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時を越えた武将の恋と悲劇 「トッケビ~君がくれた愛しい日々~ 」 #265

1990年代前後に放送されたトレンディドラマといえば、浅野温子、浅野ゆう子の「W(ダブル)浅野」や、三上博史、柳葉敏郎、陣内孝則、江口洋介、織田裕二、吉田栄作ら、美男美女による恋物語です。

流行の最先端の職業、オシャレな街や、素敵なインテリアの部屋に暮らす主人公たちには憧れました。東京って日本じゃないんだと思ってましたよ。

韓流ブーム全盛期の頃の韓国ドラマは、もうちょっと泥臭い設定。親に捨てられるとか、貧乏のどん底生活とか、家の奴隷のような嫁、強父に逆らえない息子、裏切りを乗り越えて復讐することが生きる目的になっているような、そんな設定が多かったんですよね。

韓国社会自体が成長したせいか、設定は大きく様変わり。日本のトレンディドラマのような等身大といえばそうだけど、どちらかというと非現実的な設定やお仕事ドラマが増え、それと共に高視聴率の番組も減ってしまったように思います。

そんな中で2016年から放送が始まった「トッケビ~君がくれた愛しい日々~ 」は、ケーブルテレビとしては異例の高視聴率を記録。主演のコン・ユは、百想芸術大賞などの賞を総なめにしました。

900年の時を行ったり来たりしつつ、高麗時代の武将の恋と悲劇を描いたラブコメディです。

<あらすじ>
高麗最強の武士キム・シン(コン・ユ)は、王の嫉妬から逆賊とされ、命を落とす。しかし、不滅の人生を生きる呪いをかけられて蘇ることに。約900年後、女子高生のウンタク(キム・ゴウン)と知り合う。幽霊が見える彼女は、キム・シンをトッケビだと見破り、自分は「トッケビの花嫁」だと主張するのだが……。

「トッケビ」とは、朝鮮半島に伝わる精霊や妖怪のことです。辞書には「小鬼、お化け」と出ているのですが、「鬼」と何が違うねん、「幽霊」との違いはなんや?というツッコミはなしで読んで欲しいのですけど。

「トッケビ」は大衆文化の象徴としてキャラクター路線が進んだそうです。これをモチーフに、壮大なドラマを作り上げたのが、脚本家のキム・ウンスクです。

日本のトレンディドラマのブームを築いた脚本家として名前が挙がるのが、坂元裕二や野島伸司でしょう。同じように韓流ドラマ一のヒットメーカーといえばキム・ウンスクといわれていました。「パリの恋人」をはじめとする“恋人3部作”、キム・ソナ主演の政治ラブコメディ「シティーホール」、チャン・ドンゴン12年ぶりのTVドラマ復帰作で初のラブコメディ「紳士の品格」などを手がけています。

そんな作家からのラブコールを、主演のコン・ユは断り続け、キム・ウンスクは5年もの間、待ち続けたのだそう。

ドラマそのものやん!!!

と感じるくらい、切なさいっぱい、笑いも満載、キュンキュン度高め、泣く率も高めのドラマです。

このドラマ、作家のセルフオマージュなのかなと感じるシーンも多いんですよね。自分のことを「トッケビの花嫁」と主張する女子高生のウンタクは、よりによってトッケビと死神と同居することになるのですが。

韓流ドラマの王道を彷彿させるウンタクの悲惨な境遇と、最近のドラマに増えた超豪華なお坊ちゃま生活との対比や、輪廻転生と因果応報は、懐かしさを覚えるくらい。

借金取りにさらわれたウンタクを救出に向かうシーンなんて、鳥肌もののかっこよさなんですよ。そのシーンを、もう一度コミカルにドラマの中で再現するのですから。

一方で、韓国ドラマの登場人物たちが決して逃れられない「親」との確執がないんです。

ウンタクは早くに親と死別。代々トッケビの従者を務めてきた若者には、おじいちゃんはいるけど両親がいません。ウンタクを助けてくれる女性サニーにも親の影がない。

この設定に時代の変化を感じました。

「おじさんと結婚する!」と、天真爛漫に言うウンタクのかわいらしさったら、あり得ないくらい。そんな彼女に振り回されるトッケビは、憂鬱になると雨を降らせ、ウキウキすると真冬に花を咲かせるという分かりやい男です。

ふたりの初デートとなるのが、カナダのケベックです。公園の後ろに見えるホテルは「フェアモント ル シャトー フロントナック」。実はここ、新婚旅行で行ったのでした。オーナーがトッケビだとは知らなかったよ。映像の美しさもピカ一です。

トッケビ2

「トッケビ~君がくれた愛しい日々~ 」は、配信系で見ることができます。全16話なので、泣き笑いしていたらあっという間です。そしたら2周目にいきましょう!

Amazonプライムはこちら。

Netflixはこちら。





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今日は「大吉」 (どら焼きあげるから!)
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マーケティング会社の人材開発室長・コーチ・校閲ガール。 「 #1000日チャレンジ」として ①一日一万歩 ②書評・映画評を1000本 に挑戦中。 豆好き・チョコ好き・あんこ好き。「街角のクリエイティブ」で映画コラム執筆中。

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