書評:『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(佐藤 優)

佐藤優さんは良く知らなかったのだけど、インチキな人ではなさそうなことがよく分かった。「国際情勢の理解には為になるので面白い本ではあるが、気持ちのよい本ではない」と思った。

佐藤さんは外務省で主にロシア関係の諜報をやっていた人らしく、鈴木宗男議員と一緒にソ連外交をしていた。ある日、政争に巻き込まれて、国策捜査で捕まって500日以上留置所に入れられる。検察の国策捜査をよく描写されており、「国策捜査とは何なのか」がよく分かる本。一読するとソ連・ロシア・プーチンの理解が深まるので、国際情勢を学ぶのに有益な本だと思った(時代がソ連崩壊の時期なので、少し古いが、ロシアの人たちの基本的な思考と、ロシア外交というものがよくわかるので、プーチン大統領やロシアの日本の見方を学ぶには良い本だと思う)。

(どこまで本当なのかは双方の主張を聞いてみないと分からないが、)「鈴木宗男議員は有能で一生懸命ソ連外交していた。悪い人でもなさそう。田中眞紀子氏は政治家にすると害が大きいようだ」「昔の外務省は良い意味で諜報してた。今はできないから、NSCができたんだろうな」「検察っていいかげんだな」「外務省はひどい組織だな」「佐藤さんも政治に深入りしすぎるから巻き込まれたという意味では自業自得かもな」という感想を持ちました。

暗い世の中にしないべく、敵味方の立場を超えて、いろいろな人と話はする/できるというのが大切だなと思いました。

『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(佐藤 優)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?