母のリズム

小さい頃、母の背中に、耳を当てるのが好きだった。病院の待合室、名前が呼ばれるまで母の背中に耳を当てていた。母の呼吸のリズムが体に伝わって、何だか少し優しかった。喋りかけると、背中越しで母の体内から響く母の声。それが面白くて、母の背中に耳をあてながら、ずーっとお喋りしていた。子供は親の背中を見て育つ、という言葉と近い気がする。私も、母の背中で母の愛や優しさを感じた。背負ってくれた重たい体。本当にありがとうと言いたい。今度は多分、私の番かもしれない。丸くなった背中をさする時がくるかもしれない。私はいつまでも母の背中が好きだろう。あの背中は、いつまでも私に優しいままだ。

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