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サバ節 小石安之助商店さんにお邪魔しました。

明治30年創業!
静岡県焼津でサバを中心とした枯れ節を製造する
小石安之助商店さんにおじゃましました。


さばの枯れ節をメインで製造

サバ枯れ節 製造工程

水揚げされたばかりのごまさば

所謂「削り節」の中でも「枯れ節」は極々わずかで、
関東の料亭などを中心に使われ、スーパーではなかなか
手に入らない高級食材、枯節。
なんと2~3年発酵させて完成する。
(一般的な花がつおなどの削り節は3カ月ほどで完成)

長期間寝かせることで角が取れ、まろやかな上品な香りと旨味が特徴。
エイジングを経て生まれる風味は「ひねた味」と表現される。

一般的に削り節は削った瞬間から酸化が始まり風味が落ちていくが
枯れ節の場合は長期の発酵の過程で酸化が完了している為、
削った後も酸化することもなく、賞味期限に関わらず、
長期間おいしさを楽しめるのも嬉しい所。

どんな風に作られているか、詳しく見学させて頂いた。

①水揚げされたさばの頭を外し、浴槽で一晩寝かせて鮮度を落ち着かせる。(鮮度がよすぎると加熱した時に身だけが縮み骨と離れる「身離れ」が起きるのだそう)

刃物は使わず、手で頭と内臓と取り外す。
この頭と内臓、他社は産業廃棄物として処理するが、
小石さんのところはこの部分も製品に仕上げる。

②煮熟工程

③蒸煮工程

この作業によって余分な脂を落としさっぱりさせる

④網棚に並べて干す(一番干)

⑤薪で焚き乾燥させる

魚の脂が多いと2か月かかることもある。
熱気が漂う薪焚きの工程

⑥選別

魚が大きく脂肪が多いと酸化臭がするので選別し、必要なものは追加で乾燥する。

⑦カビ菌をつけ、発酵蔵で発酵させること、2~3年

発酵蔵の壁。発酵食品の持つ独特の香りが漂う。

⑧カビを削り磨いて完成。
 削り機や粉砕機で最終加工をして出荷する。

サバ節の苦労

サバ節をメインで作る小石安之助商店さん。

鰹節のカツオは沖まで行って漁獲し、船の上で冷凍する。
そのため、船が返ってくる前にmいつ、どの量が入ってくるかが
前以て計画でき加工場はそれに合わせ待ち構えることができる。

一方サバは近海で漁獲し、冷凍せずにすぐに加工を開始する為、
その日の漁獲量によって、その直後の作業が決まる。
船を出して大量に捕れたら、待ったなしで仕事スタート。
捕れなかったら、それまで。仕事はお休み。
台風が来て、二週間仕事がない、という状況もある。

『いつ作れる分からないから、逆に
「今買わないと、次いつ入るか分からないよ!」
って言って買ってもらえる良さもあるけどね。本当に計画できない』
と小石社長。

乾物の原点

「長年の商いの中で、近年何か変化があるのか」の質問に
興味深い見解をお聞きすることができた。

『乾物などの保存食はそもそも、ある時期に大量に採れてしまう食品を
保存し別の季節に食べたり、それが取れない場所に運ぶために
作られた知恵。
「原料が山のように売るほど採れる」ということがスタートになっていた。

現在は温暖化の影響か、漁獲量が減る地域も多く、
原料をわざわざ遠くから高い値段を出して買い付けるようなやり方に
変わっていって、ビジネスのスタートが変わってしまっている。
自然相手で全く同じものは二度とないけれど、
豊富な資源を絶やさない環境づくりも大切。』

たくさんとれたものをおいしい食品に加工して、
別の季節や地域に分配することは、
本来は価格の手ごろさや栄養確保にも繋がっていたはず。
乾物の原点を考えさせられた。

ママの為の「粉挽だし」

BoBtで企業向けに業務用出汁の粉末やサバ節を販売する
小石安之助商店さん。

近年、一般消費者向けに販売し始めた「粉挽だし」は
さば、鰹、ムロ鯵、宗田鰹、昆布を極々細かく粉砕し
ブレンドした商品で、顆粒出汁のように、お湯に溶かすだけで
さっと使うことができる。

粉末をお湯に溶かすだけで上品でおいしいお出汁に。

ご自身の子育ての中で、特にお二人目以降は忙しく
出汁をとるというシンプルな工程さえ大変で、
「物理的にも時間的にも無理!そんな手間かけられなくて当然!」。
お母さんが顆粒だしに頼りたくなる気持ちがよく分かったという。

出汁の重要性を語る小石社長。
左はPR等を担当されている奥様。

けれども顆粒出汁は「無添加」と書いてあるものでも
魚介エキスなど不安なものも入っており、不自然な味がする。
削り節を作るメーカーとして、やはり子供には
本物の出汁の味を覚えてほしい。
そんな想いから「粉挽だし」は生まれた。

「食品には安心安全を求めたいけれど
あれもだめこれもだめとしていると楽しくない。
外でどんなものを食べても、家では本物の味のお味噌汁で
1日1回舌も体もリセットしてくれたら。」

お互いを尊重しあう姿が素敵な小石ご夫妻。

小石社長とお話をして感じたのは、
本当に家族の為を想って開発された商品なんだなということ。
「子育てママの為!」の言葉に一点の曇りもないこと。
奥さんであるママの心情を忖度して口先で言ったり、
女性の心を掴めるからとキャッチフレーズにすることはあっても、
この言葉、心から言えるパパって少ないと思う。

小石社長は子育ても他人事感が一切なく、
夫婦二人三脚で向き合われている。
さっと手際よくお茶を出してくださり、湯呑を下げると、
楽しそうにお子さんのことをお話されながら
ぱぱっと洗いものをされたり、普段から自然と家のことを
されているのだな~と思う場面が多々あって、
本当にいいパパを垣間見てしまった。

誰がどんな気持ちで作っているか。
パッケージやHPに書かれた言葉に嘘がないこと。

また一つ本物のたくさん詰まった商品に出会えて嬉しい。



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