「銀河鉄道の夜」の汽車を作る
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「銀河鉄道の夜」の汽車を作る

323工房

名作、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。

と言えば、夜空を駆ける汽車がやはり一番に思い浮かぶ人も多いことでしょう。

天の川やはくちょう座など、星空を背景に駆け抜ける銀河鉄道。
夏の夜にふさわしいモチーフとして、今回323工房ではminneさんのスペシャルウィーク・テーマ「星」に合わせ、この汽車を作ってみることにしました。

汽車のモデルについて

色んな作品のモチーフとなっているのですが、その機関車は種類も大きさもマチマチです。
適当に決めてしまってもいいのですが、それでは芸があまりないということでちょっと調べてみました。

ちなみに原作では「石炭で走っていない」というセリフがあるので、実はノスタルジックな蒸気機関車でなくてもよいどころか、宮沢賢治は未だ見ぬ未来の列車を想像していたんじゃないかという話もあるのですが、当時想定できた列車は他になかったと思うので、あえて蒸気機関車で作ることにしました。
そして、宮沢賢治は1920年ぐらいから銀河鉄道の夜を書き始めたらしいので、その時より少し前くらいの故郷岩手の鉄道がモチーフになっているのではないかと思いました。

この時、岩手には岩手軽便鉄道という鉄道が走っていまして、場所としては現在のJR東日本釜石線に相当するようです。

この軽便鉄道という言葉には今はあまり馴染みがないのですが、通常の線路よりも安価で小さく簡便な鉄道として各地に建設されていたものです。
簡便なので機関車も客車も小さく、よく銀河鉄道のモチーフを使った作品では大型の蒸気機関車が銀河鉄道を走りますが、実はちょっと大きすぎるものなのかもしれません。

岩手軽便鉄道はいくつかの異なる機関車を持っていたのですが、その中でとりあえず情報が入りやすかった11号車をモチーフにすることにしました。
この11号車はドイツのオーレンシュタイン・ウント・コッペル社が製造し、日本に輸入したものでして、他の日本の地域では岡山県などでも使われていたのですが、岩手県で使われていた車両は予算の関係か気候の関係かは不明ですが、蒸気へ供給される水タンクが少なく、より簡易で小型のものであったようです。

更にいくつか資料を探してみたのですが、資料ごとに細部が結構異なっているので現地で回収して変更しているところが多いのかもしれません。

そういうこともあって残念ながら宮沢賢治のいた時代の機関車そのもの……を作るのは困難なのですが、一応は銀河鉄道の車両としては基を調べて作ってみたので、大まかなイメージとしては近いものができあがったのではないかと思っています。(モデラーJ)

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今回のアイテムについて

せっかく細部まで作り込んだので、大きいモデルを出したいところではありますが……
今回、まずは簪(かんざし)に仕立てました。

銀河鉄道なので、やはり星空を走らせなければ! ということで、三日月型の櫛に星のモチーフを散らし、さらに作中に描かれる「はくちょう座」をイメージしたチャームをつけました。

3Dものづくり的な話をしますと、この簪の軸はなかなか安定した出力に苦心しました。三日月型ということで、扁平気味の形なのですが、エッジを立てる角度で置いてもどうも歪んでしまい……
試作を重ねていたので、minneさんの企画にはギリギリ滑り込みになってしまいました。

あと、鉄道は本当に小さいです! 簪としては、あまり重すぎてもいけませんし、飾りがあまり下の方まで来ると髪に挿すためには邪魔になってしまいます。
なので、小さくする分、ちょっと隙間を埋めたりして出力せざるを得ませんでした。本当は客車の中の座席とかまでも作ってあるので、いずれ別のアイテムで、そこまでご覧いただけるものを出したいですね。

夏と文学

今回「銀河鉄道の夜」をモチーフにしたアイテムを作ったので、ちょっとノってしまい、「猫町」も作りました。文学シリーズです。

(「猫町」は夜の話ではないのですが、まあ三日月軸で揃えてみました)

「銀河鉄道の夜」はおそらく8月ごろではないかと思いますし、「猫町」は9月末の話なので、この季節にはまだ少し早いのですが、日本の夏と文学と少しの秘密と影のアトモスフィアを感じられるアイテムとなっていればと思います。

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323工房
3Dプリンターを使って、小物雑貨やアクセサリーを作っています。中のひとたちは考古学、古生物、アート、歴史、乗り物などが好き。3DCGの話や、ものづくりの過程の試行錯誤などを書いていきます。