自分の本を広げる制度「取次」をマスターしよう
こんにちは、339PLANNING広報の山田チャーハンです!
今回、339PLANNINGのライターとして初めての投稿です。
今回の記事は、出版による広報を考えている方にぜひ読んでいただきたいテーマです。
ズバリ、テーマは「取次」です。
なかなか聞き慣れない言葉ですが、出版を考える上で避けては通れない道なのでこの機会におさえておきましょう!
取次とは
本は取次と呼ばれる仲介業者を介した流通ルートをたどり、市場に出回ります。
取次という言葉は出版業界でなければ耳にすることのない言葉ですが、本を卸す問屋のようなものだと考えてもらうといいかもしれませんね。
では、取次とは具体的にどのような役割を果たしているのかみてみましょう。
取次の役割
出版社と書店だけで本を市場に出回らせようとすると膨大なコストと労力がかかります。本の配送や返品にかかる物流コストが最たる例ですね。
代金の支払いや請求といった金銭面、売上や商品データの把握といった情報に関しても労力が必要です。
つまり取次とは、出版社と書店のコストや労力を軽減し、本の流通をスムーズにする役割を担っています。
さらに取次の役割は仲介によるコストや労力の軽減だけではありません。
下記のように取次は本に関するさまざまな役割を担っています。
取次の役割の中でも代表的なものが新刊の配本コントロールで、過去の売上データなどを参考にしながら、全国にある書店それぞれにどれだけ配本するかを決定します。
取次が仲介することで、私たちは全国どこの書店でも新刊を手にできます。
消費者目線だと出版社と書店にだけ目がいきがちですが、私たちの手に本が届くまで、多くの業務が取次によって行われています。
書店によって新刊の宣伝方法や並べ方が違うなと思ったことはありませんか?あれって書店だけの力かと思いきや、取次の役割でもあるんですよね。
同じ新刊であっても書店によって売り方が変わるのは、取次がこれまでのデータを参考にしながら行っているのかなと考えると本の見方が変わって面白いですよ。
取次でおさえたい、2つの制度
取次には2つの制度があります。
ここでは取次について理解する上で欠かせない「再販売価格維持制度」と「委託販売制度」について紹介します。
再販売価格維持制度
通称「再販制度」と呼ばれ、全国どこの書店でも出版社が取り決めた定価で本を販売する制度です。通常、商品の販売価格を統一することは、市場での価格競争がなくなってしまうという理由で禁止されています。
しかし、本は別物として扱われます。本には知識の向上や維持といった文化的な役割があるとみなされています。再販制度によって本の価格が統一されなければ、地方など物流コストのかかる書店では、本の価格も高騰してしまうでしょう。その結果、物流コストのかかる地域には本が十分に供給されなくなるかもしれません。
知識の向上や維持といった文化的な役割があるにもかかわらず、価格によって地域格差が出てしまうのは望ましいことではありません。このような理由で、公正取引委員会は本が持つ文化的な役割をどの地域でも得られるように、価格を統一するよう義務付けています。
私は長いこと青森に住んでいたのですが、よく考えると青森の書店も東京に遊びに来た時に寄った書店も本の価格が一緒でした。地方でも都会でも同じ価格で本が買えるのは再販制度のおかげだったんですね。
委託販売制度
委託販売制度は、出版社が取次を仲介して書店に販売を委託する制度です。委託販売制度があることで、書店は売れ残ってしまった本を取次を通して出版社に返品できます。
これにより、書店は不良在庫を抱える心配がなく、気兼ねなく幅広いジャンルの本を仕入れることが可能になります。
出版社側は売れ残って返品された分は赤字になってしまいますが、さまざまな本を書店に置いてもらうことができます。
取次がないとどうなる?
取次による委託販売制度がなければ、書店は赤字を避けるために著名な作家の本や売れ筋の本しか仕入れなくなるでしょう。そうなると書店に並ぶ本の種類や分野が偏ってしまう可能性が考えられます。売れない可能性の高い新たな作家やジャンルの本の発掘が難しくなり、出版業界の衰退どころか作家自身が本を作らなくなることも考えられますね。
書店に並べてみないと売れるか売れないかわからない本もあります。出版業界のためにも売れ残った本を返品し、書店に置く本を循環させる制度は大切です。
取次は出版する人だけが知るべき知識かと思いきや、意外と私たちの本の購入に大きく関わっており、身近であることになんとなく気づいていただけたのではないでしょうか。
今日のお話をおさらい
では最後に今日のポイントをおさらいしましょう!
今回はちょっと難しい内容でしたが、出版を広報の手段のひとつとして考えている方にとって大事なお話でした!
ではまた次の記事でお会いしましょう。
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