映画へGO!「憧れを超えた侍たち/世界一への記録」 ★★★☆☆
(※若干のネタバレありです)
多くの日本国民が熱狂し、日本が世界一になるという最高の結果で終わった、2023 World Baseball Classic の侍ジャパンメンバーに完全密着したドキュメンタリー映画『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』を鑑賞してきました。
本作もじわじわと話題が拡がったのか、ロングラン上映が続いているうちに、気づけば自分の映画気分にとうとうマッチしたのでした。
常日頃は私も決して野球好きではないのですが、この大会の盛り上がりにはさすがににわかファンとして巻き込まれてしまい、主要な日本戦は、朝に夜中にと全部観戦していたので、映画に登場するシーンは基本的には記憶に残るものばかり。
ドキュメンタリーとしては、非常に王道なつくりで奇を衒うこともなく、かつ、とどめは窪田等さんの安定のナレーションにより、安心感持って感情移入して観ることができました!
映画を通じて、特に画期的に新しい情報をもらった気分ではないものの、ベンチの中や裏までしっかりカメラが入っていたので、記憶に残るシーンやエピソードでの監督・コーチ・選手の、気持ちの高ぶりや落ち込みなどの心のひだをリアルに知ることができて、心が震え、何度も胸熱になれます。
そんな中で、この作品で一番印象に残ったのは何かと言われれば、それは栗山監督の比類なき愚直なリーダーシップでした。
監督就任~選手選考~合宿~予選~決勝まで、一貫して熱い想いと使命感を抱き続けながら、勝つためには冷静な分析と戦略づくりを怠らず、いろんな人の意見に耳を傾けながらも決めるべき時には曇りなく判断する。
そして監督として、野球人として、選手たちにどのようなメッセージをどのように伝えるべきかを何よりも大切にしていたことに気づかされ、心を打たれるのです。
大谷・ダルビッシュ・村上・ヌートバー・源田・・・たくさんの主役級に活躍をした選手はいたのですが、戦況が良い時でも悪い時でも一喜一憂せず、求道者のように表情の変わらない栗山監督は、”ベースボール”ではなく、”野球”の監督としての覚悟で、一世一代の大仕事をやってのけました!
しかも奢ることがなく、「日本の宝を預かった気持ちで、精一杯がんばる」ということをサラッと言ってのける、かっこ良き、憧れのリーダー像であることを、この映画はしっかりと映像として紡いでくれています。
それと、本作では取り上げられなかったのですが、決勝トーナメントで日本を一番苦しめ、死闘を繰り広げたメキシコ代表の監督が、「今夜の試合の勝者は野球界そもののだ」という名言を残しましたが、それくらい野球の面白さを再認識させてくれた大会なのでした。
野球って、サッカーやバスケットボールなどに比べて、時間も長く、ゆるゆるしたスポーツだと誤解していたのですが、投げる・打つ・走る・守る etc.などの、いろんな技術や背景の決定的瞬間が積み重なる「モーメントのスポーツ」なんだと思います。
だからこそ、現実が出来過ぎのシナリオだったかもしれないですが、映画としても強い物語性のある作品に仕上がっているのでした。
個人的評価:★★★☆☆
現実そのものが素晴らしいシナリオでしたので、良いドキュメンタリーに仕上がってます。
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