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元教授、大阪駅でヨーロッパの鉄道旅を思い出す(その5、ドイツでの講演):定年退職22日目

これまで国際学会などで、何度かドイツで講演をしたことがあります。そこで感じたいくつかの感想やポイントなどを書かせていただきます。


まず、前日までの準備に関してですが、私はほとんどの場合、直前の飛行機の中か現地ホテルで講演の原稿を準備していました(事前に日本で準備しておけば、このような問題は無くなるのですが・・・(泣))。いくつかの注意点があります。一つ目は飛行機の中は比較的温度が低いので(特に、よく使わせてもらったドイツに向かう L 社 の機体は寒かった。機体保全のため?と聞いたことがあります)、仕事を長時間するためにはウィンドブレーカーが必需品です。機内に持ち込むリストに薄手の物を入れておくことをお勧めします(そのうち、海外出張に持っていく鞄の中身リストをアップします)。


次にホテルですが、部屋について驚くことは日本と比べて照明が暗く、仕事がしにくいことが多いです(これはほとんどの海外のホテルに共通でした。おしゃれなのですが)。よって、タイトル上左の写真のように洗面所でコンピューターを広げて仕事をすることもありました。写真中に見えるコンセントも日本のものとは違うので、現地に合うものを持参する必要があります(ただ、コンセントや電気スタンドもホテルのデスクに準備されている場合があるので、クロークの人に聞いてみてください)。


講演自体(写真右)は他の国と変わらないですが、講演後の質問時の挙手の格好がスマートでした。皆さん、人差し指を伸ばして半分くらい手を挙げるスタイルが一番多く、もしくは、持っているペンを上に挙げることもあります。(その理由を聞きますと、ドイツでは第2次大戦時を連想するため、日本式の5本指を広げてまっすぐ挙げるタイプの挙手をしないそうです。)非常に格好が良いので、私も最近では、日本の学会でもこのスタイルを使わせてもらっています。


そして、講演後に実際に私自身が体験して驚いたことがあります。その時は20人ぐらいの会議室で講演をしたのですが、終了後、聴衆が全員で握りこぶしで机をたたき出したのです。そのような習慣を全く知らなかったので、本当に驚きました。司会の方が、得意気にこれはドイツならではの習慣で、拍手の代わりですよと教えてくれて、ようやくホッとした覚えがあります。


それ以降、日本の大学にドイツ人の先生が講演に来られたときは、必ず終了後の拍手のあとに、この習慣を学生たちに説明して、机を叩いてもらうようにしました。学生たちは戸惑いながらも喜んで、受け入れてくれました。


基本的には、ドイツの方々はとてもまじめで勤勉な方が多い印象があります。質問も詳細なことまできちんと聞き、内容も日本人のする質問に似ている気がします(どこかの国では、どこまでがジョークかわからないような質問をする方が多いので、対照的でした。あくまで個人の印象ですが)。


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ということで、ドイツと日本の類似性という結論で一旦話を終えようと思ったのですが、少しだけ延長して「勤勉さと効率化」に関する個人的な意見を述べてみたいと思います。最近、偶然にもOECD加盟国の年間平均労働時間と平均賃金のデータ(2014〜2018年)を見る機会がありました。私は勤勉なドイツはおそらく長時間労働と予想していましたが、実際は36カ国中で最も短時間でした(平均賃金は10位程度で高い水準)。一方、日本はいずれもほぼ平均的でした。同じ「勤勉」と言っても日本とは方向性が異なるようで、ドイツは効率化も重要視されているようです。実際、ドイツで働いている方から聞いた話ですが、彼が残業をしようとしたら、「残業する人は仕事熱心なのではなく、むしろ計画性がないと評価が下がる」という注意を受けたそうです。これを聞いて、日本も今後の働き方を見直さなければならないと感じました。


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