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きのこたけのこ平和条約

今日、公園のベンチに
きのこの山のキノコ達を
傘と軸に分けているお姉さんがいらっしゃった。

その姿を見ながら
大学3年の秋、小学生たちの
きのこたけのこ戦争に巻き込まれた日のことを
鮮明に思い出した。

バイトで小学生キャンプの引率をすることになり
初日のおやつタイムで
唐突にその争いが始まった。


きのこ派の女の子と
たけのこ派の男の子が
それぞれ
小さい手に推しを乗せ
どっちが好き?こっちが美味しいよね?
と半べそで迫ってくる。

どちらを食べても、チョコが苦手だったワタシは
どっちも好きじゃなくて美味しいとは言えなかった。

それでも
本当に真剣な顔で問うてくる2人に
「どっちも好きだなぁ。選べないなぁ。」
なんて適当な返答はできないと
本気で考えて


右頬にきのこの山を放り込み
左頬にたけのこの里を放り込み
「口の中、むっちゃ幸せ、ちょー平和」
と破顔して答えた。

一瞬、不服そうな顔をして
「そういう事じゃない!」
「一緒に食べちゃだめ!」
と怒られたけれど
次の瞬間にはケラケラ楽しそうに笑ってくれた。

それから2人はキャンプの最終日まで
誰よりも仲良く遊んでいた。


あの日、ワタシが口内で結んだ
きのこたけのこ平和条約は
今でもあの子達の思い出の中にあるのだろうか。

なくてもいいけど、あったら嬉しい。

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とんでもない幸運です!