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FFⅩ歌舞伎が素晴らしくて、RPGと演劇の魅力を再確認した。

私が観劇をしようと思うまで


これはどうしても観に行くしかない!!!

と、観劇が大好きなものの収入が乏しいくせに趣味ばかりが多くあるせいで後回しにしがちな私が、久しぶりに現地行きを決意したのが『新作歌舞伎FINAL FANTASYⅩ』以下、FFⅩ歌舞伎でした。

私はミュージカルが大好きで、直接の観劇回数としては劇団四季>2.5次元系>宝塚といったところです。ただし先述のとおり映像配信で観てしまうことも多く、観劇が趣味です!と大声で言えるほど現場には行けていません。そして、ゲームがとても好きです。FFはすべてではないものの何本かはクリアしていて、公式の音楽コンサートにも行ったりしたので愛着がそれなりにあります。特に好きなのはFFⅣとFFⅨです。

歌舞伎に関しては、今回のFFⅩ歌舞伎が初体験でした。ズブの初心者です。15年ほど前にモーニングで連載されていた『かぶく者』という歌舞伎漫画が迫力があり好きでしたので、いつか歌舞伎も観てみたいと常々思っていました。

(この漫画で登場する演目、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)が印象的でいつか実際に観てみたいです。と思ってたら、近々映画館で2010年の公演録画上映がある模様。行きたい。)

ただ、何か新しい趣味に手を伸ばすというのはなかなかにハードルが高いもので。歌舞伎役者さんたちをテレビで見かけたりするたび、たまたま歌舞伎座の前を通りすがったりするたび「行ってみた~い」と思いはするものの…といった状況でした。

FFⅩ歌舞伎の制作発表を最初耳にしても、正直なところそれほどは驚きませんでした。歌舞伎も宝塚のように、漫画やゲームを原作にした演目づくりに取り組んでおられるのだと認識していました。

そして、実は私FFⅩ未プレイなのです。キャラとネタバレについては把握しており有名なムービーシーンはほとんど観てしまっているという、いわゆるジャンルの受動喫煙状態。過去にFF20周年記念にPSPで出たディシディアファイナルファンタジーというオールスターが戦う格ゲーに嵌っていたので、Ⅹのティーダとジェクト、ユウナに対するイメージは一応分かっておりましたが、キャラクターヴィジュアルが発表されてもすごく2.5次元っぽい、気合入ってるな!と思うぐらいでした。この時点で歌舞伎版が観たい!とまではなっていませんでした。

観たい、とじわじわ思えるようになったのは中村米吉さん扮するユウナの美しい異界送り動画でした。これがTwitterで拡散されてきた瞬間これは…!となった私のようなゲーム好きは沢山いたのではないかと思います。

公演している箱がもう今年中に閉館する客席回転する劇場IHIステージアラウンド東京というのも興味がそそられました。

そして個人的なことですが私生活でショックな出来事があり、ますます思い切って観劇をするしかないっ!と決意しました。

実際に観劇してみて(ネタバレ無しの全体感想)

劇場とお供のモフルン

席種は、懐が厳しく一番お安いB席で観劇しました。初めての劇場でしたが公式の座席分布図を見てこの規模なら四季劇場の最安であるC席(三階の最後列であること多し)よりも断然観れるだろうという予想通り肉眼でもそれなりに役者さんの表情も観れました。さすがにアップはオペラグラスや双眼鏡所持推奨ですが、お金がギリギリでも行きたい方にお勧めします。もちろんお金があればもっと良いお席で…。

結論から書きます。この公演には、90年代00年代に盛に盛り上がっていた最盛期のFFシリーズ、そして大作RPGの熱狂やロマンが完全再現されていました。

かつて、FFシリーズに対する魅力を語られるときによく目にしたのは「超美麗ムービー」「映画のようなドラマ」というものがありました。

今となっては、ゲームは家庭用据置機ではなくスマホで隙間時間に遊ぶソーシャルゲームが大きな市場規模になってきたり、ゲーム実況の流行と一般化により実況でウケるバズるタイトルが人気。FFがかつて謳われた「超美麗ムービー」「映画のようなドラマ」のシングルプレイ大作RPGゲームが数百万本単位で売れていき社会現象となるとなることはなかなか無くなってきたように感じます。

私も今でもゲームはそれなりに遊ぶものの、プレイに時間のかかる壮大なRPGはほとんどやらなくなってしまいました。若くて気力のあった学生時代では、膨大な時間をRPGに費やし、寝食忘れて夢中になっていたのが最早ノスタルジーに。

各種メディアでティーダ役の座長であり企画者であり演出である菊之助さんが語られているように、企画されたのは感染症拡大のステイホーム期間中で遊び返したのがきっかけであるそうです。

良くぞここまで本気で再現された…!と菊之助さんのお仕事には驚嘆しかありません。以前テレビ放映されていたナウシカ歌舞伎も映像で観ていたのですが、FFⅩ歌舞伎はさらに完全再現・歌舞伎ならでは、に溢れていました。

ティーダとユウナのラブストーリー、ティーダとジェクト、ユウナとブラスカ、シーモアとジスカルの三者父子、ブリッツボール、バトルの華やかさ、召喚獣、部族対立、亡くなった魂たち、パーティーメンバーの掘り下げと絆。

ワクワクしました。FFが、王道大作RPGが、またやりたくなりました。

B席だからまだ現実に帰ってこれたけれどこれがもっといい席だったら現実に帰ってこれていなかった。心がザナルカンドに漂流していた。とまで思いました。FFⅩを若いころに遊んでおかなかったことをとても後悔しました。リマスター版を今からでもやろうと思っています。

キャスティングも、歌舞伎役者さんたちについてほぼ知識のない私でも神憑りに全員が嵌っていたと感じます。私は女性キャスト中心の2.5次元演目も観劇することがあるのですが、兎にも角にもアニメやゲームなどの原作がある2.5次元というのはヴィジュアルも立ち振る舞いも「二次元に似てる!」と思われるのが大前提でありある種の公式による二次創作であると言えます。FFⅩ歌舞伎は、過去に行われたナウシカ歌舞伎よりもさらに自然に、歌舞伎とゲームキャラの融合が果たされていると感じました。

全員素晴らしかったですが、特に私が衝撃を受けたのは女方の皆さん。私は宝塚は何度か観劇する機会があり宝塚の男役の現実の男女二元論を超越した魔法を知っているつもりでしたが、FFⅩ歌舞伎女方の皆様もとてつもなかったです。

特に私は、ヒロイン・ユウナ役の米吉さんと重大なボス・ユウナレスカ役の芝のぶさんに魅了されました。

ゲームの美しさそのものの召喚士ユウナによる異界送りは勿論のこと、上記にクリップした初日前会見の4分26秒あたりから、ユウナレスカ様のご挨拶のお声を未観劇の方は是非聞いてみていただきたい。私は観劇して第一声を聞いてのけぞるかと思いました。FFの妖艶で強大な女性ボスそのものです。

私はFFⅩ歌舞伎が面白すぎたので、いずれ正統派の古典歌舞伎も歌舞伎座へ観に行きます。きっとそう感じたのは私だけではないはずです。

私のようにゲームは親しみがあって楽しそうだけれどどうかな…と悩んでいる方、今後配信や円盤発売もあるかもしれないけれど、行ける人は絶対に現地へ行ったほうがいいです。断言します。

公演は4月12日までです。私は平日に行きましたが、悪天候だったのもあってか中央あたりのS席はだいぶ空席が目立ちました。トータルで12時開演から21時終演の長時間に自信がなければ前編のみ・後編のみチケットも可能です。でも、できるなら通しで物語に浸るのを推奨です。おそらく仮に前編だけ観たらきっとそのまま後編も観たくなると思います。

是非、気になっている皆さんで残りの公演の座席を埋めていただきたいのです。

ネタバレ観劇メモ

以下は、私が観劇中休憩時間の合間にスマホのメモ帳に書きなぐった感想を一部加筆した箇条書きとなります。勢いで自分用に書いていたため雑ですが、楽しかった気持ちを共有させていただきます。

未観劇でネタバレを避けたい方は読み飛ばしていただければと思います。




前編


・開演前、スクリーンの野村哲也氏のイラストはぜひ今日の記念に撮ってね!って真面目なアナウンスしてるの良いわね
・開演前のツケの音がどんどん大きくなっていくのワクワクするな。これが歌舞伎なんだね。
・劇場がそもそも円形でいろんな角度から音響が聞こえるのも良い
・オオアカ屋さんの前説と語り部が良い。
・噂どおりオオアカ屋さんの挙手アンケで歌舞伎初人間とゲームやってない人間半々
・オオアカ屋さんの前説、あなたの!あなたの!あなたの!物語です。って言い回しが実に歌舞伎でいい。
・この時点でサクラの歌謡ショウめちゃめちゃ思い出す サクラが目指してたのはまさにこれだったんだな
ザナルカンドと最後かもしれないだろ…で即泣きそうになる。FFXといえばまさにこれだけど、冒頭からフルパワーだったんだなと改めて思わさせられるよ
・見得をバンバンするキャラクターたち、景気がいい。〇〇屋!って叫んでるのは特定のお客さんなのか?→これは関係者でやってるそう会場アナウンスより
・アラウンドシアターの回転機構こんな感じか!客席側は振動少なくなってるのでズズズ…と動き始めだけ振動感じるけど舞台側が回ってるので回るのを実感できるような感じ。後方席だとモーター音が結構する。
・菊之助ティーダ、ビジュアルだけだと失礼ながらまだ若いスポーツ選手主人公には見えなかったのですがどんどん森田氏の声にしか聞こえなくなっていくの凄すぎる。磨き上げられた演技力。
・通路の側の席なのでアンサンブルの町民皆さんがぞろぞろ出てきてくれるの楽しい。プリキュアのドリームステージ思い出す(たぶんここで思い出すのはお前だけよ!)
・獅童アーロンカッコ良すぎる。ビジュアル完璧だわ。シンのみなさんのアクロバットもすごい。
・ワッカめっちゃ声似てますわ。ルールー姐さんが存在してるわ三次元に…
ユウナの登場シーンめっちゃ良いですね…少し焦らしてバルコニーから後光さして登場するってのがまさに正ヒロイン的な演出。先日配信で見たエリザベート思い出した。
・キマリさんのメイクすごいわ。キマリさん歌舞伎されるために生まれてきた気さえしてくる。
・バトルシーンはゲームの通常戦闘曲アレンジが良すぎてうーんFF!となる
・召喚獣は映像ですが、劇場のモニターがかなりでかくちゃちくないのでとってつけた感がなくいいですね
・松也シーモアもハマりすぎなんだわ。ウィッグの再現度めっちゃ高いけど頭は重そうである…
・シーモアの追加されたらしい過去編とても良いですね。シーモアはゲーム的にはヴィランだけどヴィランはヴィランなりにバックボーンないとね
・ブリッツボール試合シーン、演出が良い。ワッカがボール掴んで時が止まるシーンとかスラダン映画みたいよ
・リュックは一番衣装とヘアメイクがアレンジされてますが元からこういうキャラデザだったかのようにとても可愛らしいですね。演じてらっしゃる吉太朗さんはFFXと同い年とは…わかい!ユウナの手を取って駆け出すところは癒し。
異界送り美しかった。永遠に見ていたかった。小さめのクレーンで米吉さんが浮かんでるみたいですけどあれ素人が乗ったら絶対怖いわ。照明効果がこの世のものとは思えないくらいに美しくて、ゲームの名シーンのムービーを本気で再現するって気合いを感じる。
・大階段な舞台セットのLEDがめちゃめちゃ綺麗ですね。当然だけど私が今まで見た2.5系などでは一番豪華で綺麗なんだわ。
・シーモアに怒鳴るアーロンの声量凄かった。アラウンドシアター中に轟いてた。獅童さん流石だな…
シーモアバトルのアレンジやばいね。シーモアバトルはFFXやってないのにビックブリッジよりも好きなんだけど(ビックブリッジも普通に好きです)BRABRAFFのこととか思い出して上がりましたよ
・シーモアvsパーティメンバーは1人ずつ見せてくれるのが良いですね。ワッカのボールの動かし方が面白い。黒衣さん(歌舞伎では黒子と書かないそうですね!)たちの技が光る。ルールーねえさんの魔法合戦再現が特にいい。これが女方の美しい海老反り!ここを見たかったので興奮しました
・アーロンが酒吹きながら出てくるのかっこよすぎ

・リュックがポーション配るのかわいい。
・敗北したシーモアが真後ろに落っこちるのがカッコいい
・前編ラストでタイトルロゴを背景にパーティ全員で並ぶのがめっちゃ2.5みを感じた。歌舞伎でここまでやってくれるなんてなあ

後編


・後編になって、義太夫のみなさんが出現した!?これがあるとグーンと歌舞伎度がアップしますね
・米吉さんお父様のシドおじさん、さすがに貫禄ありとてもかっこいい。
・飛空挺はFFのお約束の一つですが、座席でデカいスクリーンで見るとデデニーランドシーのアトラクション思い出すわねw
花嫁ユウナ、あまりにもきれいすぎる…歌舞伎だから白無垢だけどもベールとアップにしている髪でグッと原作どおりだと思えますね
・加速していくシーモアの悪役度!隈取も濃くなってませんか?
・ユウナの真実に号泣するリュックの切実な演技に引き込まれました。
・素敵だねキタ。ラブシーンとしては目玉なので、もう、LEDがマジで綺麗です。楽曲をインストにせずぬかりなくボーカル入りにしてるのも◎。おふたりのこと双眼鏡で凝視してたけど舞が美しいしキスシーンも綺麗すぎた。昔はよく世界一ピュアなキス(笑)って言われてましたが、歳とった今見るとティユウの愛美しいな…って捻くれずに思いますよ。
・後編後半がノンストップ2時間あったから、同じ姿勢でだいぶ疲れてしまった。自分は体力がない…
・キマリの掘り下げも丁寧にやっているのが改めてすごい。ロンゾ族みんなかっこいい獣人なのにしっぽがくるんとしててかわいい
・錦之助さんのブラスカは高位の僧侶みがすごい。神々しい。
・祈り子、菊之助さんの息子さんが子ティーダ兼ね役で演じてらっしゃるがかなり難しい長台詞を話していて歌舞伎役者の血統の凄さを感じさせた…
芝のぶさんのユウナレスカ様やばいとは聞いてたけど本当にやばかったんだが何がどうなってんの?CV田中敦子の魔女かと思った(それはFFⅧです!
・黒衣さんたちの蛇操演も素晴らしかった。魑魅魍魎表現は歌舞伎の得意とするところかな?と思います。ユウナレスカ様戦、歌舞伎映えがすごいな。アーロンとの見得で、ユウナレスカ様が口を大きく開けて笑ってらっしゃるところ、双眼鏡で観てましたが大迫力で鳥肌がぶわっと立ちました。お口が血のように真っ赤なのです。芝のぶさん、素晴らしいわ…芝のぶさんの他のお役が観てみたいと魅了されました。
・映像が多かった彌十郎さんがついに直接対面…!ティーダとの戦いは実質的なラスボスなのもありとても有名なやり取りがゲームのムービーにしっかりと重なるとともに、幼少期ティーダが現れてジェクトとキャッチボールをする演出にはやられた。背景のライトが美しくボールの軌道を描くのがまた…。
・こういう、子役さんを心象風景的な演出に出すのすごく効果的で舞台ならではで素晴らしい限り。ゲームだとバトルはプレイヤーによってどう立ち回るかが決まるわけですけども、ジェクト戦ものすごく熱くなり非常に興奮しました。
おれ、消えっから…めちゃめちゃ知ってる展開だったけど涙がもうサーっと流れてゆきますよ。
・最後の盛り上げ!召喚獣オール召喚!これもう本当素晴らしかった。召喚獣たちが連獅子のような毛ぶりをするのはもう聞いていたのですが、衣装デザインヘアメイクはみんな素晴らしいですし一列に勢揃いした姿がカッコよくて…Gロッソでクライマックスの戦隊の口上を聞く時の感覚を思い出す。戦隊は歌舞伎を思い切り参考にしているわけでね…
・シリーズお馴染みのイフリートが獅子っぽく、シヴァが女形のいで立ちなのが特に良かったです。義太夫のみなさんのイフリーーーーット!って声が鳥肌立ちまくり。
・ティユウの最後のあすなろ抱きにはもう涙がね…FFXきちんとやらないできちゃったけれどあまりにも有名なエンディングムービーなので…ムービーだと落ちて消えていくティーダがジェクトにハイタッチしますが、舞台だと大階段を登って上で待っているジェクトとハイタッチ。
・後編ラストパートは心はうきうきでもだいぶ肉体が疲れてきていて、本当にもう自分の体力の無さつらい!体力つけなきゃ…本気で観劇するためにってなりました…。
・そういう反省はあれど本気で観劇しようと思わせてくれる機会に感謝です。
・正直もう一回観劇したい。お金どうにかできるか…?



まとめ ゲームと演劇が好きでよかった話

何度も書きますが、私はお金ギリッギリなのに通しB券で観劇してきて全く後悔するどころかとても元気になれましたので、気になってる方は絶対に行ってほしいです。

そして少し話が逸れてものすごく個人的な内容になりますが、今回私が一番書きたかったことをまとめます。かつてゲーム作品で10年以上舞台演劇公演をしていたサクラ大戦というゲームがありまして。それが大好きだった自分に、サクラの公演が終わった後もこんなに良いものが未来に観れたぞ!と教えたくなりました。

サクラ大戦、まだ2.5次元という造語ができるずっと前から声優にキャラクターの扮装をさせて歌謡ショウというものを公演していたのです。そして実は歌舞伎役者さんがゲスト出演された年もありました。その方は今は新派の方で河合雪之丞さん、歌舞伎役者時代のお名前は二代目市川春猿さんです。改めて調べてみたらユウナレスカ様の芝のぶさんと同期でいらしたそうで…。当時としてもゲームの舞台へ女方としてゲスト出演はかなり異例なことだったのではないかと思います。

歌謡ショウは最初期こそ「少し豪華な声優のゲームイベント」から最終的にかなり本格的なミュージカル化していくのですが、盛り上がる場面で演者たちが番傘を持ち立ち並んで口上するシーンなどがあったりとかなり歌舞伎要素も多かったんです。今回の観劇でサクラが目指していたのはこういうことだったのかと20年越しに発見できました。

(ゲスト出演されているのがこちらの公演です。歌謡ショウ、ほぼすべてが今はアマゾンプライム見放題となっていますのでご興味があればぜひ…)

サクラ大戦が盛り上がっていた時代は00年前後、ちょうどFFⅩが発売されたころが最盛期だったのですが、私は最盛期のころはまだまだ子どもで、ショウは最後の公演くらいしか観に行けなかったのです。

サクラ大戦とFFは勿論全然違うゲーム作品ではあるのですが、こうして時を経てゲームが超大作歌舞伎化される未来を、誰が00年初頭に予期できたでしょうか。

こちらでも見れる菊之助さんとFFⅩメインスタッフたちの座談会、同じメンバーでの対談を公演プログラムでも読めるのですが、そちらでFFXプロデューサーの北瀬佳範氏による印象深い言葉があったので一部引用します。

(中略)ゲームも、今でこそ幅広い年齢層の方にプレイしていただき、ジャンルとしてメジャーになってきていますが、出発した頃のどこかサブカル的な扱いは今も残っています。一方で王道を行く歌舞伎からオファーをいただき、カルチャーとしての意義を認めていただいたような、光栄な気持ちもありますよね。

FFX歌舞伎公演プログラムより

思えば、FFシリーズがかつて「超美麗ムービー」「映画のようなドラマ」と謳われていたのも、裏を返せばゲームという若者が嵌っている新参のサブカルであり映画未満であるという決めつけや偏見があったからゆえの褒め方でもあった、と私は感じます。振り返れば、サクラ大戦歌謡ショウも素晴らしい舞台でしたがまだあくまでゲームファンだけが行くもので止まっていたようにも思います。

FFX歌舞伎は私が行った平日でも、往年の歌舞伎ファン・ゲームファン・海外のファン…と様々な立場の老若男女で溢れていました。

今回企画を立案した菊之助さんのように、ゲームに愛着とリスペクトを持って下ってる方が現代の歌舞伎界を担っていらっしゃるからこそ、FFⅩ歌舞伎は理想的に実現したに他なりません。

ゲームが好きでよかったな、舞台演劇が好きでよかったな、というのが私がFFⅩ歌舞伎観劇で一番感じたことです。(あと女方さんに嵌りそうです。)

ああできることならまた観劇したいよ…もしも千穐楽配信があったなら観ますし、円盤も出たら買います。

望遠なしの一眼を持って行ったものの普段使ってない上にB席のため雰囲気だけになっている撮影可のカーテンコール

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