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元教授が綴る、30年前のメイン州(米)とケベック州(カナダ)での旅の記憶: 定年退職125日目

パリオリンピック観戦も7日目。今回のオリンピックで興味を持つようになったフェンシングから、メダル獲得のニュースが届きました。まず、日本女子フルーレ団体がカナダとの3位決定戦で手に汗握る接戦を制し、銅メダル! そして今、試合が終わったばかりですが、日本男子エペ団体が見事に銀メダル! 特に男子は延長での一本勝負までもつれ込みました。まさにオリンピックならではのスリリングな展開で、思わず息を呑む瞬間が続きました。パリオリンピック観戦は、これからも楽しみが続きます。


さて、私の以前の投稿に関して、現在アメリカでポスドクとして研究されている方からコメントをいただきました。良い機会ですので、今回は、私のポスドク時代のエピソードというか旅行記をお届けします。30年ほど前のことで参考になるかわかりませんが、楽しんでいただければ幸いです。

<追記>上記で当時の私の身分を「ポスドク」と表記しましたが(わかりやすさのために)、正確には日本の大学に教員の籍を持つ「客員研究者」としてアメリカの大学で研究していました。給与は米大学から通常の半分いただくという割と気楽な条件でしたので、ボスからのプレッシャーもそれほど大きくなく、精神的にも立場的にもだいぶ余裕があったように思います。それでもアメリカでの初めての生活や研究の成果を求められるのは、それなりに大変でした。一方、当時の研究室には世界中から集まったポスドクの方々がいました。彼らはいくら若いとはいえ、新しい環境の中で、自ら研究テーマを立ち上げ、研究を進めるのは当たり前で、その上で様々な申請書類を準備したり今後のキャリアプランを考えたり、まさに「武者修行」の場だったと思います。


1年間のアメリカ滞在中、研究が一段落ついたところで私は10日ほど休みをもらい、大学のあるニューヨーク州から北上する旅に奥様と出かけました。最初のボストン滞在(数日のフェンウェイ球場通い)は以前の note (6/19) でお伝えしましたので、今回はその後の旅についてです。普通の観光では行かない場所として、マサチューセッツ州から北のメイン州に上がり、そのまま陸路でカナダに入り、ケベック、モントリオール、オタワを巡るルートです。あまり綿密な計画を立てずに、AAA(アメリカ自動車協会)の地図(下写真)を頼りに、前日に宿泊先を予約するといった気ままな旅でした。

頼りにしたAAA(アメリカ自動車協会)の地図


まず訪れたのは、アメリカ本土の一番北東の端のメイン州です(タイトル写真)。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、東海岸の忙しい人々が「何もしたくない、ただ休みたい」と思う時に行く避暑地だそうです。実際に車で訪れてみると、途中から緑に囲まれた風景に変わり、これなら疲れた人に最適とよくわかりました。海岸に行くとカモメが翔び、先程まで仕事をしていたと思われるスーツ姿のサラリーマンが釣り糸を垂らす姿も見られました(下写真)。

カモメ、そして渓流で寝ているおじさん

               

メインに行く途中でとても印象的だったのは、どこのレストランにもオリジナルのクラムチャウダーがあり、その店ごとに味が異なりおいしいのです(日本の味噌汁が地方によって味が違うのと似ているかもしれません)。メインに着くと、90% 近くが森林に覆われた州で、私たちはアカディア国立公園の中にある美しい海岸沿いの街、バーハーバーに宿を取りました(下写真)。

レストランの入り口と典型的なメインの風景


その後、長年カナダに住んでいたボスの言葉を真に受けて「陸路でカナダに入国」することにしました。しかし、これが大変な道程でした。下写真にあるように山間部を延々と走って行くのですが、途中から山道はどんどん狭くなりついに迷ってしまいました。車外に出ようにもアブの何倍かある変な虫に囲まれ、AAA の頼りない地図では要領を得ず、心の中でボスを恨みました。ただ、そんな状況の中でも、森の中で野生のムースに遭遇するなど、楽しい瞬間もありました(下写真)。そしてようやく国境にたどり着き、カナダに入国でき一安心しました。

国境へ向かう山道とようやく到着した国境の建物
野生のムース(絵はがき)と購入したぬいぐるみ


ケベック州に入ると、そこからまたいろいろと苦労です。カナダでは交通標識や信号機の形がアメリカとは異なり、距離やスピードの単位もマイルからキロメートルに変わりました。宿に着いてみれば、案内表示は全てフランス語で(そんな話は聞いていませんでした)・・・

続きのエピソードはまた後日。お楽しみに!


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