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いがみ合うチームメイトをまとめる魔法の言葉“ファイト!” 映画「ハナ 奇跡の46日間」 #604

かつて、韓国と北朝鮮の卓球選手が「ひとつのチーム」となって戦った大会がありました。1991年、千葉県で開催された第41回世界卓球選手権です。

この時、政治的な理由から史上初めて「統一チーム」が作られ、シングルスとダブルスで南北の選手が一緒に出場しました。チーム「コリア」の実話を基に、映画化もされています。

ハ・ジウォンとペ・ドゥナがダブル主演を務めた「ハナ 奇跡の46日間」です。

<あらすじ>
韓国で空前の卓球ブームを巻き起こしたスター選手ヒョン・ジョンファ。しかし中国の壁にぶつかり、惜しくも銀メダル止まりに終わっていた。千葉で行われる世界卓球選手権大会を前に、南北統一チームが結成されるという知らせが舞い込む。南北の選手たちは練習方法、ライフスタイル、価値観がまったく違い、いがみ合うばかり。ジョンファは、かつて直接対決をした北のリ・プニとダブルスを組むことになり……。

韓国で公開されたのは2012年。この時の大統領は李明博です。よくこんな映画を作れたなと思ってしまう。白地に空色の朝鮮半島と済州島を描いた「統一旗」は、映画の舞台となった第41回世界卓球選手権で、初めて「コリア」代表旗として公式に掲揚されました。

原題は「コリア」ですが、邦題は「ハナ」なんですよね。韓国語で「ハナ」は「ひとつ」という意味です。これは朝鮮語でも同じ。同じ民族でありながら敵対してきた選手達が、「ひとつ」になって戦えるのか、というストーリー

1991年当時、北朝鮮代表のリ・プニ(ペ・ドゥナ)は、世界ランキング3位。韓国代表のヒョン・ジョンファ(ハ・ジウォン)は5位だったそう。迫力の卓球シーンも見どころです。

ケンカばかりしていた選手たちですが、徐々に壁がなくなり、一緒にラーメンを食べたり、お化粧の仕方を教えたり、仲良くなっていくのですが。

優勝が絶対命題なんだけど、南の選手と「親しく」されては困るという、無茶な党の横やりも入ってきてしまう。スポーツの場に政治を持ち込むなよ……と感じてしまう展開ですが、そんな対立を爽やかに乗り越えていきます。

韓国ドラマには、あまり「スポ根」ドラマがありません。学校の休み時間にバスケをするシーンはありますが、「部活動」として行われているものが少ないんですよね。

「それでも僕らは走り続ける」には陸上部が出てきたので、珍しいなーと思っていました。

学歴主義の韓国では、学校の授業が終わった後も「補講」として夜中まで勉強する必要があります。そのため、勉強をせず、部活としてスポーツをする=プロを目指す人という考えがあるそう。映画「野球少女」のパンフレットを読んで知りました。スインが野球に必死だったのは、そういう理由もあったんですね。

北朝鮮の選手団のひとりスンボクを演じているのがハン・イェリです。いま大注目の映画「ミナリ」に主演している俳優。めちゃくちゃおぼこい姿ですが、1984年生まれなので、この時、27歳くらいです。おそろしい子!!

右がハン・イェリ、食べているのは「かっぱえびせん」です。

ハナ2-kmdb

(画像はKMDbより)

初めて国際大会に出場したスンボクは、すっかり空気に飲まれてしまい、実力を発揮できません。落ち込む彼女に声をかけたのは、韓国代表のジョンファでした。

「スンボク! ファイト!」

このひと言をきっかけに、チームがチームになっていく。魔法の言葉に、思わず熱くなってしまったのでした。

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