おいしく食べつつ、気分を上げよう 『韓国ドラマ食堂』 #596
海外ドラマを観る楽しみのひとつは、食事のシーンです。フランスパンは包丁で切るのではなく、手でちぎって食べるんだーということを知ったのも、ドラマの中でした。
韓国ドラマでは、ナイフとフォークで「トンカツ」を食べているのを見て驚きました(韓国の「トンカツ」は、豚肉をうすーく伸ばして揚げたものです)。食習慣って似ているようで違うんです。
最近の作品ではデート中、パスタやステーキを食べていますが、2000年代前半のドラマには、あんまり「洋食」は出てこなかったように思います。
「ザ・韓国メシ」
という感じで、登場人物たちは、家庭でも、食堂でも、韓国料理を食べていました。なので、赤いスープやトゥペギ(韓国式の土鍋)が出てくると、「くぅぅぅ~!!」となってしまう。
ドラマ「それでも僕らは走り続ける」には、小さなトングを使ってチキンを食べるシーンがあって、「おお、今はそんな工夫が!」という発見も。むかしは手づかみで食べてたから、手がベタベタになっちゃったのよね。
そんな「いますぐ食べたい」ドラマの料理を集めた本、その名も『韓国ドラマ食堂』は、韓国料理初心者の方にもおすすめです。
「梨泰院クラス」や「愛の不時着」、「サイコだけど大丈夫」など、人気ドラマに登場した料理のレシピを紹介しています。あくまでレシピの紹介であって、再現したものではないのでご注意を。他にも、食べ物から見える文化や歴史に関するコラムも掲載されています。
焼き肉屋さんのカウンターに、よく置いてあるキャンディーの「ヌルンジ(おこげ)」にも歴史があります。「ヌルンジ」とは、お釜やお鍋でご飯を炊いた時にできる「おこげ」のこと。そのまま「おせんべい」みたいにして食べたり、お水を足して、雑炊みたいにふやかして食べたりします。
パク・ソジュン主演のドラマ「花郎<ファラン>」には、エライおじさんがヌルンジの「おせんべい」をポリポリかじるシーンがあるのですが、米が貴重品だった時代、ヌルンジを食べられること自体、富の象徴だったのだとか。
へー!!!
「私の名前はキム・サムスン」や「ゴハン行こうよ」などなど、なつかしいドラマからも料理が紹介されているので、無性に振り返りたくなってしまいます。
韓国には「薬食同源」という考え方があって、食べるものはすべて薬であり、日々の食事で健康を守ると考えます。大好きなドラマと同じ料理なら、おいしく食べつつ、気分も上がるかも。
こんなに長い間、韓国に行けなくなるなんて思いもしなかった。せめてドラマを観て無聊を慰めようかと思ったけれど。食事のシーンが出てくると、ますます思いが募ってしまうのでした。
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