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【300字小説#3】復讐と解放の檸檬

色々考えたが、シンプルに
「ありがとう、ごめんなさい」
と書いた。
それから、身支度を整えると、
爆弾のスイッチに手をかけた。
いよいよだ。

「これ、期限明日までだけど、まだですか?」
「この案件、誰に確認したらいいですか?」
「場所の確保と資料作成、お願いできますか?」
「明日の会議、ちょっと顔出ししてください」

僕の1日も24時間なのを、みんな知らない。
僕に通常業務があることを、みんな知らない。
僕もお腹が空くことを、みんな知らない。
僕だって眠くなることを、みんな知らない。

だから爆弾を仕掛けた。
会社をめちゃくちゃにしてやる。
みんな、ちゃんと苦しんでよ?

笑いを噛み殺しながら、
首に縄をかけてジャンプした。

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