいい。自分の言葉や表現に必ず置き換えてみよう。言葉の言い回しやチョイスは作者の持ち味が出るところだと思う。言葉の真似になってはないけない。オリジナリティを出すには自分の考えた言葉に置き換える練習が必要だ。

【台本の練習②】既存作品の中間を想像して書く

 練習②以降は考えて書いて学ぶ練習だ。
 練習①は見て作品の骨格を掴むことだった。骨格は設定や構成にあたり、作品創作で重要なところだと思う。私はゼロから設定や構成を作るところが一番苦労するのだが(逆にすんなり行く時もある)、既存作品の骨格を利用することで、台詞を書く練習だけに注力できるのが②の利点だ。
 提案する練習方法は既存作品を利用したもの。台本の習作にあたる。トラブルの元になるため、書いても発表は控えて欲しい。

▶︎既存作品の骨子に肉付けをする訓練
 既存作品の設定とストーリーの骨格を使わせてもらう。ストーリーの「はじまり」「ヤマ場」「オチ」を使わせてもらい(台詞や場面を引用し)、その中間を自分の想像で自由に書いていく。

とある本にあった文章力を鍛える方法として、
購入した小説を読む前に中間部分を目隠しして、はじまりと終わりだけ読む。その間を自分で考えて書く。
とあり興味深かったので共有する。今回の提案もそこからヒントを得たものである。

▶︎お題だけ与えてもらう
 これは発展系になるが、既存作品でなくても「設定」と「はじまり」「おわり」(もしくは大まかなストーリー)を第三者から与えてもらい書くのも練習になる。この練習で書かれた作品はオリジナルであれば発表OKだ。

【台本の練習③】既存作品を利用した続編やサイドストーリーの創作

 ②でも話したが、文章創作で一番苦労するのが物語の設定や構想を固めるところだと思う。練習③は既存作品を利用し二次創作で書く練習をしようというもの。

▶︎妄想を形にする
 「メインじゃないけど◯◯と●●のストーリーを見たい」「私ならこんな続きを考える」
 好きな作品だからこそ妄想が捗ることがある。それを文章にしてしまえば良いのだ。一番苦労する0から1にするところは済んでいるので、あとは頭の中の好きなキャラが動くままに想像を文字にすればいいのだ。
 既存作品を利用するメリットとしては設定を考えなくて良いことである。文章(台詞)を書くことに集中できる。

練習で大事なことは練習課題を細分化することだと思う。
鍛えたいところに注力する状態を作ること。集中できる課題の与え方が重要だ。

▶︎台本の二次創作は作者の許可を取ろう
 私の経験だが、とある作者様の台本の続きを書かせてもらったことがある。その時は「とても素敵なお話で続きを書いてみたいので書かせてください」とお願いをした。快く許してくれて、創作することができた。
 フリー台本としては発表していないが、個人の範囲で楽しむのか、投稿サイトに掲載するのか原作者さんには事前に意向を伝えておこう。
 もちろん二次創作NGと断られる可能性もある。それも頭に入れて申し出る。
 版権二次創作の場合、許可しているサイトなら発表OKだ。

【台本の練習④】自分の好きなイメージを文字で具現化する

 ここまで来たら練習の最終段階。もはや実践というか本番のようなもの。(書いた台本はオリジナルならば発表可能だ)
 練習は3つの工程がある。

▶︎ステップ1:自分の好きなイメージを膨らませる
 好きな台本、小説など好きな文章作品が醸し出す雰囲気。自分の好きな要素(キャラクターやシーン)などを頭の中でとにかく膨らませる。自分の好きを集めて頭の中で発酵させる。
 目指したい作品の作風を手本イメージとして、頭の中に思い描いて、忘れないようにしておく。

▶︎ステップ2:書いて自分の作品を創る
 ステップ1で集めた好きを自分の言葉で表現しよう!
 言葉が溢れ出るままに書けばいい。

▶︎ステップ3:自分の作品を読み返す
 3段階の中で最も重要な反省会。
 ステップ2で書いた自分の作品を読み返して、ステップ1で覚えておいた“手本とする作品の雰囲気”と同じか、自分が好きなもの好きな作品に対して抱く感情をステップ2で書いた作品にも感じるか振り返ってみよう。
 同じ感情にならないなら、ステップ2にはあなたの好きなものがうまく表現されていない。きっと“好き”が足りない。何が具体的に足りないかは、手本と習作を見比べて自分で探してみよう。言葉の言い回しやチョイスの違いか、ストーリー展開か、視点か…その違いに気づければもっと成長できる。

創作の答えは自分の中にある

 練習の仕方、考え方の例から具体的な台本・文章作品の練習法について考察してきた。師や先人の真似が練習法のひとつで、真似にも真似のやり方があることを主張してきた。
 創作分野では「真似は良くない」風潮があって、題材が似ていたり、同じ言葉が使われていると「似ている!」「真似された!」と疑心暗鬼になり、不快になるものだ。それもわかるのだが、言葉は共通言語で熟語やことわざ、慣用句、比喩表現は先人が作り出し積み上げたもので、それを現在の我々が借りている。「たまたま似てしまう」可能性はゼロではない。
 「真似にならないように他者の作品は見ない」のが対策のひとつではあるが、それも非常に残念に感じる。視点を外に向けることで、新しい自分を発見できるチャンスがあるからだ。

▶︎作品鑑賞は他者の作品から「自分の好き」を探す機会
 他者は自分の鏡。他者の作品で「いい!」「好き!」と感じることがあるだろう。多分それは他者の作品を見たからこそ「自分の好き」を発見できたのだ。自分ばかり見ては発見できなかったと思う。
 創作の答えは自分の中にあるのだが、外からの刺激がないと新しい何かが自分の中から生まれてこない。皮肉だし、矛盾しているのだが、外に目を向けることを怖がらないで欲しい。きっと素晴らしく、楽しい発見があるはず。
 けして強要はしないが、気が向いたら他の創作作品(プロ・アマチュア問わず)に触れる機会も是非作っていこう。

練習①は他者の作品の中から自分の「好き!」を探す訓練。練習④は「好き!」を形にする訓練。

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最後に

 いかがでしたか?
 今回の記事残念なことに回線悪環境下での自動保存の罠にはまり、冒頭以降消失してからの復元でした。もちろん白紙から手打ちで5000字打ってます。
 全部消えたおかげで蛇足がなくなってシンプルになりました(ポジティプ)。でもめっっちゃ悔しいです! 返せ! 5000字! 返せ! 私の睡眠時間! Fuck youーーーーーー!!!!
 …それはさておき、勢いで書いたので文章的に変なところがあったら教えてください(他人任せ)。もう疲れたので教えてくれると嬉しいです。
 今回もありがとうございました。

〜最後まで読んで頂き、ありがとうございました〜

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