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気候危機:2030年の国の目標って達成できないんじゃないですか?

こんにちは。350 New ENEration (以下NewENE)です。

9月23日の気候危機アクションデーにあわせ、議員対談の中で、各政党がどのように気候危機対策を考えているのか意見交換を行ってきました。

対談では「私たちが求める5つのポイント」についてお話しました。

❶2030年電源構成の見直しを求めます
❷電力事業者のロードマップが国の目標やG7サミット合意と整合しているかを調査・追及すること
❸『公正な転換』の議論を進め、エネルギー転換による雇用創出や経済的効果などの機会を明らかにすること
❹気候危機時代にあわせた住宅・建築物のあり方の議論の加速
❺再生可能エネルギーおよび省エネ拡大議論の加速

今回からは、ポイントごとに以下政党の違いを見ていきたいと思います!

対談したのは、公明党・輿水恵一議員、
立憲民主党・山崎誠議員、
日本維新の会・小野泰輔議員、
日本共産党・笠井亮議員、吉良よし子議員、山下芳生議員
れいわ新選組・櫛渕万里議員、社民党・福島みずほ議員
自民党の秋元真利議員はいち議員として対談致しました。
また、今回、国民民主党の議員とは対談がかないませんでした。


私たちが求めるポイント「❷電力事業者のロードマップが国の目標やG7サミット合意と整合しているかを調査・追及すること」について

各政党の考えはどうでしょうか?みていきましょう。

要望書では、このように書きました。

 電力広域的運営推進機関(OCCTO)がまとめた「2022年度供給計画の取りまとめ」によれば、電力事業者の現行計画を実行すれば、2031年度の電源構成が石炭32%、LNG30%、石油2%、原子力6%、再エネ29%、電源種不明1%となることが示されました。さらには、2021年から2031年の10年間で石炭火力の設備容量は397万kW増加する見込みだということも示されました。
 これは、発電部門の脱炭素の実態が、現在の国際的に見劣りする日本政府の発電部門の目標さえ達成できない状況であることを示しています。このままでは、急スピードで加速する国際的な脱炭素の流れに取り残されてしまいます。同時に、気候変動の解決が遅れ、生物多様性や自然災害のさらなる被害拡大など大きな問題にも繋がります。

 電力事業者が2050年ネットゼロに向けて各々公表する中長期のロードマップが、政府目標やG7サミットでの合意と整合したシナリオがどうかを調査及び追求してください。

要望書より抜粋

つまり、電力事業者の現行計画が(環境NGOから不十分と指摘されている)国の目標に整合していないのではないか?(1.5℃目標ならなおさら整合しない)ということについて、ちゃんと調査してほしい!という思いを込めて要望しました。

※日本維新の会小野議員より、NewENEが出した要望書に記載した「2022供給計画の取りまとめ」は2022年5月25日に一部訂正されているとのご指摘をいただきました。
➡資料改訂版においても、石炭火力の設備容量は訂正前後ともに5,233万kw で変わりはなく、他電源合計の設備容量も(訂正前)35,347万kw→(訂正後)35,348万kwであり、1万kw増加しているが集計誤差の範囲で有意な訂正は行われていないと考えています。


自由民主党の回答(環境担当よりご回答いただきました)

供給計画は、全国の需給バランスの把握・評価を目的に、各電気事業者が現時点での事業環境等を踏まえて作成した計画を積み上げたものであり、例えば、事業者として稼働時期が見通せない原子力発電所については、未定として供給力として参入されていません。また、電気事業者が公表する中長期ロードマップは、個社の状況を踏まえて個別に検討・判断されるものです。
供給計画や国の目標、電気事業者が公表する中長期ロードマップは、それぞれ別の目的や観点から作成されるものであり、必ずしも一致しているとは限りません。

自由民主党からの回答

電気事業者のロードマップと国の目標は必ずしも一致しているとは限らない、とのこと。一致しない場合はどのように国の中期目標を守るのでしょうか…?💦その部分がないと一層疑問が残るので、お答えいただきたかったです。(私たちは、現在の国の中期目標では気候危機は解決しないので、1.5℃目標に整合するために国の中期目標を野心的に引き上げてほしいと考えています)


公明党(対談は輿水恵一議員)の回答

対談の中での回答とさせていただきました。

●政府目標である、電源構成における石炭火力の割合19%を最低限守り、どこまで減らしていけるかを検討していくが重要。今後も議論を重ねていきたい。
省エネを進めていくことで、そもそものエネルギー消費をしっかりと抑えていくことで、石炭火力や化石燃料の割合を減らしていくことが可能になる。そのためには省エネ対策にも相当、力を入れる必要がある。
COP27でどういうことが議論され、どういった合意がなされるかにも注目。
●さらに来年日本ではG7があり、日本が議長国として、どのように議論をリードするかが重要。

対談の中での回答、要約

電力事業者のロードマップが国の目標と整合するかを調査・追求するかについて、直接的な追及はありませんでした。
COP27と来年のG7サミットなど国際社会の中で日本の姿勢が問われていますね。「先進国は2030年石炭火力発電所の段階的廃止」の合意を求めるプレッシャーは今後強まる一方だと思います。

国民民主党(今回対談はかないませんでした)の回答

持続可能な世界を残すために、国際社会が 2030 年を目標として取り組む国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進します。

国民民主党の回答

…短い!😢
(要望書❶への回答も短いので、もうお気づきだと思いますが、国民民主党さんはどの回答も全部短いです…😢)

電力事業者のロードマップが、2030年の国の電源構成や、温室効果削減目標と整合していない場合はどう対処するのかを問いかけたのですが……

今後も地道に声を届けていきたいと思います…!


立憲民主党(対談は山崎誠議員)の回答

電力事業者のロードマップについては石炭火力発電の新増設、原子力利用の拡大など問題が多く、CO2排出削減目標も不十分です。また、削減のペースについても遅く、更なるペースアップが必要です。供給側の電力事業者に任せるのではなく、省エネや節電など需要サイドの施策にも力を入れる必要があります。
政府はGX実行会議などで、原発の利用の拡大などエネルギー政策の方針転換を決めていますが、正しいデータや科学的知見に基づいた、開かれた十分な議論が行われているとはいえません。環境エネルギー政策に関する徹底した調査、情報公開と議論の場の設定を求めます。
立憲民主党は、未来世代の視点で現在の環境エネルギー関連施策について調査・検証し、その結果を国会へ提言・勧告する機関である「(仮称)環境エネルギー未来世代委員会」を国会に新設する「(仮称)環境エネルギー未来世代法」の制定を目指します。

立憲民主党の回答

立憲民主党の回答は、電力事業者のロードマップが国の中期目標と整合しない点だけでなく、政府の政策の方向性についても言及していますね。
“立憲民主党は、未来世代の視点で現在の環境エネルギー関連施策について調査・検証し、その結果を国会へ提言・勧告する機関である「(仮称)環境エネルギー未来世代委員会」を国会に新設する「(仮称)環境エネルギー未来世代法」の制定を目指します。
というのは初耳です。エネルギー施策を検証する機会が今後どんどん増えてほしいです…!!!

日本共産党(回答は笠井亮議員)の回答

<回答> 日本政府は、国連や他のG7諸国による石炭火力廃止の要請を無視し、技術的に未確立なアンモニア混焼などをCO2の「排出削減対策だ」と強弁するばかりか、大型石炭火力発電施設の建設を続けています。他方、東京電力福島第一原発事故の経験を踏まえ、老朽化が進む原発について周辺自治体・住民が容易に再稼働を認めず、原子力規制委員会の審査さえ進まない状況にあります。しかも、石炭火力の存続・建設や原発再稼働に固執する電気事業界の方針は、再生可能エネルギー導入の妨げとなっています。
そうした動きの結果が、政府のエネルギー基本計画の電源別発電量見通しからも全く乖離した、電気事業者の現行計画にほかなりません。このままでは、目標が低すぎると批判されている政府のCO2削減目標さえ、達成できなくなります。
電力の脱炭素化は、各分野への波及効果を見ても、CO2排出削減の第一の柱です。石炭火力全廃、原発ゼロ、再エネ電力の大幅増という電力改革へ、いまこそ舵を切るべきです。
今年11月に予定されているエジプトのシャルム・エル・シェイクでのCOP27に、世界の気候危機対策に貢献する国として参加できるよう、問題点をただしていきます。

日本共産党の回答

電力事業者が国の中期目標と乖離したロードマップを打ち出せる背景について言及していますね。このままでは再生可能エネルギーの普及も進まない点についても危惧しています。
直近で行われるCOP27についての発言も注目しています。


社民党(社民党政策審議会)からの回答

エネルギー基本計画や電気事業者の見通しは、現状の制度を前提としており、これでは国際合意にも国の目標自体も達成できない水準といわざるをえない。そもそも十分とはいえない政府目標は、最低でも確実に実現できるように、責任を持って調査・検証することは必要と考える。

社民党の回答

社民党の方針は要望書で私たちが求めたことと概ね変わらないと考えます。
今後も注目します。

れいわ新選組(対談は櫛渕万里議員)の回答

準備中です。後日要望書の回答をいただき公開いたします。



いかがでしたか?

環境NGOは「化石燃料発電への新技術に対する過度な期待」に警鐘を鳴らしています。OCCTOの取りまとめ結果にあるように、このままでは再エネに転換することはできず、2030年代も化石燃料に依存する電源構成であるならば、かなり危機的状況のはず。
今回の要望書提出を行うことで
❶各政党に対してその危機感を伝えること
❷危機感を共有できる政党はどこかを知ること

ができました。まずは「第一歩」ですが、
2030年の電力構成に対して声を届け、考える機会は、「いま!」ですので
今後もNewENEの活動に注目していただけたら嬉しいです。

次の投稿では、要望書で求めたポイント❸つ目の
『公正な転換』の議論を進め、エネルギー転換による雇用創出や経済的効果などの機会を明らかにすること」についての各政党のお考えを公開していきたいと考えています。
お楽しみに!



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