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中国小売最前線2019年月号~OMO店舗に対応するTmallの新サービスなど~

こんにちは。中国インターネット研究所です。

・中国で消費者向けにビジネスを展開されている
・そのような事業会社を支援する日系企業で勤務していて中国の最新情報を仕入れたい
・日本で中国の情報を仕入れたいと思っている事業開発や起業家の方

を主に対象にし、以下の内容を毎月発信しています。

発信内容

A:中国小売最前線(この記事の内容)
AlibabaとTencentを中心に動く、中国小売業界の最新情報を毎月1回発信

B:中国スタートアップ最前線
Alibaba&Ant Finacial、Tencent、IDG&SequiaCapitalの投資先を一行で紹介し(3ヶ月分を各社まとめて配信)、いくつか気になるスタートアップをピックアップ。中国スタートアップの最新企業を知りたい方におすすめ。
C:中国最前線トレンド
中国現地のレポートやホットなトピックを毎月1つ厳選してお届け。

中国最前線トレンドの過去トピック

・コンビニ:イノベーションのジレンマによりコンビニチェーンが進出できない地域(2-3級都市)でAlibabaが勝つのでは?
・ミニソー:単純な個別事例紹介ではなく、中国特有の新たな業界(洗練された商品を扱う総合新小売業態)として紹介
・生鮮食品Hema:単純なスーパー業態としての面白さではなく、会員化率100%の経営を行うデジタル経営の事例として紹介・団地向け共同購入
:日本ではただの安売りとして拼多多が捉えられていが、共同購入のさらに進んでモデルの可能性(コープのオンライン版)として紹介
・小売向けクラウドサービス:TencentやAlibabaが単純に小売業に進出しているわけではなく、小売業向けへのSaaSを出していることを紹介

筆者紹介

大学時代に上海に2年間在住し中国スタートアップに特化したメディアを立ち上げ、中国市場のリサーチャーとしてVCで働く。
卒業後はメルカリにてアプリのPdMとして1.5年間、中国での新規事業開発のために半年、メルペイに出向し創業時のマーケティングの戦略立案などに約1年従事。
2019年1月より小売・メーカーのデジタル化を支援する上海の企業にてエンタープライズ向け営業をしながら、部門の統括。

メディア記事
中国で「決済革命」の次は「OMO」だ 
・NewsPicks中国特集~【メルペイ家田】僕が、中国ビジネスを学んできた理由
・月刊MD特別寄稿~中国「新小売」のいまとその次に来るもの


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2019年9月の中国小売の動きを紹介しています。1つの記事に平均数百文字前後のコメントをしています。10のニュースを紹介しています。


中国で拡大する健康スイーツ市場


中国で面白い・流行っているサービスがありますか?と聞かれて答えにいつも困る。日本と市場環境があまりに違うサービスは参考にならないし、ほんの市場環境の差異から生まれるサービスは面白いと思ってもらえないから。ここでは後者を紹介する。

中国で甘い物を食べるときにどうするか?これは非常に難しい。
コンビニ各社は近年PB化を急速に進め、スイーツも各社提供しているが、まだまだ美味しいとは言えない。シャトレーゼみたいなアイスクリーム屋さんもない。パン屋のパンはまずい…

そんな中国でスイーツ店舗を2年で500店舗展開するのが五条人的糖水铺だ。客単価は28元、毎日100~200の注文、40~70平米のお店を2年で500店舗展開した。

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中国のスイーツは日本のようなシュークリムやアイスクリームなど少し体に悪そうなあま~いものではなく、ゴマ団子とかマンゴープリンとかがメイン。糖水(Tong sui)は、広東料理の最後にデザートとして出される甘くて温かいスープで、健康のイメージが強い。

スイーツと言うよりは健康スイーツと呼ぶのが適切だろうか。
ご飯以外の時間の軽食市場を取ることができ、かつご飯代わりに来る人もおり、ご飯の市場を取ることもできる。

スイーツのチェーン店だと满记甜品が有名だが、满记甜品よりも単価を下げ、9~12元で提供して庶民的なのも好評だそう。
季節ごとに新商品を約10品提供し飽きさせない。またインスタ映えする商品を開発。下記は豚(画像左)と火鍋(画像右)形式で商品を販売し、話題を集めた。

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店舗では簡単な加工をしさえすれば提供できるまで標準化に成功したそうだ。お茶と違って、料理過程が複雑かつ冷蔵での配送が必須だが、地道にコールドチェーンの設立に取り組んできたそうだ。

派手さ無いが、中国の食習慣とコンビニが展開にしにくい商材を扱い、うまくマーケットシェアを取っている例と言える。


スタバが一晩で16万杯をTaobaoライブで売り上げる


LuckinCoffeeに追われるスタバ。とは言え、中国ではローカライズ化を追求し、サードプレイスになるミッションをほぼ放棄。
デリバリー、最近はピックアップにも対応し、モバイル・オーダー全盛の中国に完全対応している。そんなスタバが実施した新たな施策が大当たりし、話題を呼んでいる。

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KOLのライブは外資(特になんかよく分からなくてブランドを毀損するからという理由で日系は)が嫌いがちだが、スタバはライブにも挑戦した。9月16日に著名KOLを起用し、一晩で500万人がライブに参加し、16万杯を販売した。

1杯32元のラテを3杯84元の電子チケットで販売し、オンラインで購入させ、オフラインで消費させるという新たな消費行動をうまく捉えたとメディアは分析。

1年おきに新しいプラットフォームやメディアが出現し、挑戦が求められる。そこにあるマーケットとのギャップを掴んだ企業だけが大きな果実を取ることができる。スタバは中国市場で果敢に挑戦し続けており、他にも学ぶことは多そうだ。

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