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夜のドライブ。息子を乗せて。

二男と夜のドライブに出た。

不登校になってから三年、ひきこもる息子にとっては久しぶりの外出だった。

少し遠くの街まで走った。
新しく出来た店に静かに驚いていた。 

私は昼間、息子と同じくらいの学生が街で楽しそうに歩いているのを見ることが、しばらく辛かった。なぜあの風景の中に息子がいなんだろうな、などと考えてしまったりして。

最近はその思いは消えてきたけれど、時々、
えっとどうしてこうなったんだっけ?と息子の気配のない街に気持ちがさまようこともある。

しかし現実を受け入れて、今いる道を肯定するまでのプロセスが、だんだん速くたどれるようになったことを、その気持ちの立て直しに見つけたりもして、少しずつ少しずつ前を向いていることも感じる。

家に帰るのがこわかったこともあるから、その時に比べたら、平穏な我が家になっている。

本当に平穏であることが幸せそのものなんだと、思い知った。自分の間違いを、思い知ったのと同時に。


後部座席の言葉少なな息子の様子が気になりながら走った。

息子の苦しみを理解することに、長い時間がかかってしまっている。


苦しいのは、正解のない中に、どこまでも正解を探してしまうことだと思う。

常識とか、普通とか、世間体からこの暮らしの正解を探すのではなく、息子のことを理解することからこれからを探すのだと、迷った時は思考の舵を切り直す。

そして、浮上と前進をゆっくり信じていけばいいと思った。



夜のドライブは、夜風が気持ちよかった。

また行きたいと息子が言って、また行こうと私は返した。


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