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22世紀の民主主義(成田悠輔)


「2択」は…

原発には反対している。
しかし、原発に反対している政党のイデオロギーにはどうしても賛同できない。
この人に投票したい、しかしこの人の所属している政党は原発を推進している。
で、ここではAかBの2択になっている。
どちらにも投票できない。

という状況が、私が参政権を持ってからいつまでも続いていて、ちゃんと私の思いに合っている人が登場するのは、数回しかありません。

アメリカの大統領選を見ると「2択」状態なので(実は2択ではないけど実質的にそうなっている)、「選挙は2択が当たり前」と思い込んでいましたが、それでも、「その他の選択肢はないのが当たり前なのか。それっておかしくないか。疑問を感じているのは私だけなのか」と心の底では思っていました。

「私だけではなかった」と分かったのが、この本です。

そしてこの本では、ニーズを吸い上げるシステムについて提案をしています。
なかなか過激なことも書いてます。

選挙で票を投じる有権者がダメではどうしようもない。入力がゴミでは、いくらこねくり回したところでゴミしか出力できない。

高齢者も問題だが若者も問題になってしまっているのが今の日本の絶望的な現状だ。

既得権者がなぜ自らの既得権の源を壊そうという気になれるだろう?

「選挙で決めれば、多数派が勝つに決まってる」

「ネコやアルゴリズムに責任が取れるのか」という疑問だ。しかし、そもそも人間の政治家は責任を取れているのだろうか?

民の声を聞いている人

この方の主張とはずれますが、ひとつ思いついた事があります。
私は都庁の「政治のモニター」というのに参加したことがあります。1年間で10個以上、細かな施策についてアンケートが来て、それに答えました。
ん? これって、誰が吸い上げているんだろう? 政策を実行する職員の方が私たちの声をダイレクトに聞いているってことか? なら、職員がいちばん民の思いをわかっているってこと?

それに沿って首長が政策を実行すれば、野党の人たちは「対案」を出しても、民のニーズとズレた発想にならざるを得ないよね。と思ってしまったのです。これがいつまでも野党が野党でいる理由かも、と。

著者の提言している、このシステム、今の野党が取り入れちゃったらおもしろい展開になるのではないかと感じました。
今の政権与党は、民の声を聞けていませんが、かといって野党もトンチンカンな事をやっている。
民の声を反映し、それを常に発信し続けていけば、「ん? この人たち、ずっと民の意見にあった事を言い続けているな」と民は反応し、得票にも結びつくのではないかと。
裏を返せば、今の古い政党って、民のニーズを聞いていないってことかな?(全部じゃありませんが)。いったいなぜいつもトンチンカンな事態を生んでいるんだろう、という疑問も出て来ました。

ただ、本当に大切なのは、「今の状況をどうにかする」じゃなくて「将来を見据えて、国をつぶさないようにすること」だと思っています。ポピュリズムではなく、「国家観」だと思っています。でもそれを言えばきっと票は伸びない(当選しない)でしょう。

結局「国民の質」が問われているように思っています。


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至ってごく普通のサラリーマンのつもりですが少し変わった体験もしています。