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安全保障の書評と評論

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#安全保障

書評:『中国、敗れたり』(日高 義樹)

日曜日の昼間に『日高のワシントンレポート』というテレビ番組がテレビ東京でやっていた頃、暇がある時に、興味深く見ていました。日高さんは、定年退職後、米国のシンクタンクに行き、米国上院の政治を良く見ているので、米国側の主張がよくわかります。

日高さんの主張の要旨を書くと、「中国は恐れずに足りず」
・日本のマスコミは、中国のミサイルを過剰に報道しているが、米国のイージス艦が簡単にミサイルを撃ち落とせる

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書評:『日本人が知らない「アジア核戦争」の危機 中国、北朝鮮、ロシア、アメリカはこう動く』(日高 義樹)

前作『中国破れたり』で書いた通り、「通常戦力において、中国は米国に負けた」ので、「それを悟った中国は、核兵器を戦術的に使おうとしていて、危険。安倍政権の日米安保はそれに対応できていない」というのが要旨です。

米ソの時代は、戦略的核兵器、分かりやすく言うと、「核のボタンを押したら地球を破滅すると」いう前提が米ソともにあり、「核兵器は使えない」ものであった。だから、米ソに抑止力が効いていた。

しか

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書評:『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(佐藤 優)

佐藤優さんは良く知らなかったのだけど、インチキな人ではなさそうなことがよく分かった。「国際情勢の理解には為になるので面白い本ではあるが、気持ちのよい本ではない」と思った。

佐藤さんは外務省で主にロシア関係の諜報をやっていた人らしく、鈴木宗男議員と一緒にソ連外交をしていた。ある日、政争に巻き込まれて、国策捜査で捕まって500日以上留置所に入れられる。検察の国策捜査をよく描写されており、「国策捜査と

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書評:『遺言 日本の未来へ』

『遺言 日本の未来へ』

80歳過ぎの戦争体験のある人たちが、戦争体験と今後の日本人へ伝えたい遺言を書くという企画。稲盛さんやセブンイレブンの鈴木敏文さん等、そうそうたるメンバーが書いています。

私は、祖父たちに戦争体験を聞いて「戦争はしてはいけないものだ」と強く思っていますし、戦後70年の平和の結果、戦争の無かった今までの私の人生に感謝しています。この本で、「原爆の落ちた長崎の地獄絵図」や「東

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