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小説だからこそ(明け方の若者たち)

こちらの本を読みました。
自分がまったく経験したことのない世界です。

小説だからこそ

以前、「ひと」という小説を読んで感じたことを書きましたが、


「明け方の若者たち」にもまったく同じことを感じました。

「自分の知らない世界」や

「言語化しづらいふんわりとした感情」を

詳細に描き切っている、と。

小説だからこそ、文字による表現が自分の脳内映像に描かれていく。「すごいなぁ、小説」と思います。

ただ、それも筆者に豊かなる感受性がなければ綴れないものだろうと強く感じますし、私の場合は、とにかく事実の羅列。記者みたいな。

仕事との兼ね合いについて

上司の判断は、正しいのかもしれない。正しいのだとしても、正しさだけで成り立つ世界は、こんなにも生きづらさに溢れてしまうのだろうか。

と書かれていました。同感する社会人は多いのではないでしょうか。

総務部の仕事は、誰がやってもできて当たり前、間違いは許されない世界だ。百点満点だけが価値を持ち、それ以外は極力排除されていく。機械のように働く日々が、僕にはしんどかった。

総務部もそうでしょうが、例えば販売員、レジ店員あたりも通じているように思います。最後にお金の計算をして、一円でも間違いなければそれで100点(=それが当たり前)。

ただ、総務部にいる人を、私はそういう目で見たことはありませんでした。百点満点だけが価値を持つとはいえ、それをやり遂げているから他の部署の人は安心して勤務に専念できる。そんなふうに思っています。

最後に

紹介文には、

「こんなハズじゃなかった人生」に打ちのめされていくーー。それでも、振り返れば全てが美しい。

そして途中では、

「沼にはまった5年間」

とあります。

各地の描写が詳しく表現されていることも含め、恋愛と仕事の狭間にはまった時期が美しく映ります。


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