小一の壁を見上げてた【前編】

私の娘は、小さな時から人見知りと場所見知りが強い子供でした。環境の変化を極端に嫌う特性を持っていたのです。

二年前の今頃、私は娘のために奮闘していました。慣れ親しんだ保育園を卒園し、まったく未知の小学校へと入学する娘をソフトランディングさせたかったのです。

以下に、覚え書きとして何を準備していったのかを書き留めます。(準備を前編とします。実際どうだったのかを後編で)

就学前の発達障害のあるお子さんを持つ誰かのお役に立つこともあるかもしれません。なお、このプロジェクトは、一年以上前から始動していたことを申し添えます。

1.発達障害の診断を受ける

娘の成長について、疑問点や葛藤が多かったので、市の保健所主催の発達相談に何度か行っていました。そこで専門機関の受診を勧められて、民間の発達支援センターで診断を受けました。

診断名は自閉症スペクトラムでした。

診断については、必要ないという保護者さんもおられると思います。でも育てていく上での困難さ(育てにくさ)に説明がついたことで、私は随分ほっとしました。そして、この後の公的機関との面談や説明の場面で、診断が付いていることは説得力に違いがあったように思いました。また、ここで小児精神科の主治医がつきました。今でも一学期に一度受診しています。

 (受診の申込から診断まで4カ月かかりました)

2.療育を始める

娘の場合は、週に一回、作業療育PT言語療育STに隔週で交互に通いました。小学校では、時間割などをみて次の授業の場所を知ったり教科書の準備をしたりしますので、文字(絵)カードを見て行動する練習をすることもありました。

私が行って良かったと思う点は、発達障害の子供達に接するプロの方達の声かけや指導の仕方を間近で見ることが出来たことです。もう一つは、同じような発達障害のお子さんとその保護者さんに会えたことです。

(診断から療育開始までは半年待ちでした)

3.教育委員会の就学相談

保育園を通じてお知らせが来たので申し込みました。我が家は二回面談しました。

当日は娘と一緒に面談を受けました。初めての場所で複数の知らない大人がじっと見たので、娘は椅子に座っていられず、机の下に隠れて出てきませんでした。

見通しが立たないと不安が強く、予定の変更が受け入れ難い、また父兄が見にくる行事が大嫌い…、などの娘の特性を説明し、発達障害の診断があることを伝えました。

そこで初めて、教育委員会の方から、特別支援級の勧めがありました。実は我が家では普通級に行く気で、そんな選択肢は念頭になかったため、かなり驚きました。

教育委員会の方は、とても丁寧に、入学という急激な変化は娘には耐えられない可能性があること、少人数の支援級でスモールステップで学校に慣れていくことが望ましいこと、を説明してくださいました。

4.受給者証の取得

就学相談の時に、放課後デイサービスを利用するには障害児通所受給者証を取得する必要がある、と教えてもらった私は、市役所へその足で手続きに向かいました。

こちらの記事に手続きについて詳しく書かれています↓


5.相談支援事業所と契約

相談支援事業所とは放デイと子どもを結ぶいわゆるケアマネージャーさんのことです。サービス利用計画を作り、市へ提出してくれます。私の場合は受給者証取得の申請の時に、同時に相談支援事業所も紹介してもらいました。

相談支援事業所へまず、どんな放課後デイサービスが良いかの希望を伝えます。すると、相談支援員さんがいくつかデイの候補を絞って提示されるので、後は選んで連絡を取ってもらいました。

6.小学校のフリー参観へ

学校の教室で何があっているのかを見せてイメージしてもらえるように、年に数回あるフリー参観へ連れて行きました。その際、一年生の靴箱の位置、トイレの場所、入学式がある体育館を見せました。

7.和式トイレの練習

入学予定の小学校はトイレが和式でした。保育園も自宅も洋式トイレでしたので、練習が必要でした。

小学校の先生に話を聞くと、洋式トイレは各トイレに一つずつしかないため、休み時間は行列ができるとのことでした。短い休み時間に確実にトイレを済ませるには和式の方が効率的です。

今どき和式トイレがある施設はそうないので、親が一緒に入れてかつ新しく綺麗(これ大事)な和式トイレを求めてさまよいました。

幸い、公立図書館のトイレと療育施設のトイレを発見しましたので、半年くらい練習しました。

8.通常級か支援級かを選択

娘の学校生活を左右する大きな決断でした。結論から言うと支援級を選択しました。このトピックスだけで、一記事分あります。(いつか書きたいです)

就学前相談の内容を受け、教育委員会から判定書が送付されて来ます。それに親が「承諾」する形です。

平成◯年度の就学について特別支援級が相当である。

という判定書が来た時、「やっぱりね。そうだよね。」と納得する気持ちと「何回かしか会ってないのに、何がわかるのさ。」という気持ちがぐるぐるとマーブルになりました。

教育委員会の判定は、判定でしかなく、あくまでも親の意向で就学先が決定します。

私は、教育委員会に電話して、ギリギリいつまでに決めないといけないか確認してしまいました。毎日、星占いみたいに、「これが出来てるから普通級」、「これに時間がかかるから支援級」と揺れ動きました。

「承諾書」は締切の日に出しました。

9.就学前検診

その小学校へ入学予定の子ども達が保護者と一緒に行って受ける検診です。新一年生の顔見せ的な意味合いもあると思います。

記憶に残っているのは、子ども一人一人が校長室に入室して、面接を受けたことです。娘は、母子分離出来ず、一緒に入室しました。校長先生は娘の特性をご存知で優しく話しかけて下さいました。

校長先生は、娘の様子を見られて、入学前にゆっくり打ち合わせをしましょうと提案されました。

10.放課後デイサービスと契約

学童保育は、学年がまたがって大人数で過ごすため目が行き届かないこともあります。一方、放課後デイサービスは一日の定員が10名程度で少なく、児童に対して、生活能力も向上に必要な訓練、社会との交流促進などを行ってくれます。

娘の場合、新しい場所に慣れるのに時間が必要なので、保育園在籍中の一月から利用を開始しました。

就学前の子どもが通う場合、児童発達支援サービスとなります。小学生以上対象の放課後デイサービスを行なっている事業所で、児童発達支援サービスもやっている所は近隣の地域では少なかったです。

11.学童申込

両親が働いていることが条件ですので、就労証明書を勤務先から発行してもらいます。それを添えて申し込みます。

娘が馴染めるのかどうかという問題がありました。でも見学に行って、支援員さんと面談させていただいた際、「特別支援級の子どもさんで来てる子もいる」という一言が後押しになり、週一のペースで利用することにしました。

12.小学校と保護者の顔合わせ

4月に入って担任の先生が決定した後に、校長室で顔合わせをしました。

保護者側は、私、利用予定の放課後デイサービスの代表、相談支援サービスのケアマネの3名。

小学校側は校長先生、通常級の先生、特別支援級の先生の3名でした。

学校は保育園からの申し送り書類を持っておられました。そして、相談支援のケアマネさんは、療育施設から申し送り書類を取り寄せて持ってこられてました。

その場の皆が娘の生育歴や困りごとを理解しようとしているのが伝わってきました。とても安心したことを覚えています。

13.入学式の予行練習

娘の場合、沢山の人の目がある行事が苦手です。前プロセスの顔合わせで、「卒園式は何度も練習していてどうにか大丈夫としても、入学式はぶっつけ本番で見通しが立たないので厳しいと思われる」と、伝えていました。

すると、学校の取り計らいで、式の前日に会場のセッティングがなされた体育館に入らせてもらうことができました。また、支援級の担任の先生が娘に式の段取りを説明してくださいました。

14.まとめ

入学式の前の日までの長ーい道のりを書き留めましたが、実際はあっという間でした。全体像が見えていて進めていった訳ではなく、一つ進むと一つ勧められ、また一つ進むと二つ通知が来て…という感じでした。

娘が気持ち良く小学校に通ってくれるには環境を整える必要があったので、必死でした。

以上が準備したことになります。

【後編】では入学して実際どうだったのかをお伝えしたいと思います。



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