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添い遂げたい落語 ~鈴本演芸場覚書~

取り急ぎ覚書。後日追記の可能性大です。

久々に、本当に久々に、私的に最強の免疫力向上活動へ。すべてをおっぽり出して、寄席の木戸を潜った。
実に4ヵ月ぶり。…3週間生落語に触れないと発狂する、と公言してきた身でよく耐えた。

鈴本演芸場 7月29日(水)夜席 覚書

「真田小僧」  桃月庵こはく
 太神楽    翁家和助・小花
「勝利の老婆」 祝・二つ目昇進
        三遊亭ぐんま
「湯 屋 番」 古今亭菊之丞
  漫 才   笑組
「龍 馬 伝」 三遊亭圓歌
「 短 命 」   桃月庵白酒
    <お仲入り>
 ギター漫談  桜井ペペ
「 元 犬 」   隅田川馬石
 紙切り    林家正楽
「中村仲蔵」  五街道雲助

木戸には馴染みの女性がいて、20人程度でスタートしたお客席には、よく知る同好の士が。
嬉しい。なんだか、帰ってきた気分になる。

ご昇進の、白鳥師匠門下・ぐんまさんのみ初聴き。
「古今亭ホルモンに包囲されながら爪痕を残す!」の宣言どおり、健闘。
コロナで人とのつながりが薄れている気がするこんな時だからこそ、寄席で小さなお目出度事に関われる事が嬉しい。

大好きな師匠方の、テッパン高座が次々と。当然何度も拝見している根多ばかり。さらに言えば、配信で触れたばかりの噺もあったり。
でも、何度聴いても何度でも面白い。先を知っていてなお何度でも笑ってしまう。心が引き上げられて、ぐんと軽くなる。

面白可笑しいだけではない。
丞さまの「湯屋番」は、いつ拝見してもリズミカルで美しく、心をほぐしてくれる。私はこの方の声が、所作が、本当に好きだ。
圓歌師の「龍馬伝」は、いつだって胸が温かくなる。
白酒師「短命」はシニカルな笑いでカンフル剤のようにパワーを注入してくるし、馬石師の「元犬」には、毎回、洗われたようなピュアな気持ちをもらえる。

色物さんも最強。
太神楽と紙切りは、「種も仕掛けもない不思議」。毎度毎度、こちらまで息を呑んだり身体を揺らしたりしながら、不思議の世界に取り込まれてしまう。
安定の笑組も、ペペ先生のギターも、世のコロナ騒ぎにざわつく心を、癒やして落ち着かせてくれる。

寄席は私にとって、最強の栄養カクテルなのだ。

そして、敬愛する、トリの雲師。

「一番好きな噺家さんは誰ですか」
落語が好きと言うと、必ずされる質問だ。
イベントホールにいた頃は、お行儀良く「全員好き」と答えていた。
本気でそう思っていたし、立場上、好みのベクトルを明らかにすることにためらいもあった。
それに実際、体調や気分によって、処方したい落語や演者さんは毎々変わるのだ。

でも、状況によらず、添い遂げたい落語、と言うものもある。
私の場合、そのひとつが雲師の高座なのだと思う。

雲師の仲蔵を聴きながら、涙がこぼれた。
舞台にかける仲蔵の工夫と成功の噺。芝居好きには堪らない噺。また、イベントホール勤務を経験している身には、「舞台裏」というテーマに特別な思いがある。
コロナで各種エンタメの箱と裏方が苦しい状況にある今、雲助師匠の所作と語りで、この噺を拝見できて良かった。
勇気が湧いた。改めて、寄席と芝居小屋の弥栄を願う気持ちになった。

東京の数字はまだまだ上がりそうだが、私は落語を、笑いを諦めない。
笑っていれば、なんとかなる気がしてくるのだもの。。。

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