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紳士とドーナツ


こんにちは。
すてきな紳士をお見かけした。推定5歳。はじめは椅子に座ろうとしたところ、「そっちに座っていいよ」との母親の心遣いに「ありがとー」と返し、よじ登るようにしてソファに座った。白いスニーカーの足は床についていない。


オーダーしたものが提供されるまでのあいだ「じゃあいっしょに食べよっかぁ」と、なごやかなティータイムへと雰囲気をエスコートし、食事がはじまると、それぞれのドーナツのおいしさを嬉々として母親に説明しながらも、のみこんでから話すことを助言されると素直に受けとめ実行していた。



「ウインナーを食べると体力が回復する」というヘルスコンシャスな一面もみせ、気配を消しながらどうしてもチラチラと視線をおくってしまう隣のテーブルの不審人物(私)にも気づいて、満面の笑みでこたえてくださった。


あやうく親のまえで求婚するところだった。
紳士はドーナツショップで育まれる。




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