見出し画像

危機経営の手引き書 『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』 #319

1か月以上にわたる「おうち時間」は、本当に必要なもの・必要でないものを見分ける時間になりました。それは仕事においても同じ。緊急事態宣言が解除されたとしても、これから、お金の使い方も、時間の使い方も、変わっていくのだと思います。

個人でさえそう感じるのですから、企業の経営者はもっともっと危機感を持っていることでしょう。リーマンショックを超える経済危機を迎えているという現在。産業再生機構でカネボウやJALの再建にあたってきた冨山和彦さんの著書『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』を読みました。

数々の企業危機と、それを招いた経営者、立ち直らせた経営者を見てきた、再生請負人・冨山さんによる、提言の書です。

この本で何かを書くなら、内容を図解した方がいいかなと思ったので、挑戦しました。

まずは、危機のあり方。

スライド3

2008年に起きた「リーマンショック」は、Fから始まり、GへLへと影響が広がりました。一度痛んだLを立ち直らせることは相当難しいんですね。

スライド4

現在は「リーマンショック」の時とは逆に、Lから影響を受けています。L型産業はGDPの約7割にあたり、日本の勤労者の約8割が従事している産業でもあります。この数字だけ見ても、ヤバい感がつのる。

スライド5

スライド6

「リーマンショック」の後は、中国経済が世界経済を引っ張っていきましたが、今回はそれが期待できません。GからFへと影響が広がる中、企業が生き残るために必要なのは手元のキャッシュ。

スライド7

この危機を乗り切るための、経営者のサバイバル心得が紹介されています。

スライド8

日本企業の特徴である、高い均質性、固定性、排他性、組織的連続性といった「基礎的疾患」についても言及されています。

試験偏差値の均質な学歴競争を経て、新卒一括採用で終身年功制のサラリーマンとなり、同質的、連続的、固定的なメンバーで一つの会社で集団的な改良的イノベーション力、オペレーショナルエクセレンスで延々と戦い続ける……この「日本的経営」を軸とした会社と社会と人生のモデルは、残念ながら今の時代には多くの産業と職種で成り立たなくなっており、実際どんどん壊れている。

ちょうど一か月前に新人研修を終えたわたし。まさに「均質な学歴競争」を闘ってきた優秀な学生を「新卒一括採用」し、社会人デビューのお手伝いをしました。企業はどうしても「同質的、連続的、固定的なメンバー」になりがちです。彼らが一生同じ会社で働くかどうかは分かりませんが。

この状況の中、もっとできることがあったのではないかと思わざるを得ません。

この30年間、ほぼ10年おきに「100年に一度の危機」に襲われています。破壊的危機を生き抜くために必要なのは。

提言

より詳しくは、6月に出版予定の続編で紹介されるとのこと。めっちゃ厳しい言葉が並びそうですが、企業や個人がコロナショックを生き残る手引きとなる一冊だと思います。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?