仕事中の電気工事士

㉞職場の面々、ジャーミー。

どこの職場にも必ずユニークな人がそろっていると思う。既に私という日本人が何を間違ったか、カナダのこんな人里離れた巨大な倉庫の中の一角で、それも電気工事をしている。そういう風に捕らえると、私でさえ実はかなり特異な存在に思えて、その風景に加わっているような気がする。

これから以前⑭初出勤、其の四でお伝えした面々との関わり具合を紹介としたいと思います。

トップバッターは太っちょのジェイミー。名前だけ聞くとなんとなく女の子に聞こえるが、これは立派に男の子の名前だという。
農家で育った天真爛漫な男の子であり、常に明るくいつも笑顔をしている。仕事に対する責任感もあるが、おっちょこちょいで結構な配線ミスも多い。課長に同級生のように接しており、弟分という感じがあるせいかいつも許されている。その後外の現場を任されるようになり、かなり若い段階から課長職を任されている点は高く評価したい。

ショップの中は私のピックアップトラックが余裕で6台は停められるくらいの広さがあり、天井も3~4階建てのビルの大きさがある。天井の巨大電球(フットボールくらいの大きさ)を取り替えるためには、直立乗降方のマンリフトを使う。丁度、消防の梯子車が、梯子をにょきにょきと伸ばす感じで、垂直上にある人一人入れるバスケットを天井まで押し上げる。


何故かフェンスに使う支柱がショップ内に数本あった。これにはLの字に折り曲げた鉄製の支柱の元がコンクリートブロックになっていて、コンクリートの部分を掘った土の中に埋める。それをおよそ3メートルくらいの間隔で設置し、その合間合間にフェンスになるような鉄製の網や、太いスチールワイヤーを通す支柱なのです。

ジェイミーはその支柱を数本トラックの荷台に載せて、ロケット発射台のようにしていた。その対抗側にはロビンが床に同じようにジェイミイのトラックにめがけて設置していた。無論私は何をしているのか見当がつかず、もくもくと自分の配線作業をしていた。

しばらくすると「ぴゅ~ぴゅ~」という甲高い音に爆裂音と閃光がショップ内に響いた。驚くなかれ、彼ら二人はロケット花火をお互いに撃ち合って戦っていたのである。それも仕事中に、、、いや、休憩時間だってそんなことをしてはいけないだろう?

あっけに取られてその様子を見ていると、課長が「ニヤリ」と笑いながらその様子をとめるでもなく、そのまま通り過ぎて事務所に消えてしまった。その間も砲撃が止まるでもなく戦いはしばらく続いていた。その光景はまるで3流ハリウッド映画並みの、現実にはありえないと思える出来事であった。

私は自分に「危害がないこと」(標的になっていない事)を確認すると、彼らを驚きの目で見つつ課長と同じように「ニヤリ」と笑って仕事に戻った。


これでいいんだべか?


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