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気候危機:実際に再エネに転換するなら、この議論はいずこ?

こんにちは。350 New ENEration (以下NewENE)です。

前回までの議員対談の中で、各政党がどのように気候危機対策を考えているのか意見交換を行ってきました。

対談では「私たちが求める5つのポイント」についてお話しました。

❶2030年電源構成の見直しを求めます
❷電力事業者のロードマップが国の目標やG7サミット合意と整合しているかを調査・追及すること
❸『公正な転換』の議論を進め、エネルギー転換による雇用創出や経済的効果などの機会を明らかにすること
❹気候危機時代にあわせた住宅・建築物のあり方の議論の加速
❺再生可能エネルギーおよび省エネ拡大議論の加速

今回からは、ポイントごとに以下政党の違いを見ていきたいと思います!

対談したのは、公明党・輿水恵一議員、
立憲民主党・山崎誠議員、
日本維新の会・小野泰輔議員、
日本共産党・笠井亮議員、吉良よし子議員、山下芳生議員
れいわ新選組・櫛渕万里議員、社民党・福島みずほ議員
自民党の秋元真利議員はいち議員として対談致しました。
また、今回、国民民主党の議員とは対談がかないませんでした。

私たちが求めるポイント❸「『公正な転換』の議論を進め、エネルギー転換による雇用創出や経済的効果などの機会を明らかにすること」について


公正な転換」とは…?私たちは要望書で以下のように書きました。

……エネルギー転換に伴う産業構造転換をスムースに実現するために、金銭補償を含む雇用転換促進、職業訓練、社会保障、社会対話などの政策を、政府が企業、地方自治体、労働者、市民団体などと様々なステークホルダーが協議しながら進めていくこと。 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、エネルギー転換による再生可能エネルギーや省エネの拡大によって、より安全で安心な地域分散型ネットワークが実現するだけでなく、現在のエネルギーシステム維持の場合よりも、より多くの雇用が生まれるという研究結果を明らかにしています。

要望書に記載

要望書では、「公正な転換」に関する具体的な議論や制度設計はほぼ皆無ですが、今年のG7サミットでは、石炭火力の廃止の期限は明記されなかったものの、脱炭素の動きは今後さらに加速し、石炭火力の廃止期限を明確にすることはもはや免れることはできないのではないでしょうか?

そのため、公正な転換の議論の推進と、エネルギー転換に伴う雇用創出や経済的効果などの機会を明らかにし、現在のエネルギー基本計画やグリーン成長戦略を、世界の現実に対応した内容に修正することを求めました。

さて、回答はいかに…????


自由民主党の回答(環境担当よりご回答いただきました)

産業革命以来の化石燃料中心社会からクリーンエネルギーを中心とする経済・社会、産業構造への転換と経済成長を実現するグリーントランスフォーメーションは、現政権が掲げる「新しい資本主義」の中核的議題の一つです。
エネルギー転換により、今後、水素・アンモニアなど新しい市場を生み出していくことが重要であり、官邸のGX実行会議や自民党内に新たに設置したGX実行本部において、今後GXに関連する様々な論点について議論を深めていきます。

自由民主党の回答

「グリーントランスフォーメーション(GX)」という言葉が何度か使われていますね。気になるのは、やはり水素とアンモニアに注力していること。

👆のNGOの共同声明では以下のように書かれています。

日本政府が掲げるGX戦略には、脱炭素化を遅らせる「誤った対策」が含まれる。例えば、水素・アンモニアを燃料として既存の火力発電インフラで混焼する技術は、化石燃料インフラの延命にしかつながらず、誤った対策の最たる例だ。

私たちは「化石燃料から再エネ」に転換するうえでの「公正な転換」の議論の推進を求めたつもりだったのですが、自民党の回答だと「化石燃料から新技術を用いた化石燃料」への転換ということになるのでしょうか…?


公明党(対談は輿水恵一議員)の回答

対談の中での回答とさせていただきました。

●雇用と一口に言っても、どのような関わりで働いているのか、整理が必要。国内では石炭を採掘することはありませんから、どのような形でどのくらいの人が働いているのか、その人たちにどういった支援が必要なのかを検討することは非常に重要。
●政府目標の2030年度の電源構成に向けて、公正な転換の議論は確かにまだしっかり始まっていない。
●発電所への支援、技術者への支援、さまざま考えられる。丁寧に分析すれば必要なところに必要な人材や技術を転換できる、という道が見えてくるはず。

公明党の回答

「公正な転換」は非常に重要な視点だととらえていることが分かります。


国民民主党(今回対談はかないませんでした)の回答

地域資源の有効活用や地域のエネルギー関連産業の発展等を通じて地方の可能性を引き出します。
経済安全保障の確保とカーボンニュートラルの両立を支える技術、国内サプライチェーンと人材の維持・向上を図ります。

国民民主党の回答

自由民主党と同じく、「化石燃料から再エネ」に転換するうえでの「公正な転換」の議論の推進を求めたのですが、回答では党に考えが見えてきません。

日本維新の会(対談は小野泰輔議員)の回答

➢ 化石燃料による発電事業や、内燃機関の製造業等の労働者の雇用問題は、脱炭素が進むに従い、より着実な対応が求められます。
➢ 脱炭素社会に応じて成長するエネルギー分野や、他の成長産業が、失われた雇用を吸収することができるよう、カーボンニュートラルそのものを達成する政策を強力に推進するとともに、他の成長産業を国内で生み出す産業政策が重要であると考えており、そのための既得権益の打破をはじめとするしがらみのない改革を行います。
➢ また、解雇ルールの整備や転職先で活躍できる人材育成策の充実をはじめとする労働市場改革や、ベーシックインカムの導入等の社会保障改革を行うなど、新エネルギー等の成長分野への柔軟な労働力の移動を可能とする環境整備も実現します。

日本維新の会の回答

“化石燃料による発電事業や、内燃機関の製造業等の労働者の雇用問題は、脱炭素が進むに従い、より着実な対応が求められます”とのことで良かったです。
実際にどのように国会で話し合われるかに注目します。

立憲民主党(対談は山崎誠議員)の回答

カーボンニュートラル実現のためのエネルギー転換は産業革命に匹敵するような、大きな産業構造の変化をともなうものです。化石燃料や原発に依存していた産業・社会の改編が必要となります。これまでの仕事から新しい仕事へ、雇用の公正な移行を実現します。全ての働く国民の皆さんがカーボンニュートラルの実現により、より安定した豊かな暮らしを送ることができる日本を目指します。
立憲民主党のエネルギー転換戦略では、財政支出として2030年までに累計50兆円を想定しています(民間を含めた総投資額は累計約200兆円)。2030年までに経済波及効果累計約480兆円、光熱費削減額累計約350兆円が見込まれます。また、年間250万人の新規の雇用が生まれる見込みです。まず、原発関連施設立地地域をターゲットに雇用の公正な移行を実現する以下のような施策を「原発関連施設立地地域自立支援法」として提案します。
●廃炉を迎える原発関連施設立地地域が自立した地域経済を構築できるようにするために国の支援をパッケージで実施します。原発につながる送電線網を活用した再生可能エネルギー拠点の立ち上げなど新たな産業創出を目指します
●全ての原子力関係労働者への支援(転職支援、住宅確保、家族のサポートなど)を実施し雇用の公正な移行を実現します
●電力会社とともに国が責任を持ち廃炉を進める体制を構築します

立憲民主党の回答

具体的施策、それによる雇用人数や金額が検討されていますね。
今は原子力関連企業の移行に注力している感じがします。
化石燃料に関する雇用についても、今後注目していきたいです。

日本共産党(回答は笠井亮議員)の回答

<回答> 気候危機打開という前例のない広範囲な変革を、この10年という限られた期間内に集中的に実行するには、国民の広範な協力が必要です。CO2排出削減の取り組みが、国民に「我慢、我慢」を強いるだけで生活水準を低下させ経営コストを増やすだけとか、省エネルギーや再生可能エネルギーも不安定な低賃金の労働力ですすめて格差と貧困を拡大するとなれば、国民の協力にブレーキをかけることになります。
だからこそ「公正な移行」(Just Transition)の重要性が、パリ協定などで大いに強調されています。研究者グループによる『レポート2030』にあるような、気候変動対策による雇用の拡大(年平均254万人の雇用を10年間維持)、GDPの引き上げ(10年間で累計205兆円の増加)という効果について、私たちは国会質問でとりあげ、研究者の意見に耳を傾けるよう総理や関係大臣に求めているところです。
トヨタ自動車社長が会長を務める日本自動車工業会は昨年10月、電力の脱炭素化が遅れれば、製造時のCO2排出量が減らず、日本車は海外に輸出できなくなり、最大で約100万人の雇用が失われ、経済影響はマイナス26兆円にもなるとしています。もはや従来の不十分な気候変動対策では、「公正な移行」どころか現在の雇用さえ守れません。
地域の省エネルギー・再エネルギーの取り組みによるCO2削減や経済上の効果を、シミュレーションするソフトも、環境省や研究者から提供されており、大いに活用して地域循環共生圏の拡大を図るよう提起していきます。

日本共産党の回答

共産党も金額・雇用人数ともに施策を打ち出しています。
“「公正な移行」どころか現在の雇用さえ守れません。”という意見は全くその通りだと思います。
今後も注目したいと思います。

社民党(社民党政策審議会)からの回答

エネルギー転換による雇用創出や経済的効果の機会を明らかにする
社民党は、脱炭素社会の実現や生態系を守るための投資を通じて、経済社会を建て直そうという「グリーンリカバリー(緑の復興)」の考え方を取り入れることを訴えている。「公正な転換」の議論を進め、エネルギー転換による雇用創出や経済的効果などの機会を明確にし、議論を進めるべきだ。

社民党の回答

れいわ新選組(対談は櫛渕万里議員)の回答

準備中です。後日要望書の回答をいただき公開いたします。



いかがでしたか?


選挙の際には気候危機に対する考えをとりまとめ公開するプロジェクトがありましたが、今回のように「公正な転換」にフューチャーした結果は今までなかったかもしれません。

ですが、気候危機は待ったなしですので「実際にはどう再エネに移行するの?」という議論がとても重要だと思います。

皆さんは、どの党の考えが一番ご自身と「近い」ものでしたか?

【もし良ければ…】
皆さんの地元の議員さんは、どのように考えていますか?所属する党と同じ考えでしょうか?
地元の議員さんに気候危機について、この回答を読んで疑問に感じたこと、思ったことを、是非質問してみてください♪


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