ジュニア君は、きっと、治る
4月29日 昭和の日 8:15 動物病院に到着
診療予約を前々日に取っていた。
ジュニア君の掻痒行動の回数は、ここ2〜3日で増加した。
気持ちが重くなる。ここ1週間のうちに掻痒行動が止まらなければ、症状は、どんどん悪化の一途である。
マウソックは、こんなことを考えていた。
ーJAC阻害剤を経口投与するー
でも・・少し考える。飼い主である私が、JAC阻害剤の話をしたら、臨床獣医は、それに引きずられてしまうだろうか。
マウソックは、そっと、ジュニア君を見ました。
ジュニア君もこちらをじっと見ていました。
臨床獣医の経験値を信じてみる。JAC阻害剤は、言わないでおいたほうがいい。もし、季節性のアレルギーならば・・JAC阻害剤はいらない。
ジュニア君、先生に会いに、行きましょう。
家の扉を開けた。土曜日の朝日が、眩しい。涼しい春の空気の中、マウソックは、重い気持ちを抱えて、動物病院を目指した。
獣医師は、季節性アレルギーを疑った。
獣医師は、ジュニア君を見ると、ひどく厳しい顔をした。マウソックは、その顔つきに暗い気持ちを隠すことができなくなった。つとつと経過を話し始める。
2020年12月中旬、ステロイド+抗生剤経口投与を1週間継続したら、2〜3日で劇的回復。それから、2回/日、3週間連続投与。薬が終了。掻痒行動確認できない。皮膚の赤み、傷もないため、寛解ととらえた。それから、3か月経過し、4月上旬、おやつをあげた。
マウソックは、目を落し、後悔を口にした。それがまずかったのだと思います。
獣医師は黙って、マウソックを見つめた。カルテには、うねるような字で、マウソックの言った経緯が並んでいた。
4月中旬くらい、掻痒行動が確認したため、おやつは中止。それでも、掻痒行動が止まらず、ここ2〜3日で、掻痒行動が増えたことを確認した。
マウソックは、そこで黙ってしまった。獣医師は、ジュニア君に穏やかな声をかけると、タオルで包みながら持ち上げた。ジュニア君は、暴れたが、すぐにしっかりと保定されて身動きがとれなくなった。獣医師は、黙って診察をしている。ジュニア君と獣医師の無言の会話が続いている間、マウソックはその会話に入ることができない。不安が無間に湧く。
獣医師は、ジュニア君との会話を終了した。そして、厳しい顔のまま話し始めた。
耳と目に引搔き壊した痕、そこから、結膜炎症状を引き起こしていますね。何らかのアレルギーを引き起こしていると考えています。一旦は、寛解しいるならば、季節柄のアレルギーの可能性もありますので、以前の薬を投与して、様子をみましょう。
マウソックは、黙ってうなずいた。マウソックが欲しかった回答を獣医師が言ってくれたことにほっとしていた。
季節性ならば、季節が過ぎれば、治ってくれるということ。
そういう希望がただほしかった。
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