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はじめての彼と、年下の彼

専門学校に入学してからは、
父もあまりガミガミ言わなくなった。

多少帰りが遅くなっても、
友達と夕飯食べて帰っても、
毎週土日に朝から晩まで遊んでも、
怒られる事は少なくなった。

義務教育終わったからなのだろうか?


私は、急に毎日楽しくなった。
入学してしばらくして、
バイト先で知り合った、
当時大学4年生の彼が出来た。

でも、
バイト先でみんなと話している時は 
楽しかったけれど、2人で会う時は、
ときめき感はなかった。

待ち合わせには、必ず遅れる。
髪の毛はボサボサ。
いつも同じ服。
メヤニも付いてるし、 
歯も磨いてない様子。
私は、それがとてもイヤだった。

近くの公園で、話したり、
たまにスキーに行ったりした。

スキーは
プロ並みだったので、
スキーをしている時は、いいなぁ。
と思っていたけど
なんか、違うなぁ。 
楽しくもないし、
ホッとする相手ではないなぁ。
と感じていた。 

でも、私に取っては初めての人だった。
両親にも会わせた。
このまま、交際が続くのかな?
と思っていたけど、

半年ぐらいして、就職先が大阪になり、
そのまま彼とは終わった。

バイト先の上司の義理の弟だったので、
近況は、いつでも聞けるし、
何も問題なかった。
悲しくも、寂しくもなく、
ただ大阪に行った。それだけだった。

 
そのあと、また私は友達と楽しく遊んだ。
中学の同級生と、専門学校の友達。
いつも、3人で遊んでいた。

ディスコとか、飲み歩くとか、そんな事ではなく、お茶したり、ご飯を食べに行ったり、カラオケ行ったり、ボーリングしたり、車の免許を一緒に取りに行ったり、ドライブしたり、旅行したり、お互いの家で泊まりっこしたり。

そんな、何気ない、普通の10代がするようなる事が、普通に出来ることが、とても楽しかった。

こんなに、のびのび出来るって、なんて素晴らしいのだろう?
毎日が、楽しくてしょうがない!
そんな感じだった。

そして、2人目の彼ができた。
学校に行く前に、マックでモーニングを食べている時に、声かけられた。

うん?これがナンパってやつか?
無視だ。無視。
チャラい人は苦手。
何されるか分からない。

と、目も合わさず、返事もしなかった。

でも、彼は、諦めず、どうにか私の気を引こうと必死だった。

学校に、行く時間が来たので、無言で立ち去ると、慌てて自分の荷物を持って付いて来た。

そして、その後ろから彼の友達が、5、6人付いてきた。

うわー。あんなに仲間がいたのか。
怖い。怖い。

早歩きで、学校に向かうと、
なんと、彼も同じ学校だった。

しかも、1つ下の男の子だった。

彼は、早口で、コース名と、学年と、名前と電話番号を言っていたが、コース名しか分からなかった。


そのまま、授業を受けて、帰る時に、
朝の男の子達が、受付ロビーの前で、
仲間と集まっていた。

ヤバい!
逃げなきゃ。と、咄嗟に友達の手を引いて走って逃げた。


そのバタバタで、彼に見つかってしまい、追いかけてきた。

でも
私は、振り切って逃げた。

それから毎日、 
彼は、私が行く所、行く所に
現れるようになった。

そうしているうちに、私の友達も、
呆れていたけど、それもまた楽しかった。

友達といる時は、
彼と少し話す事が増え、
だんだん楽しくなって、
私達は付き合う事になった。

でも、2人で会うと、
緊張し過ぎて何も話せなかった。

よく見るとかっこいいな。
背もすごく高くてモデルさんみたい。
私なんかと付き合っても良いのかな?
他に、もっと可愛い子とかいるし、
なんで私なんだろう?
と思うようになった。


ある日、勇気を出して、聞いてみた。

好きになるに、理由なんてないよ。
好きになっちゃったんだよ。と言われ
私は、嬉しかった。

彼は、お茶する時、いつも決まって
ミクルティを飲んでいた。 
とても美味しそうに。

ストローで、グラスの中の氷を
混ぜながらニコッと
微笑む顔が好きだった。

私は、牛乳が嫌いだから、
ミルクティーは飲んだ事が無かったけど、彼に勧められて、ひと口もらった。

とても、美味しかった。

でも、それ以上に
彼が飲んでいたストローで、
飲んだ事が、とても恥ずかしかった。

手を繋いで歩いたり、
肩を抱かれたり、
頬を触られたり、
髪の毛を触られたり、
全てが、はじめてでとてもドキドキした。

ある日、彼に、夏休みに旅行しよう。
って言われた。

私は、迷わず「うん!」と言った。

旅行会社に行って、申し込んで
その日が来るのを楽しみにしていた。

彼は、レンタカーを借り来た。
2人きりの旅行に、ワクワクしていた。

緊張していたせいか、行きの車中
何を話したのか忘れた。

と言うか、返事しか出来なかった。
話しができる状態でなかった。

ペンションに着いて、近くを散歩して、
夕食を食べて、お風呂に入って、
テレビを見て。
普通でいられなかった。

息もできないぐらい、緊張していた。

夜、寝る時、彼と同じベッドに入り、
腕枕してくれた。

心臓の音が聞こえるのではないか?
と思うぐらいドキドキした。

経験は、あったけど、
初めてのような感じだった。

とても、嬉しい気持ちになった。

帰りの車では、少しリラックスして
話せるようになったけど、
それでもほとんど話せなかった。


家に着いて、また彼の事を思い出した。
早く会いたくなった。


しばらくして、久しぶりに彼と会った時、
ちょっと2人で話せる?と言われ、

公園のベンチで、話した。

話したと言うより、


振られた。


そう、私振られたんだ。

私と一緒にいると、自分が出せない。
だから、別れよう。

耳を疑った。

思わず、分かった。
バイバイ。って言って1人で歩き出した。


彼は、追いかけて来なかった。

たった2ヶ月間の出来事だった。

私は、ショックで友達の家に電話して、
大泣きした。

家にいる帰りたくなかった。

友達の家に泊まらせてもらった。


あっけなく終わった彼との時間。

同じ学科で、時々見つけてしまう。
イヤでも目に入ってしまう。

そして、ある雨の日、
女の子と、
1本の傘に入ってる彼を見てしまった。

いいんだよ。
もう、私は関係ないんだから。

でも、そう分かっていても
涙がどんどん溢れて来た。


私は、自分の気持ちに蓋をして、
必死に彼を忘れようとした。


あと、半年で卒業だから、
それまでの辛抱だ。
そう自分に言い聞かせていた。

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