仕事中の電気工事士

㉒車が要る、其の四。

ついに試乗のときが来た。

この記事は㉑車が要る、其の三。からの続きです。
待ちに待った時が来た。日本でも車を所有したことはあった。自分でオイル交換もしたし車検を受けたこともあった。だがカナダで車を所有するのは初めてで、何をどうすればいいのか見当もつかなかった。

カナダは間もなく冬に入り、雪にと氷に閉ざされた道では車かバスしか交通手段は無い。無論私が通っている僻地の電力会社へ行くバスなど皆無。

テロリストさんは私を笑顔で向かい入れてくれて、簡単な説明の後に早速試運転を始めた。乗車するためには腰の位置くらいにある椅子に向かって座るため、まずは左足をドアの下にあるステップに乗せて上体を上げる。お分かりとは思うが左ハンドルなのだ。

今日ではコラムシフトなど博物館か大型のトラックしかないと思うけれど、実は学校へ通っているついでに大型トラックの免許証も取得しておいたのだ。これは万が一食えなかった場合の保険として受けたものでした。本日まで一度も使うことは無かったのですが、前の店番を辞めてから失業保険も出ないショックから取ることを決めました。

と言うことで多少なりともトラックの経験はあった。けれどもこれは通勤の時や買い物などに使う普通の足であり、乗り降りが不便だと思った。とは言えベンチシートが結構気に入って、テロリストさんと試乗の旅に出た。

この日も週末だったので商業地域はほぼ無人だったが、そうは言っても道行く車はあるものなのだ。時に遠方からオートバイが見えたときに、こちらは車道へ出るところだったが、テロリストさんは「オートバイだから気をつけて」と言ったが私は無視してアクセルを踏み込んだ。

勢いよく車道に飛び出したものの、そのオートバイはこちらのすぐ後ろに着いてしまい減速させてしまった。

テロリストさんは「ほら言ったろ!オートバイは早いから気をつけないと!」と、丁寧に注意してくれた。自身がオートバイ乗りなのに恥ずかしかった。私のオートバイは400ccでカナダの道にはちょっと小さい。会社に通う高速も110キロ制限になっており、早朝や帰り道など私の横を突き抜けてゆく車の多いこと多いこと!

400ccで高速を走っていると、巨大なトラック軍に抜かれるたびに車体が揺れて怖い。カナダでハイウエーを走るなら少なくとも750以上の排気量が必要だと感じた。町ち乗りなら400ccは最高だけれど、それでもカナダの空っ風を受けながら走ると車体を傾け続けることもあった。

無事にテロリストさんの作業場に戻ってきた。彼は「どうだ?このシートの広さなら彼女とウッシッシだろ?」と満面の笑顔でベンチシートを撫でて見せてきた。やはり男同士だとこういう話で打ち解けるものだ。

ところがその瞬間エンジンから煙が出てしまった。なんと交換したばかりという冷却液がエンジンの下から漏れ出したのだ。エンジンを見てみると冷却液のパイプがパッカリと割れており、そこから緑色のきれいな新しい冷却液がドクドクと漏れているのだった。 


う~む、知り合いじゃなかったら断われるのにな~、、、
㉘初めての四輪車、其の一へと続く。

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