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元教授、30年前のアメリカで出会った食文化: サラダとスープ編 (定年退職214日目)

これまで何度か、30年前の留学中に体験したさまざまな料理の話を綴ってきました。今回は、前菜として親しんだサラダとスープについての思い出を語らせていただきます。

アメリカのサラダ文化

前回、ボトムレス・サラダについて触れましたが、その話からもわかるように、アメリカ人は意外と野菜を好んでいるという印象です。中には、マクドナルドで山盛りのフライドポテトを食べて「サラダの代わりだ」と豪語する学生や、「ライスは野菜だ」と言い張る研究者もいましたが、それはご愛敬。アメリカで最初に魅了されたサラダはシーザーサラダで、当時の日本ではまだ珍しかったチーズの風味豊かなドレッシングとともに楽しみました。次に気に入ったのは、チキンやベーコン、ゆで卵が入ったボリューム満点のコブサラダ。これも、今では日本でお馴染みになりました。

レストランでサラダを注文する際の悩みの種は、5,6種類のドレッシングから選択を迫られることです。初めて聞く名前が多く、戸惑いました。たとえば「ロシアン」というドレッシングをご存じでしょうか? マヨネーズとトマトケチャップがベースで、オーロラソースに似ています。ケチャップはアメリカ生まれのはずですが、なぜロシアン? でも、美味しいので時々頼んでいました。


アメリカ人の「生」野菜好き

アメリカ人は、日本人よりもはるかに多くの種類の野菜を「生」で食べます。ピーマンはまだしも、ブロッコリーやマッシュルームなどもサラダに生で添えられていました(バイキングでも生のブロッコリーやマッシュルームが山盛り)。大学の夜の研究会では、リンゴとともにニンジンやセロリなどが生のまま提供され、学生たちは躊躇無くボリボリ食べていました。

<奥様の談話1> キャンパスでは、学生たちが小さいブドウを房ごと茶色い袋に入れて、そこに手を突っ込んで食べながら歩いている人が多かったそうです。また、授業中に学生がバナナやリンゴを食べながら、でもすごく白熱した議論していてびっくり(教授がそもそもチョコバー食べていたそうですがw)。さすがに、リンゴの皮を剥いて食べていた女子学生には「質問するなら、そのナイフを置いてからにして!」と注意していたとのこと(笑)。


ファーマーズマーケットで出会った新鮮野菜と音楽

近くにファーマーズマーケット(朝市的なもの)があり、週末にはよく足を運びました(追記1)。野菜の大きさは日本と全く違い、ナスは巨大(米なすより大きい)、玉ねぎは小ぶり、ニンジンは細くて長いものが主流でした(ニンジンは青々とした葉っぱのついたものがたくさん売られていました)。見たこともない野菜も多く、まるで遊園地のように楽しんでいました(追記2)。私のお気に入りは、みずみずしいアスパラガスでした。ただ残念だったのは、私の好物の白ネギが見当たらなかったことです。形と色を説明すると「それはリークだ」と返ってきましたが、味が違い、ネギとしては使えませんでした(追記3)。大根もほとんど見かけず、スーパーで見つけたこともありましたが、「DIAKON」と名前が間違って売られていました(笑)。(下写真もどうぞ)

近くのファーマーズ・マーケットの様子
こんなイメージです(写真はカナダのもの)
巨大なナス

<追記> 
1. ファーマーズ・マーケットでは路上で音楽を演奏しているおじいさんがいて、リクエストをして「アメージング・グレース」をフルで聴かせてもらいました。それまで名前しか知らなかったので、感激したことを鮮明に覚えています。
2. アーティチョークも売られていましたが、どうやって食べるのかわかりませんでした。奥様が挑戦してみましたが、感想は「まあまあ美味しかった」とのこと。
3. 日本でも、白ネギ、特に良いものは関西では以前は入手困難でした。最近、ようやくスーパーで普通に売られるようになりました。おそばや納豆には、これがないと寂しいですからね。



定番スープ:クラムチャウダーとチキンヌードルスープ

スープはレストランでよく注文しましたが、特に冬はボストンやメイン州で親しんだクラムチャウダーが多かったです(以前 note(8/3)で触れました)。他にミネストローネもよく頼みましたが、アメリカ料理かどうかは不明です。

クラムチャウダーとミネストローネ(注1)


面白かったのは「チキンヌードルスープ」(タイトル写真:注1)。レストランではあまり見かけませんでしたが、フードコートやグロッサリーなどでよく売られていました。私は日本の「チキンラーメン」を連想したのですが、見た目は少し異なり、鶏のダシが効いた塩味のスープでした。アメリカ人にとっては「おふくろの味」だそうです。

<奥様の談話2> 奥様の実家では子どものころ、日曜日になるとキャンベルの「チキンヌードルスープ」が出てくることが多く、楽しみにしていたとか。奥様は子どものころお腹が弱かったらしく、それでも食べられる「大ごちそう」だったそうです。


振り返ってみると、サラダやスープといった日常的な料理にも、アメリカ独自の文化が息づいていました。他の料理についても、また思い出してみようと思います。どうぞお楽しみに!


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注1:「キャンベル」のホームページより
https://www.campbellsoup.co.jp



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