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センス・オブ・ワンダー 自然と絵本 一生、生きる喜びを知る

神保町にある絵本カフェ。
休日に訪れれば、たくさんの親子で賑わっていた。

入り口付近で絵本を探していると
「本は嫌だよ〜〜!!」
と、子どもが叫びながら店内へ入ってきた。

同時にそのママであろう方は、叫ぶ子どものベビーカーを押しながら
「〇〇の本どこかしら」と声を周りに向けながら入ってきた。

外遊び大好きな子供たちを育てた経験は、ママの気持ちも子の気持ちも伝わってくるものがある。

聞いちゃいけない、見ちゃいけない。そんな気がして私も同じそこにいたお客さんなのに、関係ないふりをし、絵本を探すふりをした。



絵本との出会い

絵本は読むんじゃないよ。読んでもらうんだよ。
と書かれた本を読んだ。

それから偶然、絵本好きな方と出会った。
カフェで隣に座った方は、絵本好きで絵本図書館を自ら運営されているという驚き。早速絵本をお借りし、大人の絵本の読み聞かせ会にも参加させて頂いた。

「絵本なんて読む暇もない」
とつい最近まで思っていた。が、1ヶ月もしないうちに絵本の世界にはまっている。

当初、絵本が伝えたいこと。一冊一冊秘められた思い。
そこを知ろうとすると、子どもも楽しむ絵本が辛く難しく感じる。

でも一冊の本の出会いが、絵本を変えた。

センス・オブ・ワンダーの影響


その本のタイトルは

『センス・オブ・ワンダー』
レイチェル・カーソン
上遠恵子 訳

二冊の気になる本があり、予算もある。本屋でじっくり手に取り、それから購入するかどうか決めようと思っていたが、店員さんがそうはさせてくれない。
本の検索機で本の場所を印刷した。二冊の本の場所を印刷し、別の一冊の場所が書かれた紙を店員さん見せ尋ねてみた。

すぐに見つけてくださり、ありがとうございました!!とお礼を伝えた。その本を手に、ひとりじっくり購入を考えるモードへ突入。にも関わらず、私の手元に残る場所を印刷したもう1枚の紙、「センス・オブ・ワンダーもお持ちします!」と動かない。別の階の本だし、「結構です!」と断ったが、「いやお持ちします!」とはっきりいう。ま、楽でいいか、とお願いしたら別階からわざわざ届けて下さった。もう返す場所なんてわからない。

とはいえ、一旦手にすると家に帰るまで待ちきれず、電車で読み始めたら込み上げる涙が止まらない。
なんで今までこの本に出会えていなかったのか恥ずかしくなった。

センス・オブ・ワンダー = 神秘さや不思議さに目を見はる感性

この感性はやがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、私たちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する変わらぬ解毒剤になるのです。

妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮に保ち続けるためには、わたしたちが住んでいる世界の喜び、感激、神秘などを子供と一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、少なくともひとり、そばにいる必要があります。

センス・オブ・ワンダー レイチェル・カーソン 上遠恵子訳 新潮文庫 

子どもは小さな体で、恐怖や感動を伴う大自然を既に受け入れている。境界線など引かずに。

そしてセンス・オブ・ワンダーこそが、一生、生きる喜びを忘れなくしてくれるということだ。

自然とのつながり

「樹木の幹に耳を当ててみれば、大地からの水分を吸い上げる音が聞こえる」なんて言葉をどこかで知った。

今朝ふと思い出し、太い欅の樹を抱きしめ耳を当ててみた。
正直、何も聞こえない。
冷たくもなく温かくもない幹が「生きている」と、なんとなく感じた。

耳を幹に当てたまま目を開けば、目の前を小さな蟻が、あのいつもの調子で幹を縦横無尽に歩いている。

なんだか一気に力が抜けた。

地面を歩くしかない人間さま。

「地球をどうにかしなければ」と物心がついた頃から聞かされ続けている。まるで人間に与えられた使命のように語られているけれど、周りの生命、この欅も蟻も、ただただ生かされ命を繋ぎ、地球でのお互い生きることを全うしている。

きっと子どもたちのセンス・オブ・ワンダーはこれを知っている。どうにかしなければ、なんて考えることもなく、地球でのお互い生きる中に既にいる。

子ども時代 母と見上げた空

共働きで忙しい両親のもとに育った。
日が暮れるまで子どもたちだけで外で遊んだ。

そんな中、近所にムクドリの集団がやってきたことがあった。

平日の夕暮れ時。働く母にとっては一番忙しい時間帯。
でもその時ばかりは、母と一緒に空を見上げたのを覚えている。

子どもたちは「みてみて」と大自然で見た壮大な何か、センス・オブ・ワンダーは、大人と一緒に分かち合うことで記憶にも鮮明に残るのかもしれない。

きっと親に限らず、冒険で「入っては行けない場所」で見つけた何か。知らないおじさんに怒られるけれど、残っているのは、実は怒ったおじさんではなく、そこでみた大自然の感動を忘れていないのかもしれない。

絵本の真髄

絵本にはセンス・オブ・ワンダーが詰まっている。
この一冊の本を読んでから絵本を覗いてみれば、絵本は「生命エネルギー」に溢れている。

でも、それは絵本の中だけにあるのではない。

いつかどこかで、その日新しく感じた、センス・オブ・ワンダーが絵本をより一層楽しめているように思う。

「本は嫌だよ〜〜!」と叫んで絵本カフェに連れられてきた子。センス・オブ・ワンダーを知り、こうして振り返ってみると

真っ青な空の秋晴れの日。ベビーカーに乗せられ、最高に心地よい風を楽しんでいたのかもしれない。

「本が嫌だよ〜〜!」ではなく「このまま風を感じていたかったんだ〜〜!」と伝えたかったのかもしれない。

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